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23.抑制剤

ホテルが休みの日はこっそりだけど森に行った。

私はずっと女王になるつもりだった。だから王族として、いずれアルトゥールを率いる者として剣術を習ってきた。

自分の実力がどれだけのものかは分からない。ただ、低級魔物を単騎で討伐することが可能なのは知っている。


何度か、実戦経験があるからだ。


ゴブリンやスライムを討伐した。スライムは核しか手に入らないけど、それでも売れば受付嬢一ヶ月分の給料にはなる。もちろん、質や大きさに左右される。

今のは一番良い核の場合に得られる報酬だ。

ゴブリンや獣の魔物の場合はその素材も売れるので核とは別の報酬が手に入る。


ただ、その分スライムよりも手強いけど。


そうやって稼いで、何とか薬屋に売っている抑制剤を一回分購入することができるようになる。

自分が働いてみて、当たり前のように使っていた抑制剤を購入することがどれだけ大変なのかを知った。本当に、アリソンには頭が上がらない。


「お前さん、Ωなのか?」

「っ」


どうしよう。ここは頷くべき?

フードで顔を隠しているから以前、お忍びで来ていた人間と同一人物だとバレてないはず。


「抑制剤、高額だからって裏で買うような馬鹿な真似はするなよ」

「?」


私の返答を期待してなかったのか、店主は特に気にせず話を進める。


「これが裏で手に入る抑制剤だ。注意喚起も兼ねてどの薬屋も持っている。お前さんのように新規には説明するようにしてるんだ」


そう言って店主が見せてくれた薬は見覚えのあるものだった。それは、アリソンからずっと受け取っていた抑制剤と同じものだった。


心臓がうるさい。


「ここで手に入るものと何が違うの?」

「まず値段だ。裏で買えばパン一つ分の値段で買える。もちろん、その分不純物も多く入っている」


これ以上は聞くな。


「副作用も強く出るし、物によっちゃあ死んでもおかしくはない」

「・・・・・副作用が、強く」


場合によっては死に至る薬を、アリソンは私にずっと飲ませていたの?


「内臓系もかなりやられる。だから短命になりやすい。体に悪影響しかないから絶対に手は出すな。中には、依存性が強いものもある」

「もし、既に服用したことがある場合は?」

「要観察としか言えん。飲んでない時に影響が出ないのなら大丈夫だとは思うが、妊娠しづらかったり、あるいはしない可能性も高くなる」


そんなものをずっと・・・・・・。

どうして、アリソン。

ただの平民だったら、抑制剤は高額だ。発情期が来る度に購入するのは難しい。裏で手に入る薬に手を出すのは仕方がないと思う。でも、私は違う。


Ωだけど、出来損ないの王女だけど、それでも抑制剤を買えるだけの予算は組まれていた。それは、アリソンが買うドレスや宝石の数を見れば分かる。

以前なら分からなかった。

でも、外に出ていろんな店を回って、価格の価値観とか自分で実際に働いてみて分かった。


社交界の知識はない。それでも分かる。ドレス一つだけでも売れば抑制剤が一年以上分は余裕で買える。


私よりもドレスや宝石の方が大事だから?

どうして?

私が、Ωだから?

・・・・・・私だから?


アリソンは私が死んでも良いと思ってたの?

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