人間界へ
意気揚々と部屋から出たのはいいが……人間界には、どうやって行くんだ?
前世の魔界では、とあるゲート開けば簡単に行けた。
そのゲートを開く難易度もそんなに難しくなく、コツさえ掴めば誰でも開けるのだが、互いにわざわざ別の世界に行こうとは思わないため、あんまり知られていなかった。
まぁ俺が人間界魔界にゲートの開き方を広めたんだけどな。
問題はこの世界でもゲートを開けるかだ。
これでゲートが開けず人間界には行けませーんってなったら、とりあえずあのクソ女神を
ぶん殴ろう。
俺は手を掲げて唱えた。
「開け。人界の扉。」
すると、青い光を放っているゲートが開いた
別に特別な詠唱はいらない。
魔力を込めて開けと念じるだけでゲートは現れる。
「わあ、ガルディアさん人界へ繋がるゲート開けたんですね。」
「……そういえばお前は開けないのか?」
「ああ……」
ソフィアは腐ってもノーライフキング……アンデッドの王だ。
それなりの戦闘力を秘めているはず……
だが、ソフィアは答えにくそうにしている
「……まぁ、今はどうでもいい。後で聞かせてもらからな」
「はい、ありがとうございます。」
ペコリと礼をしたソフィアをチラ見したあと
俺はゲートに飛び込んだ
ソフィアも俺のあとに続いて飛び込む。
「わあ! ま、待ってなのだー!」
スカーレットは、ゲートを見るのが初めてなのか戸惑っていたが、俺達が躊躇なく飛び込んだのを見て、目をつむりながら飛び込んだ。
◇
「よっと……ここがこの世界の人間界か……あんまり変わんねえな。」
ゲートから出てきた俺は周りを見渡す
辺りは草原がどこまでも続いていて、そよ風が髪をなびく。
南側には広大な森が広がっている。
うっそうと生い茂る木々に阻まれて中までは見えないが
スカーレットは目を輝かせて辺りを見ていた
「うおおおお……すごいのだ! 緑がいっぱいなのだ!」
屈んで背の低い草をペタペタと触るスカーレット。
こいつは人間界に来るのは始めてなのだろう
俺は《千里眼》スキルで見えた壁と門で囲まれた街らしき物があった。
「おいソフィア。遠くにあるのはなんだ?」
「え? ああ、《城塞都市エルサレム》です。あそこは文明が発達していて、冒険者ギルドもありますよ。」
「なるほど……とりあえず、あそこに向かうか。あっ、あとお前らこれを被れ」
俺はポーチから大きな茶色の布を二人に渡した。
「これは……?」
「《千里眼》スキルで見た感じ門に警備兵がいたからな、だから俺達は『旅人』って設定でいく。スカーレット、間違っても魔王とか名乗るなよ」
「分かったのだ。」
本当に分かってんのかなぁ……
そこは信じるしかないか。
城を作る材料としては、コンクリートは必須だ。
コンクリートは柱や壁に鉄筋が入っていないため錆びないので、半永久的に保つのが良いところだ。
足りないとこはレンガで補おう。
後ろで歩いているスカーレットとソフィアがなにやら話をしていた。
「なあソフィア。あの空にあるギラギラ光っている玉はなんなのだ?」
「太陽のことですか?」
「太陽……? なんじゃそれ?」
「うーん……簡単に言うと、とっても熱いお星さまですね。」
「そんなものが人間界には、あるのか……不思議じゃのう。」
本当に魔界から一歩も外に出たことはないのか。
それはボチボチ教えていくとしよう。