Re.6 国立魔法図書館襲撃
「・・・・表の敵は六人か」
流石魔法図書館だな・・・。
警備は厳重のようだ。
「・・・さて、誰から行くか?」
「俺から行くぜェ」
ロキが・・・いや、摩睺羅伽(まこらが)がそう言う。
・・・まあ、摩睺羅伽の力なら別に大丈夫か。
やり過ぎる気はするがな。
「・・・よッと」
そう言ってコートの内ポケットから取り出したのは・・・小動物だ。
・・・これが俺達の力の発動条件の一つなのだが・・・・・その発動条件はモノの生命を変換する事。
命を代価にする事で、小さくても莫大な力を得る・・・・
その力の名称は練魔技術士・・・通称魔術士。
八つの属性に基づき、その力を変換する技術。
属性は、火、水、風、大地、雷、音、天・・・・そして、俺の鉄。
ちなみに、摩睺羅伽は大地になる。
「行くぜェ!」
そう言うと共にその腕が光り、その小動物の命が消える。
「落ちろ!」
そして、地面が割れてその六人を地割れの穴に嵌めていく。
「クローズ・・・」
そして、閉じる地割れの穴・・・。
毎度思うが、容赦の無い技だ。
六人は腹から下が全て埋まり、身動きが出来ないようだった。
「・・・よし、なら行くか。各自、破壊しておいてくれ」
「「「了解!」」」
その言葉と共に、それぞれ別の場所に離散していく。
そして、俺は魔法図書館西部に移動していく・・・。
そして、しばらく走っていると敵数人に遭遇した。
「何者だ貴様!」
魔法図書館の警備員の服装・・・軍服のようなものを着ている事から排除するべき敵だと把握できる。
「・・・変換」
俺もコートの内ポケットから小動物を取り出し、その命を変換する。
持ち運びしずらく不便ではあるが、三匹でもいればこと数時間の任務ならばエネルギー切れになったりはしないだろう。
「なっ・・・!貴様まさか・・・!」
「エンドレスリベリオン・・・!」
敵が身構えようとする。
だが、俺は敵が身構えるまでに攻撃の動作に入る為に、鉄を投げる。
「鐵槍(てっそう)!」
そして、それは敵の片足を貫く。
敵は激痛の為か、悲痛な叫び声を上げる。
「通信手段だけ絶たせてもらうぞ・・・」
そう言って鐵槍で通信手段になるようなものを全て破壊する。
「・・・・行くか」
そうしてまた俺は先に進んでいく。
そして、途中敵と遭遇した場合は片足を貫いたりして無力化していく。
・・・何故殺さないのか。
それは、エンドレスリベリオンの仲間内の取り決めに不殺、または一人一殺の精神があるからだ。
殺してはならない・・・、殺すにしても、生涯一人の人間のみ・・・。
それが俺達の間で取り交わされた取り決めだ。
・・・そうして進んで行き、俺はようやく魔法図書館西部に辿り着いた。
「破壊・・・だったよな?」
俺はポケットから鉄塊を取り出す。
「・・・もう多分逃げたな。・・・けど、一応通路は避けて撃ち込むか」
そう言いながら鉄塊を上に振り投げる。
「鉄雨」
その言葉と同時に固形だった鉄塊が四方八方に飛び散り、書物などを一瞬でズタボロにしていく。
そうして、ある程度破壊し終えた所で、焦げ臭い匂いが東部の方からして来た。
「・・・・乾闥婆・・・。絶対燃やしてるよあの人・・・」
乾闥婆の属性は「火」だったので当たり前かもしれないが、流石にここで燃やすのはいささか考えが及ばなすぎでは無いだろうか?
「・・・仕方ない。退避するか」
出口に向かって走り出す。
しかし、やはり火の周りはかなり早いようだ。
少し気を緩めたらこちらまで来てしまいそうなくらいだ。
「・・・ん?緊那羅か?」
走っている最中に緊那羅らしき小さく小柄な人間を発見したので近づいてみる。
「あっ・・・!阿修羅~!大変だよ~、乾闥婆が変換の威力間違えたって~!」
「・・だろうな。全く・・・乾闥婆はたまにミスするよな」
「しょうがないよ~。取り敢えず直ぐに出よ~!」
「分かった。・・・少し掴まれ」
そう言って緊那羅の手を掴む。
・・・・あと残量は少しだな。
一気に使い果たしておくか。
「伸びろ」
足元の靴に付けてある鉄を伸ばして一気に進む。
「お~、快適快適~」
「俺は乗り物じゃないからな」
そう言っていると出口が見えた。
・・・・結構速いんだな。
・・・・こうして、俺達の魔法図書館襲撃任務は終わった。
被害者 56人
死傷者 0人
魔法図書館 全焼
コレが、今回の任務の結果だった。