Re.5 集合
そうして、その日の授業も終わり、今は午後7時半だ・・・。
俺は早く準備を終え、既に魔法図書館の近くに着いていた。
「・・・まだ誰も来てないのか?」
そう周りを見ながら呟く。
あたりは静かで、一見俺も普通に誰かと待ち合わせているようにしか見えないだろう。
「・・・ふん、アンタにしては早いじゃない」
そう言って悪態をつきながら現れた夜叉・・・・いや、今はまだ羽木崎椎名の方だな。
彼女がこちら側に向かって歩いてきた。
「ああ、今日は少しシャンとしとこうと思ってな。椎名こそ早いじゃないか」
「私が早いのはいつもよ。忉利と違って責任感があるからね?」
いちいちトゲのある喋りをするな・・・。
「おいおい、それじゃ俺に責任感がないみたいじゃないか」
「その通りじゃない。あんたに限らず、ルキさんも、グラもロキもなんだけどね?」
・・・男性メンバー全員が一蹴される。
ちなみに、ルキさんとはルキーニ・アーリマン。グラはグラーツ・レーガンだ。
「・・・まあ、ロキは兎も角、グラさんもルキさんも責任感は人一倍持ち合わせていると思うぞ?」
「ロキは除外なのね・・・」
当たり前だろ?ロキは戦闘狂だし。
「そりゃまあね。ロキは戦うことしか興味ないだろ?」
そう言った瞬間、意味ありげにほくそ笑む椎名。
・・・・なんだ一体?
「誰が戦うことにしか興味がないってェ?」
ギリギリと軋(きし)む頭。
・・・・・背後にはロキがいた。
そして、前方の椎名はバカみたいに笑っていた。
「あいたたたたたた!?」
「全く・・・久しぶりに暴れられるから早く来たらよォ・・・」
だからそれが戦闘狂だっていうんだよ!!
とか、そんなことを考えていたらやっと手が離れた。
「・・・まァ今は気分が良いから許してやンよ」
「助かった・・・・」
頭をさすって凹んでいないか確認する。
「・・・全く、何をしてるのだ貴様らは」
そう言って次に現れたのはシエル・アリアドネだ。
若干飽きれ気味なのはしょうがないだろう。
「あ。シエルさん、こんばんはです」
「ああ、こんばんはだ忉利。それと、私に敬語は不要だ」
・・・常に冷静で出来た人だな。
そんな事を思っていたら、椎名が喚き出した。
「あっ!なんでシエルだけ敬語なのよ!私も敬語で呼びなさいよ!」
「はっ!お前は尊敬できないからダメだ!」
鼻で笑って言い返す。
「何こいつ!酷くない!?」
酷くない。寧ろお前に尊敬できる事があるのか・・・?
「まあまあ、落ち着いてよ椎名~」
「忉利もあんまりからかったらダメだよ?椎名はプライド高いんだから」
次にマリーとレイラの二人が来た。
・・・・後来てないのはルキさんとグラさんか・・・。
そう思っていたら足音が聞こえた。
「集まったようだな」
「我らが最後になるとはな・・・」
そこには、ルキさんとグラさんの二人がいた。
「・・・・よし、刻限にも近くなったな。行くぞ」
「「「了解」」」
全員が頷き、それぞれ黒を基調とし、赤い線の入った仮面を被る。
・・・目指すは魔法図書館の破壊、そして焼却だ・・・。