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15の夜(夏)  作者: ism
2/2

2,夜

妄想の糸を張り巡らせている内に、眠ってしまったようだ。

「ーーーご飯よー! ーーーーーーご!は!ん!」

飛び起きる。時計を見ると、時刻は7時35分を少しすぎた所だ。

「いまいくー。」

企みがバレないよう、普段どおりの自分を演じる。100点の演技だ。親も気づくまいと、よだれを拭き取り階段を降りた。

既にテーブルには両親、祖母が着席しており、料理も並べられている。

気の早い父は、既に一人で食べ始めている。

テレビ、料理、全く頭に入って来ない。

味も食感もわからないほど、【夜遊び】というワードの魔力に引き込まれて居た。

そそくさと食事を済まし、食器を台所に下げ、

「ごちそうさまー。」

もう一度普段通りの自分を演じた後、少し急ぎ足に階段を駆け上がった。

自室のドアを開ける。

大きな窓が目に入る。

窓の外には倉庫があり、その倉庫の上に飛び乗り、倉庫から降りる。

このルートで行こう。

時刻はまもなく8時20分。

通常、祖母は9時には、両親は10時には寝る寸法になっていた。

普段どおりなら僕も10時を少し過ぎた頃には眠ってしまう。

僕達のクラスには宿題は設けられていない。

8時30分。残りの2時間半、この高ぶった感情を何処にぶつけてまとう?

ふう、と溜息をつき、PCのスイッチに手を伸ばした。

「ようこそ」 いつもどおりのwindowsXPの起動画面。

何度でも反復するが、PCは普段どおりでも、PCを使っている僕は普段どおりではない。

この後、親が寝静まったら、外に飛び出すのだ。

そう思うとPCが使えるようになるまでの数分間ですら、じっとしては居られない。

時計を睨む。まだ8時35分にすらなって居ない。

テストの終盤にはあんなに早く進む時計が、こんな時は僕をあざ笑うかのようにだらだらと進んでいる。

PCの準備もできたようだ。いつものようにインターネットエクスプローラーを起動した。

YAHOOのトップページが表示される。

普段なら 【数学 解説】 【小説 無料】 【宇宙 仕組み】

等といった、至って普通の中学3年生のようなワードが入力されるバーには、

無意識の内に

【夜遊び】 と入力されてしまっていた。

普段より強くエンターキーを叩いて見る。

慌てて【戻る】のボタンをクリックした。

”大人”の夜遊びにまつわるページが表示されたからだ。

少し冷静さを取り戻した僕は、トラブルに巻き込まれない為に

【中学生 門限】と入力し、エンターキーを叩いた。

知恵袋や、おせっかいな大人の作ったWEBページには、20時、23時、早いものでは18時等の情報が掲載されている。なんとか条約のような難しい漢字も見受けられたが、無視を決め込んだ。

ページ下部にスクロールして行くと、心霊体験を集めたようなタイトルがある。

自分で出鼻をくじくわけにはいかない。検索などせずとも、後数時間後には僕がこの目で、身体で感じるのだ。野暮な詮索はよして、youtubeやニコニコ動画などの動画サイトの徘徊をすることにする。

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