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2.現実にはハッピーエンドのその先があることに気づかなかった

悪役令嬢はたくさんの男の人と関係を持っていたから修道院行きになった。

ただ、それが表に知られると外聞が悪いので公爵には公爵家の名誉の為に黙っていることにした。


その代わり、子爵令嬢の私を養女にすることとなった。

子爵令嬢のままだと王子様と婚約できないからね。公爵令嬢なんて、ヒロインの私に相応しい身分だと思わない。と、最初は浮かれていた。


「まぁ、ロックベル嬢はこんな簡単なことも分からないのですか?ああ、失礼しました。もうロックベル嬢ではありませんでしたね」


私の王子様はこの国の王太子だから、王太子妃になるには色々と勉強をしないといけないみたい。

いろんな国の言葉だったり、風習、特産品もそうだし、自国のこともそう。

どんな領地があって、どんな特産品があるのかとか。


あと貴族のことも。誰がどの血筋だとか、いつから存在しているのかとか。


ぶっちゃけ、必要なくない?

だって、私はヒロインだよ。そういうのはヒロインのすることじゃないと思うの。

ヒロインの仕事はみんなに愛されて、幸せになることだよ。

そのために、悪役令嬢だって本当は誰とも関係を持ったことなかったのに、たくさんの男の人と関係を持ったふしだらな女性として退場したんだよ。


「いつまも子爵令嬢のままでは困ります。あなたはもう公爵令嬢で、次期王子妃になるのですから。いいですね、ロックベル嬢、王太子殿下の代わりはいませんが、あなたの代わりはいくらでもいるのですよ」


そう言って家庭教師の女の人は鼻で笑う。しかも、またロックベル嬢って呼んでるし。


どうして、そんな酷いことを言うのだろう。ヒロインの代わりこそ、いないはずなのに。でも、ゲームではこの先をやっていない。だから、私はどう立ち回ればいいか分からない。


それに、勉強だって仕方ことがない。だって、病弱で勉強ができる状態じゃなかったから。それを家庭教師の女の人に告げるとめっちゃ怪訝な顔をされた。


「ついに嘘までつくようになってのですか?あなた、常に健康体だったでしょう」


ああ、そうだった。病弱だったのは前世の私だった。


「分かったら、勉強を続けますよ。いいですか、あなたには何十倍もの努力が必要です」


そう言って家庭教師の詰め込み授業が始まった。もう、頭がパンク寸前だよ。全部、臣下にさせればいいのに。

そう言ったら、また鼻で笑われてしまった。

乙女ゲームは終わったのに、幸せにならないってことは私が死んだ後で第二弾とかが発売されたのかな?これは、その続きとか?


あり得るよね。人気だったし。

でも、それって狡くない。私、第二弾知らないし、どうもしようがないじゃん。

マジで、どうしよう?


「聞いているのですか、ロックベル嬢」

「聞いてるよ、うるさいな」

「まぁっ、そのような言葉遣いは王子妃としては相応しくありません。どこの平民が紛れたのかと思ってしまいましたわ。公爵令嬢になっても元は子爵令嬢。やはり、育ちは隠せませんね」


だから、このおばさんはいつまでも私を子爵令嬢の家名で呼ぶの?

自分が玉の輿に乗れなかったからって嫌なおばさん

まぁ、ヒロインなんてみんなの羨望と嫉妬を集めてなんぼの存在だから仕方ないけど。だから、特別に許してあげよう。


「私、お茶会に呼ばれてたのを忘れてた。失礼しまーす」

「ちょっと、お待ちなさい。語尾を伸ばさない。そもそも、誰のお茶会ですか?あなたはもう公爵令嬢なのですよ。下位の者のお茶会にそうホイホイ行くものではありません。いつまでも子爵令嬢気分でいてもらっては困ります」


ああ、本当にうるさいおばさん。


だいたいねぇ、待てと言われて待つ馬鹿はいない。なんてね。

引き止めるおばさんを無視して私はお茶会へ向かった。呼ばれたのは本当だからね。


「まさか、本当に来るなんて」

「身分が下の者は上の者に気軽にお茶会の招待状を出せないことを知らないのではなくて?彼女ってほら、元は。ねぇ」

「親しい人間なら出しても問題ありませんが、私たちは一度も話したことございませんのにねぇ。自分も高位貴族の仲間入りができたと思っているのではなくて?」


何かヒソヒソ言われてる。最近、こういうの増えたな。

招待状も増えたけど、出たら出たでヒソヒソ話されるし、しかも私を無視して会話が進んでいく。


お茶会ってもっと楽しいものだと思ってた。

美味しいものをたくさん食べて、楽しい話をして。


つまんないな。


王子妃になれば変わるのかな?

王子様に頼んで、さっさと結婚しようかな。


「つまんないから、帰る」と言って席を立てば、みんなかなり驚いていた。


「なんて礼儀知らずなの?」

「いくら子爵令嬢だからって、教育水準が低すぎませんか?」

「これが未来の王子妃、ゆくゆくは王妃だなんて不安でしかありませんわね」

「どうせ、殿下もすぐに目を覚しますわ。そうすれば正式な血筋の方をお迎えになるでしょう」

「それもそうですね。あのような紛い物を王家に入れるなどあってはならないことですもの」


ああ、本当にうるさい。


「王子様」

「リリーか、どうした?今は手が離せないから後での方が嬉しいんだが」

「私たち、今すぐに結婚できませんか?」

「私もそうしたいけど、ナパート公爵令嬢との婚約を破棄したばかりですぐに結婚というのは外聞が悪い」


ナパートって誰だっけ?

今の私の家名がナパートだから、ああ、悪役令嬢のことか。


「それにリリーは王子妃の勉強があるだろう。すぐに結婚してしまうと王子妃の仕事までついてくることになる。それは、さすがにしんどいと思うぞ」


どうしてお姫様に仕事があるの?

遊んで暮らすのがお姫様の仕事じゃないの?


「でも、みんなに馬鹿にされる。王子妃になったら、そう言うのがなくなるかなって」


そう言って涙を流せば王子様は「誰だ、私の妃を馬鹿にする奴は」と目くじらを立てて怒ってくれる。

さすがは私の王子様。やっぱり、王子様はこうでなくてはね。


「私の方から注意をしておく。すまなかった、リリー。元子爵令嬢の君をよく思っていない奴らがいるんだ。私も可能な限り目を光らせるが全てを把握できない。君の方で対処してもらえないか?」

「私、どう対処すればいいか分かりません」

「そうか。なら、私の側近を一人は必ず側につけさせる。その者に対処させよう」

「ありがとうございます」


そいつに王子妃の仕事もさせればいいんじゃないの?

だって、私の為に何でもしてくれる人をつけてくれるってことでしょう。

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