教授と院生とあんぱんまん ~その5~
三度目のカーテンが開きました。
姪っ子ちゃんはとても楽しそうですが、周りの大人は引きつっております。
『ね!ママ!!
楽しいね!!』
『そ...そうかしら...姪っ子ちゃん...』
姪っ子ちゃんのかわいい笑顔が、闇のような雰囲気の中の、唯一の灯です。
甲高い笑い声が教室内に響き渡りました。
『ホホホホ!!』
『あの女の子はだーれ?
かわいい!!ね!!ママ!!』
『そうね...
かわいいと言うか、いかがわしいと言うか...』
女の子は黒のボンテージをまとい、太い長い鞭を右手に握っております。
まさにSM嬢。ハイレグの太ももが眩しいです。
いかがわしい娘は左手を大きく振って、、姪っ子ちゃんに応えました。
『ありがとーー!姪っ子ちゃん!
私はSMちゃんよ!』
『SMちゃん?』
『そう!!弟にはモッコちゃんがいるの!』
『モッコちゃんだって!!ねえ!ママ!!
SMちゃんとモッコちゃんだって!!
ドキドキするね!!』
『そうね。モチーフはSLマンとポッポちゃんよね...はぁ...』
お母さま方の落胆とは裏腹に、姪っ子ちゃんは大喜び。
そこにまた変態が現れました。
短い白いエプロンを全裸の上にまとった変態です。
ジャムを持参しています。
ジャムを持参した変態は何も話さず、ただじーーっとSMちゃんを見つめています。
よだれを垂らしながら...
『まあ!何ですかあの変態は!
お尻はハンケツだし!!
ジャムを持参して何考えてるの!?』
お母さま方からクレームの嵐です。
しかし姪っ子ちゃんは大はしゃぎ。
『わーい!!ジャムを持参だ!
ジャムを持参がやってきた!!』
やらしい顔をしてSMちゃんを眺める変態。
収集がつかなくなってまいりました。
そこにオールキャストが流れ込んでまいりました。
『ばーびぶーべぼーー!!
俺様バイキン男!』
『おほほほ!!悪い女王よ!!』
『SMちゃんもここにいまーす!!』
狭苦しい舞台で、大馬鹿どもが狂喜乱舞しています。
姪っ子ちゃんが、ステージに向かって叫びました。
『ザンパンマンがみんなをやっつけちゃうよ!!
ザンパンマーーン!!!
早く来てーー!!』
その時です。
パッと電気が消えました。
真っ暗になったステージ。
変態どもも声をひそめています。
水を打ったかのような静まった空間。
しばし時間が流れ、スポットライトが舞台の真ん中を照らしました。
そこには太っちょが右手を高く高くつき上げ、ポーズを決めているではありませんか。
これは!!
待ってました!
ザンパンマン!!
『ザンパンマンだ!!
やった!ザンパンマンが来た!!
早くみんなをやっつけて!!』
姪っ子ちゃんは両手を上げて応援しています。
その声援に、こくんとうなづくデブ。
ん?
高々と上げられたその手には、箸が握られております。
左手にはどんぶり飯。
この豚野郎は隠れてメシを貪っていたのです!!
でも仕方ない!
ザンパンマン!姪っ子ちゃんのためにがんばって!!
しかし、その肥満体はへたへたと崩れ落ちました。
そして、こう呟きました。
『お腹がふくれて力が出ない...』
カーテンが静かに締まりました。
どうやら茶番劇が終わったようです。




