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6.私の両親

「何度言えば分かるんですか?どうして、私の言った通りにできないんです?」

「申し訳ありません、アリソン、ごめんなさい、止めて」


一つのミスも許されない。

一つでもミスをすればアリソンは馬用の鞭で私を打った。何度も、何度も。

もう二度とミスはしないって言っても、謝っても許してはくれなかった。


「何度、同じことをさせる気ですか、姫様。本当は、私だって可愛い姫様の体に傷を付けたくはないんです。でも、あなたが悪いんですよ。あなたがαに擬態できない粗悪品だから。所詮はΩね。いいですか、助けを求めようなんて思わないでくださいね。あなたを助けられるのは私だけです。あなたの味方は私だけです。いいですね、姫様」


「・・・・・・」


「いいですね、姫様」

「・・・・・はい」


本当に誰も助けてくれないの?お父様も、お母様も?

私がΩだから?本当に?じゃあ、どうして私を産んだの?


私はアリソンにバレないように部屋を抜け出した。

答えを知りたかったから。

本当に私の味方はアリソンだけなの?

お父様もお母様も私の味方にはなってくれないのか。私は知りたかった。


部屋からあまり出ない私はお父様とお母様のいる場所が分からない。

ただ、離宮からお父様たちのいるお城が見えるのでそこまでは問題なく行ける。ただ、かなり遠かったけど。


Ωは体力ないってアリソンが言ってた。でも、そもそも部屋から出ない私はΩ以前の問題なのかもしれない。


それにしても、離宮からお城まで誰にも会わないなんて。


「お父様は私が離宮に移されたのを知ってるのかな?」


もし知っていて放置しているのなら、どうして?

だってアリソンは私がΩだということを陛下に知られてはならないって言ってた。

私が粗悪品だって知らないのに私を放置しているのは、Ωとかαとかに関係なく私が要らないから?


どうして?

私が女の子だから?

お母様の爵位が低いから?

私だから?


そんな考えをずっと抱えていた。

聞ける人なんていない。だから自分で確かめようと思った。


「広い」


人に見られないように気をつけているからか余計に疲れる。

諦めて帰ろうかと思った時に「陛下」と呼ぶ声が聞こえた。

陛下、ということはお父様だ。


私は慎重に声のした方へ向かった。金色の髪に碧眼の男の人、あの人が私のお父様


「陛下、少し休まれてはどうですか?」

「そうだな。リリーはどうしている?」


リリー、お母様の名前だ。


「商人を呼んで、買い物をしていらっしゃいます」

「そうか。なら、私もそこへ向かうとしよう」

「陛下、その、王妃様の買い物を少し改めるように言っていただけませんか?その、頻度も量もかなり多いので」

「王妃に相応しい装いをするために必要なことだ。彼女は子爵家出身で、それを今もとやかく言う馬鹿者がいるせいで、あれも意固地になっているのだろう」


お父様、臣下の人たちと仲良くないのかな?お母様のことで揉めている。


「執務を覚え、陛下の支えとなる方が余程王妃に必要な装いだと思います。姫様のことも陛下の許可もなく勝手に離宮へ追いやるなど、本来は許されないことです」

「貴様が私の妃を糾弾するか?身分を弁えろ」

「・・・・・申し訳ありません」


私のことだ?どうしよう、ここで出て行ってみる?お父様、喜ぶかな?


「陛下、もう一つよろしいでしょうか」

「なんだ?」

「その、姫様のことです。会いに行かれてはどうでしょう?王妃様も会いに行かれていないように見受けられますし」


どきりと心臓が脈打つ。

踏み出そうとした足が下がってしまった。

お父様はなんと答えるだろうか?


「姫に何か問題でもあるのか?アリソンからは順調に育っていると報告を受けているが」

「いえ、問題があるという報告は受けておりません」

「ならば必要ない」


どうして、必要ないの?会いたいと思ってはくれないの?


「ですが、子供には親が必要です陛下」

「アリソンが側にいるだろ」

「彼女は親ではありません。それに、王女が誕生した時陛下は喜んでいたではないですか」

「リリーは王女を拒んだのだろう。私の最優先は妃であるリリーだ。そのリリーが拒んだのなら、その子供を愛する必要性を感じない。王女として使える程度に育ってくれればそれでいい」


お母様は私を拒んだ?どうして?お母様は私がΩだって知ってる。

私がΩだからお母様は拒んだ。


Ωは生きてちゃ、いけないの?

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