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勇者と魔王ちゃん

作者: 月と兎と雪

 「くっくっく...よくもまぁ、懲りずに挑みに来るものだ____なぁ?勇者よ」

 

 腕をくんだままの強気な姿勢を崩さず魔王は言い放った。

 勇者と魔王が対峙する場面、それは宿命と呼べるものがあるだろう。

 何も特別じゃない。

 僕たちにとっては日常とも言える。

 

 「....おいおいおいおい...勇者よ。お前まさか...ビビっているんじゃないよな?」


 尚も魔王は僕を煽る。

 やはり強気だ。


 「...っ」


 「...くっくっく...なぁに...お前がビビるのも無理はない。なにせ、お前は私に勝てたことは一度だってありはしないのだからな...なぁ?勇者様~?」


 そのニタニタした笑みは気に食わないが...その通りだ。

 僕は何度こいつに挑んだことか。

 その度、返り討ちにあって僕は連戦連敗。

 勇者のプライドだってもはや失われつつある。

 だけど、

 

 「.....なぁ魔王、知ってるか?」

 

 「んー?」


 「勇者はゲームの都合上何度やられても生き返るが____」


 「!」

 

 「__________魔王は一回攻略されると、Game clear(おしまい)なんだぜ?お嬢さん。」



 そっと、僕は魔王の頬に触れた。


 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 「ママ、ママ~?なんでパパと結婚したの~?」

 「ん~.....パパに攻略されちゃったからかなぁ~。えへへ。」

 「.....。」


 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 「パパ、パパ~?なんでママと結婚したの~?」

 「....。それはね、ママを攻」

 「攻略したからね...はぁ~」

 「え?」

 


 勇者は困ったように視線を流すと、そこには優しいほほえみを返す魔王ちゃんが居るのでした。

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