Re.11 生徒会
・・・・さて、その翌日。
俺は今日も普段通り学校に通っていた。
「様子見・・・ね」
昨日の夜、俺にはルキさんから電話がかかってきた。
それによると、国家魔法使い達が俺たちを探しているらしいから、三日から四日の間、一時的に隠れるんだそうな。
よって、今後しばらくの間は暇なのだ。
「・・・暇だな。あの誘い、受けとくか」
あの誘いとは、即ち生徒会の誘いだ。
・・・まあ、軽い気分で受けるのもなんだがな。
仕事はまあこなすから良いだろう。
・・・などとそんな事を考えている間に、いつの間にか教室にまで到着した。
・・・気付かないとは、俺はすごく鈍いのだろうか?
「ま、そんな事はいいか・・・」
そう言って席に座る。
「おはよ」
「ああ、おはよう椎名」
「おはよー、忉利」
「おはようレイラ」
「おはよう」
「ん、おはよ、天河」
と、軽く挨拶を済まし席につく。
・・・花奏に言いに行くか。
そう思っていたら向こうから神山が来た。
「その・・・前日はすまなかった。助かった」
若干顔を赤らめて感謝してくる神山。
俺が原因で腰が抜けたというのに律儀なやつだ。
「ん、いや気にしないでくれ」
「そ、そうか。それと、我のことは紗綾で構わない」
「ああ。俺は忉利で構わないぞ紗綾」
それだけ言うと俺は教室を出、上の階・・・二年生のクラスだな。
そこに向かう。
そうして、途中特に誰とも出会うわけも無く、教室に着く。
「すみません。里見を呼んでくれませんか?」
「ああ、少し待っててくれ」
俺はそのまま一番戸から近くにいた上級生に声をかける。
一応上級生なので敬語は忘れない。
その男性に声をかけてからだいたい一分もかからずに、花奏が此方を向いて走って来た。
「忉利~!どうしたの?」
「ん、少し言うことがあってな」
「言うこと?」
疑問そうに小首をかしげてくる。
「俺、生徒会入ろうと思うんだが」
「えっ!?ホントっ!?」
かなり驚かれる。
ここまで驚くのも稀だろう。
「ああ、本当だ」
「わ~っ、やった~っ!」
俺の腕を握りながら飛び跳ねる花奏を見て、「微笑ましいな」などと思う。
それに、ここまで言葉一つで喜ぶことも珍しいだろう。
「それじゃ、俺は戻るから放課後にでも生徒会室に行くよ」
「うん、分かったよ!」
満面の笑みでそう笑う花奏を見た後、俺は自らの教室に戻っていった。
・・・・そうして放課後、俺は生徒会室に来ていた。
「入るぞ」
そう言って、部屋の中に入る。
「あっ、やっと来た~!」
「放課後すぐに来たんだが・・・。まあいいか」
「うん、そうだね!気にしないでおこうっ!」
何故だか妙なハイテンションさである。
「んじゃ~紹介するよ!」
司会者かのような手振りをして、他のメンバーに挨拶を促す。
・・・・その中に二人ほど見た覚えのある奴らがいたが。
「生徒会副会長の天原戒軌(あまはらかいき)だ。よろしくな剣坂」
金髪の目つきの鋭い男が手を差し出してくるのを握り返す。
「生徒会書記の赤羽宗也(あかばねそうや)です。よろしく」
黒髪のメガネをかけた優男が会釈する。
「同じく書記の白羽真希奈(しらはねまきな)です。よろしくね」
銀髪のロングを右側で束ねた女性が会釈してきた。
「庶務の神山紗綾だ」
「庶務の天河陽奈」
・・・そして、何故だか二人ほど見たことのある奴がいた。
「・・・なんでお前らがいるんだ?」
「我らは昨日からここで世話になり始めたのだ」
「そうなのか・・・。まあいいか」
別にそこまで聞きたい理由でも無いので聞かないこととした。
それ以前に、どうせ理由も面倒を見てくれとか言われたから生徒会に花奏が入れたんだろう。
そう言うタイプだろうから、聞くだけ無駄だ。
「・・・で?俺はどの役職なんだ?」
「会計だよ?」
俺としては衝撃的な言葉が放たれる。
俺は力仕事などその他諸々は得意だが・・・・勉強、特に数学だけは全くできないのだ。
数字を見てるだけで頭が痛くなるし、数式なんてものを見てれば知恵熱が出そうになる。
そんな人間に会計なんて・・・・無理じゃないか?
「なんでそれに・・・」
「余ってる役職がこれしか無いからだよ?あ、もう撤回は無しだからね!言伝ももらったんだから!」
・・・どうやら八方ふさがりのようだ。
「・・・・はぁ。しょうが無いな。分かった」
「やった!ほら、挨拶挨拶!」
そう言ってハイテンションで、周りに挨拶を急かしてくる。
一方、俺のテンションと言えば、会計なんぞにされたが為に地の底を這っているのだが。
「えーっと、今日から生徒会会計になる剣坂忉利だ。書類云々より、肉体労働などの方が得意だが・・・・まあ頑張らせてもらう」
そうして、俺は生徒会に入った・・・。