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絶望の遙か先にあるもの

怪しげな笑みを浮かべた天使は言う。

曰く、ここは異世界であると言う事。

曰く、俺は死んでいないと言う事。

曰く、世界は終わったと言う事。


世界が終わって、俺は死んでいない。

なぜ。なぜ俺なんだ…??


あたり前だがうまく理解できない。

いつもより高く遠く感じる蒼空には、ドラゴンが心地良さそうに飛んでいる。


「私はハルナシと言います。気軽にハルとお呼びください!」


先程とはうって変わって爽やかな笑みを見せた目の前の天使ことハルナシは、ばさりと大きな羽を広げてみせる。白鳥みたいだ、ふとそう思った。

数枚落ちたまっしろい羽は草原の烈風に飛ばされて碧落に舞う。


「では行きましょうか」


気がつけばさっきまで寝転がっていた大草原が急に遠くなる。あっという間にドラゴンと同じ目線のところまで来てしまった。


羽を目で追っていると朝に吹く風のように少し肌寒い風が吹く。


「異世界って涼しいんだな」


春の風を煮詰めたような甘ったるい吐息が漏れた。


「今、真夏ですよ」

天使は続ける。

今年の夏はここ一万年で一番暑いのだと。


「今日は熱中症注意報も出てるんです。暑くて嫌になりますよほんと」


そんな感じで天使、ハルナシは俺を抱きかかえながら入道雲のないさらりと軽い真夏の空を勢いよく飛んでいった。

…数滴の汗を俺の髪に染み込ませながら。

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