戦人、再誕の大地
押し寄せる、数々の闇の刃。
"滅亡の大地"の足下から立ちのぼる闇が、剣に、槍に、鞭に変わり襲いかかる。
それらの攻撃を、ひたすら避ける。
剣の横凪ぎを伏せて躱し、槍の突きをサイドステップで避け、迂回して後ろから来る鞭をバク宙で避け、放たれた闇の弾丸を翼を使って下方向へ加速し回避する。
すさまじい猛攻だ。
一秒の内に数回の連続攻撃を複数の方向から繰り出してくる。
命尾の先読み、レフィルの反射、ソリフィスの強制着地、その一つでも欠けていたなら、すでに死んでいただろう。
呼吸をするのも難しい程の連続攻撃。
しかし、こちらもただやられているわけではない。
回避しつつも命尾と協力して、俺は炎の上級魔法、"フレアブレス"を放つ。
これはディレットが使っていた光線、光属性上級魔法"フォトンブレス"の炎版だ。
赤い光の球から、炎の、いや熱光線を放つ。
この魔法は魔力を高濃度に圧縮して放つのだが、制御が非常に難しく、俺一人ではとてもできない。
攻撃を受けるのが俺一人で、中の人は別のことができるというのがユニゾンの強みだろう。
フレアブレスの圧縮された威力はすさまじく、少なくとも涯煉並だ。
物理、魔法問わず防御力が高い"滅亡の大地"にも、ある程度ダメージが通っている。
避けて、避けて、避けて、避けながら撃つ。
腰に下げた三本の刀の出番も無い。
回避前衛魔法使いとかいう人間らしからぬ戦いかただが、"滅亡の大地"が距離をとらせてくれない。
"滅亡の大地"の闇の攻撃は、一度攻撃した後にその場にとどまるのではなく、一度"滅亡の大地"の足下の闇に戻る。
常に複数の闇の攻撃が存在しているため、それが弱点になる訳ではないが、その性質上"滅亡の大地"に近づくほど攻撃が激しくなる。
そのため、俺は躍起になって"滅亡の大地"から離ようとする。
しかし、"滅亡の大地"も黙って逃がしてくれるわけもない。
下がる俺と、進む"滅亡の大地"。
体中に無数の切り傷、火傷跡などを作りながらも、俺は現状の距離を維持していた。
猛攻の隙を突いて、僅かな時間に、病人のように息継ぎをする。
短い人生の中でも感じたことのない濃厚な死の存在感を前にして、意識が極限まで研ぎ澄まされていくのが分かる。
肉体が徐々に負担を抱えていくのを感じながら、周りの全ての動きが緩慢になっていく。
最初は見えていなかった"滅亡の大地"の放つ剣の始動が、自分でも見えるようになっている。
素体である俺の感覚が鋭くなっていくと共に、眷属達がそれぞれの能力に集中できる様になっていく。
より少ない動きで攻撃を躱し、フレアブレスの威力がや狙いが鋭くなっていく。
どんどん動きが良くなっていくシラキを見て、"滅亡の大地"は焦るでもなく、喜んでいた。
戦いの中で成長し、強くなっていく姿。
それは"滅亡の大地"がすでに失ってしまったものだ。
爛々と輝く瞳で自分を凝視するシラキの意志が、体を貫き感じられる。
強い者と戦って勝つことを求める"滅亡の大地"は、歓喜に震えた。
全く雑念のない曇りなき精神状態で戦っていたシラキは、今の状況が良く分かっていた。
まずい。
人間の域を出ない俺と死神とでは、スタミナにどうしようもないほどの差がある。
ただでさえ肉体を酷使しているこの状態を続ければ、確実に"滅亡の大地"よりも先にバテる。
そう思った俺は、刀を抜いて闇の剣を受け流す。
刃が触れた瞬間、闇が確かな質量を持ち、またしっかりとした形態を持っていることを確認する。
"滅亡の大地"の闇とはすでに何度か接触していたが、いずれの場合でも触れた場所に火傷のような現象が起こった。
状況を確認した俺は、タイミングを計り、フレアブレスの代わりに、バーニングボムを打ち込む。
フレアブレスと違ってバーニングボムはそれほど速くないので、闇が"滅亡の大地"を守るように盾になる。
爆発。
それと同時に風属性中級応用魔法ウインドボムを自分の目の前で炸裂させる。
翼を広げて風を受け、地を蹴って跳躍。
可能な限りの加速をして、後ろへと飛ぶ。
常に俺の後ろに配置し、後退を妨害していた闇の鞭の一つをロールしながら切りつけ、真っ二つにする。
翼の力で速度を殺さないようにしながら地面に近づき、蹴りつけて更に加速。
目を回すような機動で妨害する鞭を回避し、遂に"滅亡の大地"から距離を離す。
かすったせいで体の一部が黒く焼けたが、それを無視して魔法を発動する。
好戦的でぎらついた視線を投げてくる"滅亡の大地"が、次も同じ方法で離してくれるとは思えない。
「ハァァァアアアアアアアア!!!!!!」
腹の底から、低く大きく、気合いの声を上げる。
発動したのは、ガイアストライク、バーニングボム×5、フレアブレス×3。
バーニングボムの爆炎から出てきた"滅亡の大地"に、次々と魔法を叩きつけていく。
爆炎の中にフレアブレスの光線が突き刺さり、ガイアストライクが押しつぶす。
「ぬうぅうううううううう!!」
"滅亡の大地"が唸り声を上げる。
見るまでもない、ガイアストライクを押し返しているのだろう。
俺は大きく深呼吸する。
そして発動、サンダーボルト、フレイムピラー、爆雷波、ウインドセイバー。
撃ち切った後は服の魔力を用いて地雷魔法をばらまきつつ、自身の魔力を集中する。
立ち上っていた砂煙がはれ、中から膝を突いていた"滅亡の大地"が立ち上がる。
俺は両手を胸の前に出し、袖から出した魔力結晶を核に、電の球を作り出す。
「まさに、怒濤の攻撃!だが、まだ、この程度では俺は倒せんなぁ!!!」
走り出した"滅亡の大地"を囲むように、仕掛けたばかりの罠、茨の牢を四つ一気に発動する。
ユニゾン中であれば、魔法の複数同時使用もお手の物だ。
"滅亡の大地"は剣を構えて停止し、なぎ払う。
その一撃で四方から襲いかかっていた茨が全て消し飛ばされた。
一瞬足を止めることしかできなかったが、最初からそれだけできれば良いと思って仕掛けた罠だ。
俺は自身と服に仕込んだ魔力結晶から大量の魔力を集め、両手の間にある雷の球に注いでいく。
唸り声の様な轟音を上げる雷の球を頭上に掲げ、一つの魔法を発動させる。
「雷 帝 樂 天!!!!!!」
ピアノの鍵盤を両手で思いっきり叩いたような音が鳴り響き、耳をつんざくような轟音と共に、一面の空から電が降り注ぐ。
空を埋め尽くすような雷が"滅亡の大地"の元に収束している。
あまりの轟音に、他の音が一切聞こえない状況だ。
ものすごい勢いで魔力が吸い出されていきながら、最上級魔法"雷帝樂天"を維持する。
これは俺が立てた、格上の相手にも通じるはずの戦略だ。
もし"滅亡の大地"と一対一で戦うようなことになれば、俺の勝ち目は限りなく薄い。
もちろんそのような事態にならないことが重要だったが、"滅亡の大地"の能力的にあり得ない話ではなかった。
自身の足下の闇から何かを出せると言うことは、何らかの手段で物を入れることもできるはずだ。
その能力を使って俺達が分断されることは、十分に考えられた。
それ故にリスクを避けるため、戦いが始まる前からユニゾンしておいたのである。
結局は闇の能力と関係があるのか分からない方法で分断されてしまった訳だが。
だからもしもの時、そうでないときでも使える戦術として、一つの方法を考えていた。
それは"事前に魔力結晶に溜めておいた大量の魔力を使ってひたすら魔法を維持する"というもの。
これが誰であろうと通じると思われる戦術だ。
魔力結晶を自ら生成することによって魔力を溜めるという、俺のアドバンテージを存分に生かしたすばらしい戦術だ。
すばらしい戦術だ。
…どう見ても脳筋です本当にありがとうございました。
言ってしまえば、脳内筋肉率百パーセントの戦術。
とにかく結晶支配の能力もかなり成長し、他人の魔力も溜めて俺が使えるようになっていたのだ。
これを使ってちょっと引くぐらいの魔力を溜めておいた。
問題は、結晶に入りきらずに体積と量が増え、持ちきれないようになってしまったことか。
どれくらいの時間だったか、雷帝樂天につぎ込んだ魔力がすでに素の雷帝樂天を3、4発撃てそうな位の量になったとき。
「オォォォオオオオオオオオオオ!!!!!」
獣のような咆哮と共に、雷の収束地たる場所から大量の闇が立ちのぼる。
滝を逆流させたような勢いの闇と雷帝樂天がぶつかり、徐々に雷が押し戻されていく。
そうして下から現れた"滅亡の大地"がその剣に闇を纏い、大きく振りかぶる。
やべぇ!!
背筋が氷るほどの危機を認識し、俺は雷帝樂天の維持を放り投げる。
間髪を入れずに、自ら足を巻き込むことをいとわず、足下でウインドボムを炸裂させる。
俺が全力で空に飛び上がると、それは放たれた。
"滅亡の大地"の横凪ぎが、俺の後ろにあった砂丘の根元を消し飛ばした。
その一瞬、ほとばしる闇の猛威が、自分のすぐ下を通過したのを見た。
地面一面を、闇が瞬くように走ったのだ。
だるま落としの様に下の部分だけが消し飛んだ砂の山が、音を立てて落ちていく。
俺は翼を羽ばたかせて滞空しながら、その攻撃に戦慄する。
おそろしいほどの威力とスピード。
あんなもんくらった日にはミンチどころか塵だ。
近接戦での抜刀の如き横凪ぎは、俺の目に捉えられてはいなかったが、それは別に構わない。
それはあくまで剣のみを振った場合であり、回避することができているからだ。
しかし、百メートル近く離れた砂丘の根元を消滅させるような攻撃が、一瞬にして通過したのである。
奴は言うなれば、長さ二百メートルの剣を、目に見えないほどの速度で振り抜いたのだ。
地球で培われてきた俺の常識と物理学が、この現象を全力で否定し、強烈な気持ち悪さとなって現出する。
一体走った闇の切っ先はどれほどの速度が出ていたというのだろうか。
一瞬円周の距離と時間から速度を求めようとするが、気を張って思い直す。
そんな現実逃避をしている場合ではないのだ。
俺は息を整え、魔力を復調させながら考える。
考える余裕がなかったが、光の壁は高度も制限している。
先ほどは大丈夫だったが、下手に上昇するとその勢いのまま頭をぶつけることになるだろう。
それで死んだとかは絶対に嫌だ。
高度にも気をつけておかなければならない。
そして奴はおそらく雷帝樂天の電を受けながら力を溜め、解き放ったのだと思う。
だが今現状、敵は大技を二つ連続で放った直後。
こちらは大技から緊急回避もしたが、雷帝樂天自体は発動後、魔力結晶の魔力を使っていたため、俺自身はすぐに動ける。
今は攻めるとき…!
持久戦で勝ち目がない以上この隙を呆けてみていることなどできない。
俺は自身の周りにフォトンブレス四発、その外側にサンダーボルト八発、さらにその外側にバーニングボム十二発を生成する。
斉射。
サンダーボルトとフォトンブレスが同時に着弾し、数テンポ置いてバーニングボムが爆発する。
爆炎と砂煙が立ち上り、"滅亡の大地"を隠す。
俺は"滅亡の大地"から一定の距離を保つようにしつつも高速で飛翔する。
攻撃を継続しつつも、敵の動きの観察に力を入れる。
先ほどの攻撃を感知できなかった場合、ワンパン事故死もあり得る。
立体的な動きをしつつも攻撃を続けようとしたのだが、そうはさせてはもらえなかった。
"滅亡の大地"が足下の闇を蹴って飛んだのだ。
やはり空さえ飛んでいれば一方的に攻撃できる、何てことはなかった。
それに空を跳躍していても、地上の時とほとんど変わらない速度を出している。
全力で引き撃ち。
相手の動きを見つつ、後ろに飛びつつ、射撃。
幸い飛ぶだけならこっちの方が速い。
そう思っていたのだが、またしても楽はさせてくれない。
"滅亡の大地"の足下から伸びる闇が一気に増大したのだ。
レーザーの様に伸びる闇が八本、次々と放たれる。
手のひらサイズの速い球、俺の背丈と同じくらいの中速の玉、三メートルほどの遅い球。
それらが無数にばらまかれ、一面を制圧する。
また不定期に闇の鞭が打たれ、こちらの進路を妨害する。
戦いは、一瞬のうちに弾幕シューティングに変わっていた。
と言うか、あんなに大量の闇をばらまけるなんて想像していなかった。
突然の物量攻撃に、俺の飛行能力の低さがモロに出る。
これじゃ地上で近接戦していたときと変わらない、と言うかそれより辛い。
大きな翼が何度も闇の玉を擦り、コートオブファルシオンの裾が焼ける。
一発一発に一撃死するほどの威力はないが、数が多すぎる。
そうして大して時間も経たない内に、無理な動きに限界が来た。
「ぐぅぁ!?」
闇の鞭がかすり、四本ある尻尾の内、一本が中程からちぎれ、焼け落ちた。
元からある肉体ではない尻尾という部位の欠損と痛みに、意識の大部分が持って行かれる。
それは実戦において重大な隙であったが、ここでもユニゾンの強みが出る。
自らの内より、命尾が強烈な叱咤を飛ばし、俺はすぐに意識を戻す。
肉体を使っていない分、レフィルが弾道計算の役割に回っており、玉の来る場所の予想ができる。
だからこそ、"滅亡の大地"の接近に気付くことができた。
しかし攻撃の回避で精一杯だった俺は、"滅亡の大地"から離れることができず、その巨大な剣が振り下ろされる。
俺は三本の剣の内の一本、"水宝剣・志石"を抜き、魔力を解放してこれを防御する。
ギリギリで志石が折れ、吹き飛ばされる。
かなりの勢いで吹き飛ばされたため、停止することも叶わず、背中から地面に激突する。
「ッッは」
尻尾がグロテスクな音と共につぶれ、背中の骨が嫌な音を上げ、肺の中の空気が押し出される。
むせるように息を吸い、呼吸を整える。
尻尾がクッションになった、いや命尾が自らクッションにしたのだ。
ちかちかする視線を何とか空に向けると、"滅亡の大地"が下りてくる。
俺は自身に可能な限り強力な回復魔法を掛け、同時に補助回復魔法も掛ける。
翼を羽ばたかせ、とにかく逃げる。
考える余裕がなかったが、翼は動かせた。
それに足を使える分、地面の方が楽にスピードを出せる。
怪我をして余裕をなくしたからか、俺は走りながらも、手と手の間に電撃の球を作る。
「雷帝ィィィイイイイイイッ樂天!!!!!!」
近づいて来ていた"滅亡の大地"に、おおざっぱな最上級魔法をぶち込む。
操作が甘いためかなりの魔力が無駄になるが、気にしてられない。
轟音と共に降り注ぐ雷に"滅亡の大地"が再び飲み込まれるが、今度は事態が動くのが速かった。
叩きつけられるようにして地面に落ちた"滅亡の大地"から、衝撃のように球状の闇が拡がる。
中から飛び出したのは、鎧を脱ぎ捨てた"滅亡の大地"だった。
黒髪短髪の、筋肉質の男。
鎧を着込んでいたときからは想像もできないほどの速さで俺に肉薄した。
斜めに振り下ろされる大剣を、二本目の刀、"暗幕の外の守護者"で弾くようにして避ける。
それはギリギリの回避であり、逆に弾かれるようにして体勢を崩した俺は、足下から伸びる闇を避けられなかった。
太さ数センチ程の三つの槍に、腹、胸、肩が貫かれた。
勝った。
そう思った時"滅亡の大地"は、自らの内から出る歓喜を抑えることができなかった。
あふれ出る喜びが、笑いとして表出していただろう。
思えば予想外なことばかりだった。
この砂漠へと引き込む能力"再誕の大地"は、生前から持っていた能力だ。
この能力を使ってまずはルティーヌとディレットを隔離、それ以外と戦うつもりだった。
だが出会ってみればどうだ、翼と尻尾を生やし、獣のような瞳を向け、驚くほどの魔力を身に纏うシラキの姿があるではないか。
これは一対一で戦わざるをえない。
シラキが複数人とユニゾンし、おそらく大量の魔力結晶を所持しているだろうことはすぐに想像が付いた。
昔は少ないと言ってもそれなりの数のユニゾン使いがいたが、今となってはごく少数しかユニゾン使いがいない。
しかもシラキは空まで飛べるらしい。
空を飛べる人間というのは実に珍しく、ユニゾン使いよりも少数だ。
序盤は本気を出さずに様子を見ていたのだが、シラキの持つ魔力の量が想定外に多かった。
最上級魔法数発分の魔力を込められた雷帝樂天はすさまじい威力で、しかも長時間持続した。
当初魔法が終わったタイミングで攻撃を仕掛けるつもりが、攻撃が終わる気配がないのだ。
反撃のためにわざと耐えるように受けたのが裏目に出た。
シラキはおそらくあまりある魔力を使い、死ぬまでこの魔法を維持するつもりだ。
おかげで構成する闇を大量に消費して脱出する羽目になった。
死神としての能力、"滅亡の大地"。
それは闇を操る能力だ。
闇の中にはかなり広い空間があり、そこを通してあらゆる物を出入りさせることができる。
また全くの自由とはいかないが、再誕の大地の世界を経由することで、冥界と地上を行き来することが可能だ。
呪いの力で物理的な攻撃もできるが、もう一つの能力がある。
"滅亡の大地"が身に纏う鎧は、死神の中でもトップクラスの防御力を誇り、操る闇によって構成されている。
"滅亡の大地"にとって、この闇は万能リソースだ。
故に弾丸として発射してしまうと、かなりの勢いでリソースを消費してしまう。
シラキの飛行能力が予想以上に高く、出し惜しみもできない。
シラキも飛行の難しさ故地上戦と比べるとかなり苦しそうではあったが、こちらも闇の大部分を消費してしまう。
空中戦を長く続けられるほど余裕がなかったので、一気にたたみかけ、一撃で決めるつもりで攻撃。
しかしシラキが持っていた刀が相当な性能を持っており、しかもそれを使い捨てにして威力を軽減。
その上魔力を投げ捨てるような使い方をしながら雷帝樂天を再度発動。
人間がやって良い戦い方じゃないぞ。
もう闇もあまり残っていない。
仕方なく奥の手である闇の鎧の解除を行い、それをブーストにして一気に突貫。
これまでのやり取りで近接戦ではこちらが有利であることは分かっていた。
故に、自らの内から出る歓喜を、抑えることができなかった。
自らの胸を貫いた刀を見て、どうしようもなくうれしかった。
闇に貫かれた後のシラキは、目を見開いてこちらを睨み付け、歯をむき出しにして動いた。
驚くほどの魔力が込められた剣が、鎧を脱いで防御力の落ちた体を貫いた。
肉体を貫通した槍に向かって自ら進み、敵を倒さんとする意志をむき出しにするその姿は、まさに野獣であった。
容量を遙かに超える量の魔力が押し込められた刀が、この後どうなるかは想像が付く。
長い間死神として生きてきた甲斐があった。
心の底からそう思った。
故に、最後まで笑って言った。
「最高の、時だった」
その言葉の直後、限界を超えた刀が"滅亡の大地"ごと破裂し、巨大な結晶となった。
『大地を飲み込む者、死神"滅亡の大地"が死亡しました』
210日目終了
倒した(有効数字二桁)
lv2 ブラックスケルトン 5000
lv4 スケルトンナイト 2500
lv6 怨念の騎士 300
lv7 地獄の騎士 50
lv3 罪術師 3000
lv5 怨念術師 500
lv9 終末術師 3
lv3 黄泉の黒煙 2000
lv2 ヘルドック 2000
lv5 ヘルハウンド 800
倒された(有効数字二桁)
グレーウルフ16(lv3)、ハウンドウルフ180(lv1)
ソードホーク4(lv6)、ソードスワロー23(lv3)
魔術師1(lv5)、見習い魔術師35(lv3)
グリフォン9(lv5)
ゴブリンシャーマン7(lv4)、ホブゴブリン32(lv4)、ゴブリン33(lv2)
イートアント3200(lv1)
トロル7(lv5)
イエティ8(lv5)
メガバウム8(lv5)
キマイラ1(lv6)
オーガ4(lv6)
マッシュ39000(lv2)
バウム40(lv3)
ニードルビー1800(lv2)
リザードマン8(lv4)
コボルト14(lv1)
食人蔦3(lv4)
食人花10(lv2)
インプ6(lv1)
グリズリー4(lv3)
"滅亡の大地"
lv11
総合A+ 攻撃A+ 防御S- 魔力量B+ 魔法攻撃C+ 魔法防御A すばやさB- スタミナA+ スキルA
鎧なし
総合A+ 攻撃S- 防御A- 魔力量B+ 魔法攻撃C+ 魔法防御B+ すばやさA+ スタミナA+ スキルA
スキル
ユニークスキル「滅亡の大地」
自身の世界を作成し、その場所との空間を繋げる闇を操る能力。
闇は質量があり、液体のようにも、霧のようにも運用できる。
液状では物理攻撃、霧の状態では触れた攻撃を減衰できる。
ワールドスキル「滅亡の行進」
地上の条件を満たす都市全てに対して、あらゆる障害を無視して侵攻を開始する。
ここで侵攻する軍は「滅亡の大地」の能力によって格納されている者で構成される。
固有技
「再誕の大地」
別空間、太陽の照りつける砂漠を現出する。
突破不可能な光の壁は、邪魔者を排除する用途でのみ使用できる。
"運命の欠片" No008,095
体長は3メートル近く、大きな黒ずくめの鎧と黒いマントを身につけている死神。
黒い鎧は大きな防御力を持つ代わり装備者の動きを制限している。
スキルを用いた軍団の移動と指揮を得意とする。
強い者と戦うことが最大の望み。
でありがなら、死神の中では個人戦闘力が二番目に低い。
気まぐれで人間を弟子にし、鍛えたこともある。
本名を隠しており、死神で彼の本名を知るものは一人もいない。
シラキ・ヒュノージェ(愛原白木)
総合B+ 攻撃B- 防御C+ 魔力量A- 魔法攻撃A- 魔法防御B+ すばやさB+ スタミナB スキルA-
(攻撃C+ → B- 魔法攻撃B+ → A- すばやさB → B+ スキルB+ → A-)
スキル
ユニークスキル「結晶支配」
シラキ本人が結晶と認識している物を創造・変形・支配する能力。
その支配力は神が世界に対して行うソレに似ている。
ユニークスキル「共鳴」
"運命の欠片" No008,060,066,095
"運命の欠片"No008 スキル「滅亡の大地」
空間と空間を繋げる闇を操る。
自身を中心に半径百メートルをダンジョンと同じ扱いにする。
自身が倒した相手のマナを回収する。
"運命の欠片"No066 スキル「旅する小さな融合賢者」
ユニゾンを補佐する。
自身と相手がユニゾン技術を持たない場合でもユニゾンを可能にする。
また二人以上のユニゾンを可能にする。
保有マナ
6,965,335
ダンジョンの全魔物(有効数字二桁)
ボス:ソリフィス(lv9)
迷宮植物:
ヒカリゴケ7000、ヒカリダケ880、魔草700、幻樹5000、枯果実の木10、魔物の木3、願望桜5
グループ:
大樹のケントロ(lv10)、グノーシャ(lv8)、ノーム99(lv3~6)
レフィル(lv8)、アッシュウルフ12(lv5)、シルバーウルフ22(lv5)、グレーウルフ130(lv3)、ハウンドウルフ0(lv1)
ハースティ(lv7)、ソードホーク16(lv6)、ソードスワロー77(lv4)
命尾(lv8)、フォックスシャーマン(二尾)32(lv5)、(一尾)0(lv4)、ハウンドフォックス(二尾)30(lv4)、(一尾)0(lv3)
リース(lv7)、魔術師34(lv5)、見習い魔術師65(lv3)
ヒポグリフ6(lv7)、グリフォン10(lv6)、グリフォン10(lv5)
ワイバーン2(lv8)
ライカ(lv8)、サンダーバード3(lv6)
ゴブリンヒーロー1(lv7)、ゴブリンヒーロー6(lv6)、ゴブリンシャーマン20(lv4)、ホブゴブリン36(lv4)、ゴブリン0(lv2)
クイーンアント11(lv5)、イートアント300(lv1)
トロル8(lv5)
キマイラ3(lv6)
マッシュ8000(lv2)
ドリアード5(lv6)、ドリアード50(lv5)
クイーンビー13(lv5)、ニードルビー500(lv2)
コボルトヒーロー1(lv7)
人:
ルテイエンクゥルヌ
フェデラフロウ=ブロシア=フォルクロア
情熱竜ディレット=ヴィニョル
一階層
洞窟
迷宮
二階層
幻樹の森
三階層
大樹の層
四階層
雲中庭園
五階層
更地
六階層
中枢部 「コア」
個室 「シラキの部屋」「ルティナの部屋」「リースの部屋」「フェデラの部屋」
ダイニングキッチン
大浴場
保存庫
畑 「ドリアード本体」*55