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異世界で小柄な女神様とダンジョン運営  作者: バージ
ダンジョンと人魔竜 ~渡る世間は強者ばかり~
35/96

第二階層、それは集会場であり主戦場

112日目

第三階層

大樹の層



第三階層は、大樹のダンジョンと化している。

つまり四方を木と草を敷き詰めたような壁で覆われ、茶色と緑の目に優しい階層だ。

形だけ見ると、実は第一階層の洞窟と似ている。

大量の部屋と通路で構成され、中身は迷路染みている訳だ。

ただ高さが不規則に変わり、ごちゃごちゃとしている第一階層と比べ、こちらは高さがきっちりと分かれている。

一階が高さ十メートル程で五階分あり、広さは、どうも第一階層の二倍くらいはあるようだ。

人工物という感覚があり、自分が今何階にいるか分かりやすい分迷いにくい。

それに広い部屋が多く、途中天上が突き抜けて五階分の高さの吹き抜けになっている場所がいくつかある。

ショッピングモールみたいになっているその場所では遠距離部隊も活躍しやすいし、戦略の幅が拡がるな。


これはダンジョンコアアタックのクリア報酬の一つである。

マナの消費無しで一階層分もらったということになる。

第三階層の更地が変わったわけでは無く、二階と三階の間にねじ込まれた形であるため、三階層以降は全て一階下にずれた。


で、俺はこの第三階層を、命尾みょうびを腕に抱いたまま散歩した。







第二階層

崖上



第二階層の崖上にある芝生は、みんなが集まる集会場のような認識になっている。

完成した陽光結晶が照らす第二階層は暖かく、この場所は座って駄弁るには絶好の場所だ。

そんな憩いの場で、俺は命尾を抱き枕変わりにして草むらの上に横になっていた。


「あー…命尾の体暖かいー」


昨日はコアアタックで一日大分疲れたので今日は一日休みである。

とはいえ単純にルティナの修行がないだけで、フェデラの治療と結晶武器の作成はやるわけだが。

休みになった以上やることはだらだらするだけである。

一日寝て過ごしたい。

そんなことを言ったら命尾が抱いて抱いてとせがんできた。

このこあれだ、犬の大きさした猫だ。

そんなわけで命尾を腕に抱いたまま散歩に興じていたのだ。

もふもふして暖かくてかなり気分が良くなった。

そして適当なところで切り上げてこの場所につき、そのまま抱いて横になっていた。


(あ~マスター暖かい~)


命尾が大分だらしない声を出している。

そしてそんな二人の近くで昨日仲間になったノームがいつもの連中と話している。


「いやぁ、あの命尾とは思えない様な絵面だね!」


笑いながら元気な声を出すのは、大樹のダンジョンにいたノーム達百人の頭。

魔物レベル8、ノームのグノーシャ。

完全な人型だが、服は土の精霊らしく茶色、というか土のような色をしている。

中性的で整った顔立ちでかわいい女の子にも見え、声も高く女性らしいが、グノーシャに性別はない。

ノームは元々性別がなく、相手に合わせて自身の性別が変化するんだそうだ。

…男になったらナニが生えるんだろうか、完全に神秘だな。

まあ女になって子宮が出来るのも同じくらいすごいが。

彼、あるいは彼女は常にニコニコして笑っているが、その話し方は少々煽られているような気分になるので何とも言えない。


(あいつはいつもあんな感じだぞ)


レフィルが呆れたように答える。


「戦場では冷たい指揮官なのに、家じゃまるで子猫だ!」


言葉の節々に笑いをにじませながらグノーシャは話す。

いや、そのしゃべり方だと馬鹿にされてる気になるので自重してくれませんか。

言葉の節々に草が生えている気がする。

ただおそらく悪気はないのだと思う、多分。


「確かに戦場だとちょっと冷たくて怖いけど、普段は命尾ちゃんかわいいよね」


リースが言うとブーメラン、というか別に二人とも怖くないと思うが。


「ギャップというならリースも大きいだろう」


ソリフィスが突っこみを入れる。

俺がいなくても大分ボケと突っこみがバランス取ってるな。


「だよねー!ここの女性陣ギャップ萌えー」


グノーシャが来たせいでそれもかなりボケに傾いた気がするが。


(あれがかわいいか?)

「リース、感性が人間に近いのか?」


レフィルは懐疑的で、ソリフィスは疑問な様子だ。

確かに普段から、リースは知らなきゃ分からないレベルで人間をしていると思う。


「え、うーん…?」

「…リース。俺を見ろ」


ソリフィスが翼を大きく広げ、リースの真正面に立つ。

その威容はまさに強者のそれ、ダンジョンボスとしての風格が漂っている。

リースはそれをまっすぐ見つめるが、ソリフィスの意図が分からないのか不思議そうだ。


「へぇ、彼みたいな人間の下にいても、魔物は衰えてはいないみたいだね」


グノーシャがあっけらかんとした笑いを引っ込め、代わりにニヤリと、人の悪い笑みを浮かべた。

ソリフィスはそれを横目で睨むが、すぐに視線を戻した。


「人型の影響か、我が主の影響か。あるいは本人が元々持っていたものかも知れないが、やはり魔物らしくはない」

「自身が住むダンジョンのボス、自分より強力な魔物を前に、反応無しはねぇ」


ソリフィス、グノーシャが言う。

魔物にとって力というものが占めるウエイトは非常に大きい。

アイデンティティの根幹にもなり得るのだ。

威圧という形で分かりやすい力を表していたソリフィスに対し、無反応というのは不自然なのである。

しかし、リースは気にした様子もなく言う。


「言われて見れば、そうかも」

(そんなものじゃないか?シラキの眷属は)


レフィルが当然のように言った言葉に、全員が沈黙する。


「そうかもしれん」

「いやぁ、変態は人間の特権だよねー!」


グノーシャは笑いながら、大げさにバンザイして言う。


「その通りだが、お 前 が 言 う な」


もうソリフィスは完全にツッコミ要員になってしまっていた。










第六階層

中枢



召喚タイム、もとい戦力強化タイム開始だ。

前回大量のマナが手に入ったが、これもちょちょいと召喚すればすぐ無くなる。

今回の召喚では、主に遠距離攻撃の強化を行う。

この前の大樹のダンジョンコアアタックで思ったが、こちらは近接攻撃の比重が大きすぎる。

もっと遠距離攻撃が出来れば、それだけで力が増すはずだ。

更に言うなら、これから高レベルの敵を相手にしていく中で、近接系の魔物は普通に蹂躙されて終わる気がする。

俺が上級魔法でなぎ払ったように、こちらも似たようなことをやられかねない。

遠距離攻撃が出来れば、まあ何とか役に立つだろうと思う。

そんなわけで、それなりに遠距離攻撃ができる魔物を呼び出す。


その魔物とはドリアードだ。

彼女達は道具を使いこなすが、弓矢が得意な武器の内の一つである。

しかもその弓矢は彼女達が木の幹から出てくるとき普通に持ってくる。

多分ウエポンズビーストだと思います。

本体である木に戻ってしまえば何度でも出せるらしい。

他にも短剣とかは槍とかは出せるし使える模様。

短弓を持って森を飛び回る様はどう見てもスカウト。

あるいは狩人か暗殺者と言っても良いが、彼女達はすごい身軽だ。

美しく女性らしい肢体と薄いドレスからは想像できないが、戦うときはそれなりの服に変えるとのこと。

短弓も見た目ただの木製の弓なのに複合弓と言われても信じるような性能を持っている。

…さすがウエポンズビースト、見た目に囚われない。

まあそんなわけで奇襲や遠距離攻撃要員(特攻もできる)として、五十人ほど召喚しておく。


で、次は既存の部隊の強化。

遠距離は魔術師に任せるため見習い魔術師は多めだ。

コストの安いハウンドウルフを多めに、高いフォックス類も補充。


レベル 名前          数  必要マナ

lv1  ハウンドウルフ     300   30000

lv3  ウルフソーサラー    30   18000


lv3  ハウンドフォックス   20   12000

lv4  フォックスシャーマン  20   20000


lv3  見習い魔術師      100   60000

lv5  魔術師         20   50000


lv4  ドリアード       50   50000


合計 240000


消費がすごい。

そしてこのハウンドウルフの安さよ。

この安さのくせに団体戦だとそれなりの戦闘力を発揮するからすごい。

単体だと雑魚だが、単体で運用する機会とか無いから。


んで、次。

クイーン系の召喚。

果たしてどれほどの戦力になるのかはいまいち分からないが、増える量に魅入られてしまったので召喚する。


レベル 名前          数  必要マナ

lv5  クイーンアント     10   50000

lv5  クイーンビー      10   50000


合計 100000


今までクイーン系を召喚しなかったのは、一匹のクイーンが一つの部隊を持つからだ。

ぶっちゃけ扱いにくい。

いや、ホント扱いにくい。

それがこの前のコアアタックでダンジョンコアのレベルが上がり、クイーンを一つにまとめることができる様になった。

何でとか聞いてはいけない、ルティナに聞いたら、


「神の力を持ってすればその程度造作も無いですね」


と言われてしまった。

納得した。


で、今回新しく召喚する魔物がこちら、ソードバードと呼ばれる魔物達。



ソードスワロー

魔物レベル3

総合C-攻撃C 防御D 魔力量D 魔法攻撃G 魔法防御D すばやさC スタミナD

体は鷹と同じくらいの大きさで、見た目はツバメ。

シャベルの柄のような取っ手の付いたナイフを足で掴んでおり、それを空から放ってくる魔物。

持っているナイフは例によってウエポンズビースト。



ソードホーク

魔物レベル6

総合B攻撃B+ 防御C 魔力量C+ 魔法攻撃C 魔法防御C+ すばやさB スタミナB-

体は大きな鷲より少し大きく、見た目は鷲。

二つの剣が平行に並び、中間にある二つの剣を繋げている取っ手を握って飛ぶ。

風属性魔法が使え、また空中に生成した数本の剣を放って攻撃する。

持っている剣はあまり投げず、希に近接戦もする。



はい、どう見ても遠距離要員です。

というか完全に幻樹の森での空対地攻撃を意識した人選。

というかね、思ってたんですよ。

サンダーバードがいるなら他の属性の鳥なり魔物なりがいてもおかしくないよね、って。

こいつサンダーバードの同類だ!

風属性の鳥、と言うことはサンダーバードにも下位互換が…?

いませんでした。

というかダンジョンコアの魔物全書に載ってない。

載っていても召喚できない魔物とかいるし、そんなものなのだろう。

とにかく、こいつらの召喚数はこんな感じだ。



レベル 名前          数  必要マナ

lv3  ソードスワロー     100   60000

lv6  ソードホーク      10   65000

ソードホーク補正増し増し    1    10000



指揮官、と言うか代表の様な役割は必要だ。

なんせしゃべれないと詳しい指示や情報共有が難しい。

念話で大量の相手から一気にしゃべられても、聖徳太子じゃないんだから聞き取れん。

そんなわけで色々補正付けてたら高くなったが、必要経費だ。

ちなみにこの補正を上乗せした指揮官にはハースティと名付けた。


で、その他。

高レベル帯の魔物が増えてきたから食料を増やす。



レベル 名前          数  必要マナ

    枯果実の木       10   15000

    魔物の木        2    20000

    願望桜         1    10000



枯果実の木はレベル3~8のあらゆる魔物の食物になる大樹だ。

茶色のナシのような果実がなる。

木自体が大きく、実も沢山なるので結構な数の魔物をまかなえる。


合計 190000 + 150000 + 135000 + 45000 = 520000


以上!

戦力的にはかなり強化されただろう。

ただ、前回の収入はほぼ吹っ飛んでしまった。








112日目終了

シラキ・ヒュノージェ(愛原白木)

総合B+攻撃C 防御C+ 魔力量B+ 魔法攻撃B+ 魔法防御B すばやさB スタミナB- スキルB


スキル

   ユニークスキル「結晶支配」

     シラキ本人が結晶と認識している物を創造・変形・支配する能力。

     その支配力は神が世界に対して行うソレに似ている。


   ユニークスキル「共鳴」



保有マナ

26,750   (+821/日)



ダンジョンの全魔物

ボス:ソリフィス(ヒポグリフ)

迷宮植物:

    ヒカリゴケ5300、ヒカリダケ660、魔草530、幻樹5000、枯果実の木10、魔物の木3、願望桜5

グループ:

大樹のケントロ(lv10)、グノーシャ(lv8)、ノーム99(lv3~6)

    レフィル(lv6)、アッシュウルフ12(lv5)、シルバーウルフ4(lv5)、グレーウルフ34(lv3)、ハウンドウルフ313(lv1)

    ハースティ(lv7)、ソードホーク20(lv6)、ソードスワロー100(lv3)

    命尾(lv6)、フォックスシャーマン(二尾)12(lv5)、(一尾)20(lv4)、ハウンドフォックス(二尾)10(lv4)、(一尾)20(lv3)

    リース(lv6)、魔術師20(lv5)、見習い魔術師115(lv3)

    ヒポグリフ1(lv7)、グリフォン4(lv6)、グリフォン3(lv5)

    ゴブリンヒーロー1(lv6)、ホブゴブリン3(lv3)、ゴブリンシャーマン17(lv3)、ゴブリン59(lv2)

    クイーンアント11(lv5)、イートアント117(lv1)

    メガバウム8(lv5)

    キマイラ4(lv6)

    オーガ4(lv6)

    マッシュ377(lv2)

    バウム40(lv3)

    ドリアード55(lv5)

    クイーンビー13(lv5)、ニードルビー238(lv2)

    リザードマン8(lv4)

    トロル2(lv5)

    コボルト14(lv1)

    食人蔦3(lv4)

    食人花10(lv2)

    インプ6(lv1)

単体・その他(能力順);

    サンダーバード1(lv6)

    コボルトヒーロー1(lv5)

    グリズリー4(lv3)



人:

    ルテイエンクゥルヌ

    フェデラフロウ=ブロシア=フォルクロア



一階層

洞窟

迷宮


二階層

幻樹の森


三階層

大樹の層


四階層

更地


五階層

更地


六階層

中枢部  「コア」

個室  「シラキの部屋」「ルティナの部屋」「リースの部屋」「フェデラの部屋」

ダイニングキッチン

大浴場

保存庫

畑  「ドリアード本体」*55


もう35話かぁ。感慨深い…けど、それほど話しは進んでないような。

次回からはダンジョンでのバトルになります。ドラゴンとの戦い、シラキ君がしかっり活躍するけど、もしかしたらはのお話し始まって初めてかも。

次回「神で動くは神の子ばかりではなく」

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