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27.ラティーシャには何も通じない

面倒なことになった。


「不便はないか、ラティーシャ」

「ございませんわ、殿下」


今まで音沙汰なかった、初夜も拒否した、αだと偽っても本能でΩを感じ取って嫌悪していたのに、急に朝、夕の食事を一緒にすることになった。


王宮の外で暮らすことを許してくれたし、家も用意してくれたし、そこまでしてくれて断るわけにはいかない。

それがなくても王太子殿下の誘いを断るわけにはいかないだろう。

それに用事があるから嫌悪している相手でも我慢して食事をすることにしたのなら、さっさと終わらせてあげるべきだろう。


わざわざ、そこまで気を遣う必要はないのに、根が真面目なのだろう。

好感が持てるけど、持ったところで迷惑なだけだろうけど。


「殿下、それでご用件は?」

「用件?」

「用件があるからこちらに来られたのですよね」


どうして、そんな困った顔をしているのだろう?

そんなに言いにくいことを言いに来たのかな?

・・・・・まさか。


「離縁の話でもしに来ましたか?」

「違うっ!」


かなり食い気味だ。これじゃないなら、まさか。


「側妃の話ですか?」

「・・・・・側、妃」


ふむ。どうやら、これが正解のようだ。


「構いませんよ」

「えっ」

「殿下の良いようにしてください」

「・・・・・良いようにというのは?」


殿下は難しい顔をして眉間を揉んでいる。頭でも痛いのだろうか?


「正妃を迎えたいのなら殿下のお好きにしてください。私はどなたが正妃になろうと構いません」

「・・・・・構わないのか?」

「はい」

「・・・・・そうか」


なぜか、かなり大きなため息をつかれた。


「お前を側妃にするつもりもないし、新たに正妃を迎えるつもりもない」

「そうなのですか」

「そうなんです」


ああ、私は出来損ないの王女で悪評まみれだけど他国の王女だから下手に側妃にはできない。国際問題になるから。でも、私がΩだって隠しているほどの大きな問題ではないだろう。


だけど、私がΩだってことはまだバレてない。ああ、だから先ほどのため息か。


もっと便利で都合がいい娘を正妃に迎えたいけど、他国の王女である私を蔑ろにはできない。だから、殿下は困っているのだろうな。

でも、私を蔑ろにしたところできっとアルトゥールは問題視しない。決して国際問題にはならないだろう。


そうしたい理由や思惑がない限りは。

・・・・・あるのか?

友好国に対して私を送り込んだ時点でアルトゥールがルビンスティンを侮辱しているのは事実。友好を続けるつもりがないのか?


「イクシオン」

「はい?」


まだいたのか。

殿下の前で考え事に耽るとは失態をしてしまった。


「イクシオンと呼んでくれ。ラティーシャ、俺はお前のことをもっと知りたいと思う」

「なぜ?」

「夫婦だからだ」


殿下は本当に真面目だ。

夫婦の義理を果たそうとしているのだろう。そういうの、別にいいのに。


「殿下、私に気を使わなくてもいいですよ、私は」

「イクシオンだ。別に気を使っているわけでじゃない」

「・・・・・そうですか」


仕方がない。暫く付き合うか。

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