円卓の俺達・ボス部屋にて
52日目
第一階層で最大の大きさを誇るボス部屋。
どれくらい大きいかと言えば、五十メートルプールが丸々入ってまだ余裕という程。
そんな広いボス部屋には、フォックス達、ウルフ達の群れが集まっている。
部屋の中心に置かれた椅子と机の周りで、彼らは思い思いにすごしていた。
「椅子を置いても座るのが二人しかいないのよね」
とつぶやいたのは、椅子に座っている二人の内の一人、俺ことシラキ。
椅子を運ぶ段階になって、ようやく座る人の少なさに気付いた。
背の低い机の周りには、馬の身体を持つために、立ちっぱなしのソリフィス。
命尾とシルバーウルフは地べたにお尻を付けている。
彼らにとってはそっちの方が自然なのでまあ別に構わないが、五人いて椅子に座っているのが二人だけというのも不思議な感覚だ。
それにこうして並ぶと圧倒的に命尾が小さい。
立った状態で俺並みか、それ以上に大きいソリフィスやシルバーウルフと比べ、命尾は普通の狐と同じくらいのサイズだ。
具体的に言うと頭からお尻まで七十センチくらいだろうか?
それが俺の脚に体をこすりつけている。
…もふもふしてくすぐったい。
命尾はすごくかわいいのだが、膝の上に乗せていられるほど小さくはない。
机の方は背が低いとは言っても命尾の頭よりは高い位置にある。
まあ机の上にのっけるか。
俺の脚を擦り続ける命尾のおなかをおっかなびっくり両手で掴んで持ち上げる。
(あーん、マスター)
「あれ?命尾、尻尾増えてる」
ひとまず膝の上にのっけて見てみると、確かに尻尾が二本になっている。
(ああっ……あ、尻尾ですね。実は今朝気付いたら一本増えてまして)
答えが返ってくるまで若干間があったのだが…まあ気にしなかろう。
それより、フォックスシャーマンは尻尾が増えていくのか?
だとしたら最終的には九本まで行くのかもしれない。
「フォックス族は成長すると尻尾が増えるそうですよ」
「さすがルティナ、博識」
「い、いえ」
何か分からないことがあると、大抵ルティナが答えてくれる。
そして妙に照れるルティナ。
ずいぶん長く生きてるのだし、言われ慣れてると思うのだけれど……まあ良いか。
疑問も解決したことだし、命尾を抱えて机の上にのっける。
(あーん、マスター)
命尾が残念そうな声を出す。
ってそれ二回目だろ。
この子は何を感じているんだろうか。
「さて、何から話すか」
ここに集まったのは、昨日の戦闘の反省会をするためだ。
魔物達に好きに集まれと言ったら狐と狼だけ来た。
グリフォン達は普段からボス部屋にいるから今もいるが、コボルトヒーローは来ていない。
まあ、命尾とシルバーウルフがいれば主力はそろっているといえるだろう。
・ウルフ種について
「とりあえず最初に思ったのは、ウルフ強くね?ってこと」
(確かにこちらの撃破はほぼウルフがやっていました)
斥候二体を一蹴したり、その後も乱戦で相当活躍したらしい。
「ハウンドウルフってさ、ホントにレベル1なの?」
いくら補助・連携・数の暴力とそろっていても、そんなに簡単にあの怨念の騎士を倒せるのだろうか?
今になって不思議だ。
と思っているとシルバーウルフが近寄ってきて体をこすりつけてくる。
ブルータスお前もか。
などと思っているうと、シルバーウルフが頭を上げてこちらを見る。
ふむ…。
「つまり、生み出されてからずっと修行してたと」
シルバーウルフから肯定の意図が伝わる。
「真面目に訓練する魔物だなんて、多くあることじゃないんですけどねー」
「我も自然にグリフォン達と訓練していたが、考えてみれば珍しいな」
それってつまり召喚者である俺が変わり者だって意味だろ。
「主が変わり者なら、眷属も変わり者か」
変わり者であることは悪いことではないからな。
なにも問題は無い。
それより、ハウンドウルフは多分もう素の戦闘力でもレベル1じゃないんだろうな。
俺の時もそうだったけど、弱い内は成長も早い。
「それに、召喚した時点で彼らは体が二回りぐらい大きかったですね」
「体が?」
シルバーウルフを見る。
体が大きく、高さと全長は小さな馬と同じぐらいある。
大の大人を一人背に乗せて走るくらい余裕だろう。
少なくとも地球の狼よりはずっと大きい訳だ。
「召喚した時点でレベル2はあったと思います。あ、理由は分かりませんよ」
そうなのか。
召喚にも振れ幅があるのか、何か誰かの意図があったのか。
しかし、開始時点でレベル2あったのなら今はもうレベル3あるかもな。
ま、強いのは良いことだ。
などと考えていたら、ルティナが怪訝な表情でハウンドウルフを見ている。
「……て言うか、これは」
「どうした?」
「んー…シラキさん、ちょっとダンジョンの魔物を確認してみて下さい」
「ああ」
ルティナに言われたのでダンジョンの情報を確認する。
「えっ?」
眷属一覧から、ハウンドウルフが消えている。
そして、代わりにグレーウルフの文字が。
「どうです?」
「ハウンドウルフがグレーウルフになってる」
「やっぱり。より上位の魔物へと進化したようですね」
進化するのか!
グレーウルフを調べるが、記述が無い。
分かったのはレベル3であることと、グレーウルフという名前くらいか。
俺は感心しながら魔物の一覧をざっと眺める。
「てかいつの間にかフォックスシャーマンが一減って命尾が単体で表示されてるし」
フォックスシャーマンの総数が12になり、命尾が独立して表示されている。
まあ命尾はどう考えても普通の魔物じゃないしね。
「ふふ、強くなるのは人間だけではないということですね」
ルティナがうれしそうに言う。
俺の修行の時も思ったけど、ルティナは誰かが成長するのを見るのが好きなのかもしれない。
そんなルティナを見て、俺も表情が緩む。
そして、そんな俺を見た命尾とシルバーウルフまで笑顔を浮かべていた。
ほのぼのしていて良いね、俺は好き。
「さて、と。シルバーウルフ」
呼ばれたシルバーウルフがこちらを見る。
「今回シルバーウルフは大きな働きをした訳だ。また、これからも長い付き合いになるであろうシルバーウルフに名前がないというのも寂しい」
命尾とシルバーウルフが、驚いた様な顔をする。
いや、人間でもないし実際の所どうかは分からないが。
事前に話し合っていたルティナはにやけ顔だ。
「そんなわけで、名前を考えてきた。受け取ってくれるか?」
受け取ってくれなかったら泣く。
とまでは言わないけど。
その心配は杞憂に終わり、シルバーウルフは頷き、姿勢を正す。
周りにいる全員の視線が集中し、少々緊張する。
「silver wolfの字から取って、Refill、レフィルだ」
大きな声で言ったわけでは無いが、そのときだけ静まりかえっていた洞窟に、俺の言葉は響き渡った。
言ってから気付いたが、周りにいる全員が俺のことを見ていた。
それこそ、フォックス達もウルフ達も。
メチャクチャ緊張するからヤメテ!
などと焦る俺を気にせず、シルバーウルフは大きく頭を下げる。
(拝命した。我が名はレフィル。今後とも、主シラキに忠誠を誓う)
突然の声に俺は緊張も忘れ、目を見開いて仰天する。
それは若く、男らしい声で俺の心に響いた。
「シル……レフィル、お前念話できたのか!?」
(主シラキに名前を賜り、オレは魔獣レフィルになった。霧が晴れたようだ……これからは、念話で話すことができる)
……突然の事態に、しばらく思考停止していた。
魔物は摩訶不思議だ。
いや、そもそもこの世界がファンタジーであったか。
・怨念の騎士について
今回の戦い、ルティナは一切参加していなかったが、理由は情報収集に回っていたからだ。
兄妹で話し合っていたらしく、謎についてはルティナに聞けば大体分かるだろう。
「怨念の騎士についてなのですが、こちらで当たりを付けてみました」
そもそも怨念の騎士は深い憎しみや後悔を抱いて死んだ騎士のなれの果てだ。
なるためにはある程度の力量が必要だし、死んだ後、みんながみんななるような存在ではない。
それがあれだけの数いたのだ。
行動も妙に集団行動が板に付いていたし、まず自然の現象でないだろう。
「彼らは元"大地の騎士団"。前回の終末の時に全滅した騎士団です」
ルティナは簡潔に説明した。
大地の騎士団は、土の魔法を好んで使う非常に有力な騎士団。
団員は数百名、本隊の平均冒険者ランクはB-。
"終末の四騎士"と呼ばれる、邪神の騎士の一人と戦い、全滅した。
そして、最初に戦った騎士が、おそらく騎士団長だったのだろう、と。
「終末の四騎士に殺された人間はアンデットとして蘇り、邪神の戦列に加わります。…何があったかは分かりませんが、彼らはあれ以降朽ちずに残っていたのでしょう」
「酷い話だな」
殺された後、数百年も邪神に操られていたのか。
「彼ら自体が、おそらく先駆け、あるいは斥候の役割を担っていたんでしょうね」
「妙に軍としての動きが良かったのは、生きていたときの名残か」
「そうですね。考える能力を無くしても、染みついた動きや技術は死霊になっても変わりません」
まあこれで動きの良さと頭の悪さがちぐはぐだったことの説明はつくか。
(乱戦時の動きは熟練の騎士団のそれでしたし、死霊で良かったかもしれませんね)
お、おう。
いや、確かにあの強さに知能まで付いたら相当だろう。
転移魔方陣とか踏んでくれないだろうし。
「まあでも生きてるなら生きてるで持久戦が生きるけどな」
ダンジョン内では魔物を倒すくらいしか飯を得る手段がないし、人間には過酷だ。
一階の洞窟を抜けるのに一体何十時間必要なのか分からないぞ。
広さ的には一平方キロメートルあるし、作りが立体だから平面程楽じゃない。
・黄泉の黒煙について
「推測の域を出ませんが、黄泉の黒煙はおそらく冥界の魔物だと思います」
推測とは言っているが、ルティナはほぼ冥界産だと思っているようだ。
「まあ、邪神配下の騎士団と一緒にいた訳だしな」
「それに神の子が三人そろって知らない魔物なんて、その時点でほぼ確実に黒です」
ああ、三人とも知らなかったのか。
人・魔族・竜の神の子が全員知らないとかそりゃあ怪しいわ。
「結局詳しいことは分からなかったけど、レベルは3だったみたいだな」
「裁きの鉄槌で一撃だった。レベルは低い」
いや、ソリフィスの裁きの鉄槌なら、レベル5くらいまでの魔物なら一撃だと思うのだが。
思えば強制転移からの上級魔法なんて結構エグいことやったなぁ。
まあ余裕がなかったから仕方ないんだけど。
・上級魔法のヒットアンドアウェーについて
「この決して広くないダンジョンの中でよくソリフィスに乗って当て逃げなんてやる気になりましたねー」
ルティナが机の上に肘を突いて一息に話す。
その表情は、面白いおもちゃを見つけた少女のようだ。
「いや、普通に怖かった」
大人が三人余裕を持って並べるくらいの大きさの通路とは言え、ソリフィスに乗ってしまえば大して広くない。
そのうえ並のバイクより速いのだから相当だ。
壁がすぐ横を流れていくようでかなり怖かった。
上級魔法を撃つために集中したり、タイミングを合わせたり、撃った後もコントロールしたりと大変だったし。
「にしてもソリフィスが本当にすごいな。ダンジョン内で疾走しながら上級魔法とかできるか普通?」
「まあ難しいですね。同じことができる存在はそうはいません」
沢山いたら怖いな。
(あの戦法があれば、レベルの低い敵なら集団でも一蹴ですね!)
「だな。レベル高いヤツだと反撃してくるだろうけど」
しかしアレだな。
この場所で戦う限りこっちのアドバンテージがすごいな。
なんてったってこっちは常に相手の位置が分かる。
もうこれだけで相手からしたらすさまじいハンディだろう。
しかも速さがソリフィス以下の敵なら好きなだけ撃ち逃げができる。
並の相手じゃ、反撃はおろか防御することさえできないだろう。
仮に追いかけられたとしても、こちらは迷宮の地理が分かってるから簡単に相手を撒くことができる。
…うわぁすごい。
・乱戦及び犠牲について
「勝ち戦とは言え、多くの犠牲を出してしまった」
自らの立場をある程度は理解しているが、それでも自分は眷属達より安全だった。
自らの都合で眷属達を死なせているという自覚はある。
主力こそ犠牲は少なかったが、それ以外は酷い有様だ。
数字だけ見れば、眷属350人中195人が犠牲になったのだから。
(申し訳ありません、マスター)
「いや、命尾を責めたわけじゃない、実際命尾は十分すぎるほど良くやった」
責めたのは俺自身だ。
今回の戦い、命尾の功績はデカい。
彼女は指揮官と情報収集の両方をになっていたのだから。
ある程度でも敵の強さが分からなければ、撃ち逃げもできない。
あれは乱戦の指揮官だった命尾が、敵の中に強力な個体がいないと見抜いたからこそ使えた戦法だ。
敵の中に前回の騎士と同等の力を持った魔物が一人でもいた場合、この戦法は特攻に変わる。
こちらが上級魔法を放ったばかりでまともに次の魔法が撃てず、一時的に魔法防御力も低下。
限られた空間内を疾走中のためろくに回避もできない。
相手が上級魔法でも撃ってこようものなら、ソリフィスはともかく俺は死ぬ。
「後悔していますか?」
「いいや、全く」
俺のできることはやった。
そして後悔は戦った者全員を貶める行為だと思う。
反省と後悔は違う。
ただ、事実として眷属の死があるというだけで。
「上からの物言いだが、眷属が死ぬ覚悟はしていた……俺の死も」
それこそ主力以外全滅ぐらいは覚悟していた。
そもそも勝てるかどうかすら不安だったぐらいだ。
俺を含めて死ぬ可能性は十分あった。
「戦う以上、死ぬことはある。我らは皆我が主の眷属として生まれたとき、我が主のために戦い死ぬことを決めているのだ」
「シラキさんには、覚悟がある。主たる資格が」
(オレ達は主シラキに忠誠を誓い、すでに命を預けている)
(私達がマスターのために死ぬことに理由はいりません。私たちは確信を持って生きられるんですから)
怒濤の言葉の津波が来た。
さっきまで黙っていたシルバーウルフまでもそれに参加している。
「お前ら優しいな!」
さすがにびっくりしたわ。
人々がどう思うかは知らないが、俺からすれば感動ものである。
心の中では感涙を流してるから。
人間と魔物は違う、なんて当然のことすら忘れるレベル。
「魂を分けたあなたの子ですから」
ルティナが心底うれしそうにしている。
この人は本当に、何というか、人間ができてるというか。
……オカン?
・今後の課題について
「まあ何でもかんでも足らないからアレなんだが、とりあえず俺の代わりに補助魔法掛けてくれる人が欲しいな」
あれ消費がバカにならんぞ。
まあ7人に4つ駆けたから大量に消費して当然っちゃ当然だけど。
「自覚できる程度の効果はある。補助特化の魔物は役に立つだろうな」
ソリフィスもこう言ってる。
「そういやスペルウェザリングって補助魔法なの?」
最後に騎士が使った魔法。
アレは魔法を縮小して消滅させると同時、魔法の維持や操作を妨害する効果もある。
「いえ。アレは風属性…確かにちょっと特殊な魔法ですね」
さすがはかつての強力な騎士団。
魔法系でもないのに、死してなお魔法を操るとは。
まあ特殊だという話だし、今は置いておくとしよう。
「後は魔法型の魔物の召喚と、罠の増設くらいか」
「うむ…まあ課題としてはそんな物だろう」
そんなこんなで議題を出してはそれについて思い思いに話し合った。
レフィルは今日初めて話せるようになったわけだが、特別言葉に違和感はない。
まあ彼は今回の話し合いではあまり話さなかったが。
外で誰かと話しているときのルティナ以上に黙ってた気がする。
初めてだしそんなものかもしれない。
「こんなもんか…?何かある人ー」
全員に最終確認。
特になし。
「よし、解散にするか」
ちょこちょこと喋りながらも解散する。
フォックス達、ウルフ達がぞろぞろと部屋を出て行くのを見ながら、俺とルティナも第五階層に戻った。
レフィルはボス部屋を後にしながらも、隣を歩いていた命尾に聞いた。
(それで、どういうつもりだ?)
(どういうつもりとは?)
命尾は前を向いたまま、しれっと答えた。
顔を合わせることも多いこいつのことは、すぐに気がついた。
"オレ達"と、何か違う。
何かは分からないが、とにかく違う。
オレがこいつに違和感を感じていると、こいつはオレに憎まれ口を叩くようになった。
そんなこいつが、どうしてオレを立てる?
(どうしてオレを立てるような発言をした)
(おや?私は事実をそのまま言ったにすぎませんよ)
主達はともかく、同じ動物型であるオレには分かる。
こいつが今日初めてにやけたような笑いを浮かべた。
(功という意味ならお前の方があっただろう。あの場では指揮官であったお前の思うとおりに進んでいたはずだ)
おそらく主もうすうす分かっているのだろうが、命尾はシビアな判断をしていた。
グループとしてある程度の力を持っている者を後ろに配置し、それ以外の者、及び儀式で眷属になった者を前面に押し出した。
結果、現状最大数のイートアントが全滅し、召喚組やグループとしてまとまっている者達は多くが生き残った。
(主も分かっているはずだ。何故言わなかった?)
(そんなの、決まっているじゃないですか)
命尾は全くの真顔になり、言い放った。
(マスターに嫌われたくないからです)
命尾の顔を見つめ、真意を測ろうとする。
しかし、オレにはこいつが本気で言っているようにしか見えなかった。
(それを言ったら、主は怒ると思うか?)
(どうでしょうね。でもマスターは、何というか、魔物と人間を同じように見ているところがある……信じられないような話ですよね)
命尾は困ったような表情を浮かべて言った。
確かに、主はどうも二種族の違いを良く分かっていない。
普通は、いや生物のほとんどが魔族と亜人族を混同したりはしないのだが。
(マスターは私がやったこと、それ自体は嫌いですよね)
(……そうだな)
(本当は、"私達"が死ぬこと、それ自体はマスターが考えるほど悪いことではないんですけどね)
(オレ達にとって、死はなんとしてでも避けなければならないようなものではないからな)
死、あるいは命。
主は自らの命と我々のそれを同等に考えているところがある。
それは尊く、すばらしく、しかし間違っている。
"オレ達"とそれ以外では、生きる理由が違うのだ。
(話せば理解はできるだろうが)
(理屈と感情は違いますよ。ええ本当に)
命尾のその言葉には、妙に説得力があった。
もちろん、それ自体には異論は無い。
オレはもうそのことには納得して、根本的な疑問を聞くことにした。
(結局、お前はなんなんだ?)
そう聞かれた命尾は、吹き出したように笑い出す。
(全く、この人達は)
笑いながら言った後、今までの自信のある、あるいはまっすぐな表情を崩す。
浮かべたのは、照れ、とでも言うものだった。
(もし、長年の願いを叶えてくれた人がいたら、好きになっても仕方ないと思いませんか?)
その言葉を聞いたとき、オレの中で複雑で形容しがたい感情が生まれた。
その言葉自体はオレとしては頷けるものだったが、思い浮かんだのは、主と、そしてルティナのことだった。
(……ああ……仕方ない、な)
(おや、低脳な狼にも分かりますか)
オレが時間を掛けて答えると、命尾はさっきまでの雰囲気を隠し、こんな言葉を浴びせてきた。
さっきまでの真面目な空間はどこへやら、だ。
(お前……)
(私も大概単純な理由で生きてるんですねー)
今ので確信した。
こいつは、わざとケンカを売ってきている。
(ふん、狐風情にはお似合いの理由だな)
(ほー、言ってくれますねぇ)
お互いににらみ合い、そして同時に真逆の方向へ歩き出す。
後ろで成り行きを見守っていたフォックス達とウルフ達は、別れた二人がどちらも笑っていることに気付いていた。
52日目終了
シラキ・ヒュノージェ(愛原白木)
総合B 攻撃C- 防御C- 魔力量B+ 魔法攻撃B 魔法防御B- すばやさC+ スタミナC+ スキルB-
スキル
ユニークスキル「結晶支配」
ユニークスキル「共鳴」
ダンジョン
保有マナ
150,640
ダンジョンの全魔物
ボス:ソリフィス(ヒポグリフ)
迷宮植物:
ヒカリゴケ4400、ヒカリダケ550、魔草440
グループ(勢力順):
レフィル、ウルフソーサラー5、グレーウルフ18
命尾、フォックスシャーマン12、ハウンドフォックス10
グリフォン4
ホブゴブリン2、ゴブリンシャーマン2、ゴブリン21
リザードマン4
ホブゴブリン2、ゴブリンシャーマン1、ゴブリン13
クイーンビー1、ニードルビー20
クイーンビー1、ニードルビー10
ゴブリン15
単体・その他(能力順);
コボルトヒーロー1
野良・その他:
ゴブリン13、ホブゴブリン1、コボルト5、コボルトロード1、ハウンドウルフ19、インプ5、グリズリー1
一階層
洞窟・迷宮
二階層
更地
三階層
更地
四階層
更地
五階層
コア、個室2、ダイニングキッチン、大浴場、保存庫
書きダメ中+艦これイベントで投稿が遅れてます。
ところで前触れもなくアクセスが爆発的に増加したのですが何があったのでしょうか?
あたふたしながらしばらく考えた結果ブックマークのせいかなぁとは思うのですが。
何にせよ多くの人に見てもらえるのはうれしく、励みになります。