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異世界で小柄な女神様とダンジョン運営  作者: バージ
ダンジョンと人魔竜 ~渡る世間は強者ばかり~
28/96

ダンジョンマスターと魔物達の日常

70日目



俺は第二階層の崖の上にある、草が生えていて、森が一望できる場所に腰を下ろしている。

頭上にはまだ作成途中の陽光結晶が輝いている。

まだ十分とは言えないものの、フロア全体の半分ほどを明るく照らしている。

明るさと方向的に、日の出と少し近いかもしれない。

そんな場所で俺は、ピクニック気分でくつろいでいる。


ダンジョンコアのデータベースには、魔物の知識が掲載されている。

俺が魔物全書と呼んでいるこの資料を元に、つき合ってみて感じたことを加えて色々話してみたい。



・繁殖について


魔物を召喚するに当たって、大きな要因の一つであるこの繁殖。

しかし、この要素は今のところほとんど空気になっていた。

原因はいくつかあるが、大きいのは二つ。


一つめは、何かとダンジョン内が忙しいこと。

魔物の繁殖と行っても、腹に子を抱える種族もいるし、ある程度時間がいる。

総力戦もあったし、いつ敵が攻めてくるかも分からないし、あまり余裕がなかった。

特にフォックスやウルフは主力のため、簡単には繁殖できない。


二つ目は、そもそも繁殖するタイプの魔物ではないこと。

俺のダンジョンの魔物達は、動物系と魔獣系が中心。

彼らは純粋に肉体の力が強いことが多く、また尖った能力を持っていることもある。

その反面繁殖能力という面では低く……と言うか、それなりの大きさの体を持つ動物として正常だ。

一、二ヶ月で増えたりしない。


これらの要因から魔物が増えていなかったのだ。

しかし、これからは違う。

いくつかの種族が繁殖の条件を満たしたのだ。


筆頭は、クイーンビー。

ダンジョン最初期に召喚したクイーンビーは、すでに巣が完成して一ヶ月が経つ。

洞窟区間という少々異質な場所に作らせてしまったが、問題なく機能しているようだ。

すでに繁殖が軌道に乗っているらしく、この前遂に第一弾が生まれた。

これからは一ヶ月に五十匹くらいのペースで生まれることだろう。

マナに換算すると、レベル2のニードルビーが月五十で10000マナ……あれ?

ビー達に限らず、魔物は成体で生まれてくる物が多く、即戦力として使える。

……バランス壊れてないかこれ?

冷静に考えてみて、魔物の有用性をレベルで判断することの愚かしさを感じたのだった。

と言うより、ニードルビーというのは召喚コストの方が割高なんだろう。

ニードルビーってはっきり言って弱いし、数が無くては大して役に立たない。

繁殖がバランスブレイカーなのではなく、召喚で増やそうとすることが間違っている、と。

その上、一クイーンで一グループだから統合ができない。

闇雲にクイーンを増やすと、部隊管理が面倒くさそうだ。

ダンジョンコアのレベルが上がったらクイーンビー達をひとまとめにできたりしないかな。

まあ、もう少しならクイーンを増やしてみても良いかもな。



で、次はこの前召喚したマッシュ。

増える増えるとは言ったが、こいつは一月で五倍になる。

胞子をばらまき、その胞子はくっついた場所で成長。

胞子の多くは成体となる前に死ぬが、残りは一ヶ月で成体となる。

あと、別に人間にくっついて寄生したりはしないから安心だぞ。

ちなみにマッシュの幼体は、小さい内はキノコと全く変わらず、毒も無いため普通に取って食べれる。

これから先いくらでもキノコが採れるぞ!


他にもウルフやフォックスは洞窟よりは良い環境が確保できたので、繁殖も芽はあるとのこと。

ゴブリンもこれから増えだすし、時間が経てば立つほど戦力は増える。



草の上でごろごろしながらそんなことを考えていると、崖の下から誰かが上ってくるような音がする。

横になりながら聞いていると、音が近づき、二つの影が飛び出してきた。


(主、なかなか良い場所にいるじゃないか)

(こら狼!マスターがお休み中だったらどうするつもりですか!)


命尾とレフィルだ。

レフィルが崖登りするのは知っていたが、命尾もできたのか。

体の大きなレフィルに、比較すれば小さな命尾がくってかかっているのが面白い。

命尾の尻尾も三本になっているし、俺、レフィル、命尾、リースがみんなレベル6なんだな。


「あー、ぼーとしてただけだから問題ないぞ」


と言ってはみるが、俺をほっといてにらみ合う二人。

こいつら仲良いだろ。


(さて、俺も休むとするぜ)

(あ、マスター私もお付き合いします!)

「ああ、どうぞ」


少々押されつつも了承すると、俺の左右にごろんとする。

地面にべたっと腹を付ける感じで。

ちょうど良い機会だし、聞いてみるか。


「二人とも、繁殖について聞いて良いか?」

(ああ、その話か。こっちは何組も生んでみるという話になってるぞ。しばらくは戦えなくなるが)

「まあ多少は魔物も増えたし、問題ないと思うぞ」


レフィルのウルフ隊はそういう話も出てるのか。

レフィルの隊は間違いなくこのダンジョンの主力だし、戦力増強は望ましい。

"滅亡の大地"が攻めてくるのはまだ先だし、今のうちに時間がかかることをやってしまいたい。


「命尾は?」

(こちらは何組かはいますけど、少ないです。あまり影響はなさそうかと)

「なるほど」


ふむ、まあ生まれる時を楽しみにしているとしよう。

まあ別に問題も無いし、また仰向けに戻って別のことを考ることにした。



・収入


収入、増えたなぁ。

現在、収入はフェデラを入れて一日当たり540マナ。

ちなみに収入の八割が願望桜で、二割がルティナ。

如何に俺と魔物の収入が低いかが分かる。

今の俺が8、ソリフィスが5、フェデラが4、命尾とレフィル、リースが1。

フェデラが明らかに実力以上のマナを出してるが、体内の呪いと黒結晶を考えればおかしくないのかもしれない。

それに実力以上、と言う意味ではソリフィスより俺の方がマナ出してる。

魔物より人間の方が得られるマナが多いって、はっきりわかんだね。



草の上でごろごろしながらそんなことを考えていると、遠くから大きな翼で羽ばたくような音が聞こえてくる。

ソリフィスだ。

力強い動きで俺達から少し離れた場所に着地し、歩いて近づいてくる。

多分俺達に風圧が直撃しないように気を遣ったんだろう。


「楽しそうだな」


ボスまで来た。

ごろごろしてるだけの俺達をみて、楽しそういう言葉が出てくることに、ちょっと笑った。


「寝てるだけだけどね」


暇なのか、ノリが良いのか、そうするべきだと思っているのか。

ソリフィスも翼をたたみ、馬の身体を横たえた。

馬が横になる場面なんてそうそう見る機会無いよな。


ええっと、次は何について考えようか?

ああそうだ、数日前また"闘争と契魔の儀式"を行った。

色々あったが、結果としては以下の通り。


レベル1:コボルト16体、インプ3体

レベル2:ゴブリン7体、食人花6体

レベル3:ホブゴブリン1体、ゴブリンシャーマン3体、グリズリー2体、バウム5体

レベル4:リザードマン5体


今までと比べると数は少なかった。

気がついたのだが、いつの間にか俺は、リザードマンすら刀一本で倒せるようになっていたらしい。

近接戦闘の訓練も手を抜かなかった甲斐があったという物だろう。

片手剣持ちのリザードマンとのチャンバラは、なかなかに良い勝負だった。

ただ、刃の届く距離で刀を打ち合うというのは、正直な話、相当怖かった。

中・遠距離で魔法で戦うならともかく、刃物で斬り合いなんて今思い出してもぞっとしない。

後からリザードマンが4体出てきたときなんか、刀を抜くことすらなく魔法で一掃したからな。

情けない話だが怖い物は怖い。

結局まともに白兵戦ができるのは、格下の相手だけと言うことだな。

ちなみに横で見てたルティナには思うところあったらしく、何かまた新しい修行をするという話だった。

何をするかは分からないが、恐怖と緊張で剣先が鈍らなくなればいいな。


草の上でごろごろしながらそんなことを考えていると、何かが凍り付くような音が聞こえてきた。

不思議に思っていると、しばらくして手にかごを持ったリースが歩いてきた。


「みんなー、お菓子作ったよ~!」

「マジで!?」


驚いたことに、リースとルティナとフェデラの三人でビスケットの様な物を作ったらしい。

俺達がここでごろごろしている間に厨房で何があったんだ。


(よ、呼んでくれれば私も手伝ったのに!?)


そして命尾が愕然としていた。

南無。


「命尾さん、作れるの?」


確かにリースの言うとおり、命尾はどうやって手伝うつもりだろう?

狐だから人間に変化するとか?


(………変化の術を覚える必要ができました、早急に)


覚えてないんかい。


(フォックスシャーマンって変化使えたか?)

(使える。だがどのタイミングで使えるようになるかは知らん)


レフィルの問に、ソリフィスが答える。


「俺も……いや、修行がない日は俺も一緒に作りたいな」


お菓子作り、興味はあります。

修行のある日は疲れてやる気力無いと思うけど。








70日目終了

シラキ・ヒュノージェ(愛原白木)

20歳 身長170cm 体重62kg

総合B攻撃C- 防御C- 魔力量B+ 魔法攻撃B 魔法防御B- すばやさB- スタミナC+ スキルB-

(すばやさC+ → B-)


スキル

   ユニークスキル「結晶支配」

     シラキ本人が結晶と認識している物を創造・変形・支配する能力。

     その支配力は神が世界に対して行うソレに似ている。


   ユニークスキル「共鳴」


ダンジョン


保有マナ

11,754(+542/日)


ダンジョンの全魔物

ボス:ソリフィス(ヒポグリフ)

迷宮植物:

    ヒカリゴケ4400、ヒカリダケ550、魔草440、幻樹5000、魔物の木1、願望桜4

グループ:

    レフィル、ウルフソーサラー10、グレーウルフ18、ハウンドウルフ15

    命尾、フォックスシャーマン12、ハウンドフォックス10

    リース、見習い魔術師15

    グリフォン4

    ゴブリンヒーロー1、ホブゴブリン5、ゴブリンシャーマン16、ゴブリン56、

    ドリアード5

    バウム25

    クイーンビー1、ニードルビー60

    クイーンビー1、ニードルビー20

    マッシュ40

    リザードマン9

    コボルト16

    食人花6

    インプ3

単体・その他(能力順);

    コボルトヒーロー1

    グリズリー2


野良・その他:

    ゴブリン13、ホブゴブリン1、コボルト5、コボルトロード1、ハウンドウルフ19、インプ5、グリズリー1





一階層

洞窟・迷宮


二階層

幻樹の森


三階層

更地


四階層

更地


五階層

コア、個室4、ダイニングキッチン、大浴場、保存庫



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