表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔力適性9999の俺、魔法が通じぬなら科学で無双する  作者: klam
転生

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/11

第2話 使ってみたい

「さて……どうすっかな」


転生したらしい、という事実を受け止めるまでに二分。そこから頭を切り替えるまでに三分。

気づけば俺は、無意識に草をちぎって匂いを嗅いでいた。


「周囲は草原……視界は開けてる。気温は……体感で18〜22度か。湿度はそこまで高くない」


淡々と独り言を並べながら、現実逃避のように分析を続ける。

脳が“化学実験レポートモードから抜けきっていない。


「よし、まずは探索と情報収集だな」


言葉に出すことで、ようやく“現場作業”が始まった気がした。


そして歩き出して、10分後――


「はぁ、はぁ……つらっ……」


足が鉛みたいに重い。

肺が燃えてるみたいに熱い。


「……ろくに五年間も体動かしてないからなぁ」


高校から大学まで、化学薬品の分子構造は覚えても、筋肉の動かし方は忘れていた。

まさか異世界の初仕事がリハビリとは思わなかった。


二時間が経ったころ、問題が起きた。


水がない。


周囲を見渡しても、川も沼も、湿った土さえ見当たらなかった。

草原はただ、どこまでも乾いて広がっている。


「……喉が、渇いてきたな。流石にやばいな」


舌がざらつく。唇が張り付く。

頭の中の知識が自動で動き出す。


「人間は体重の一〇%以上の水分を失うと、生命維持が危険になる……」


そう、俺の脳はこういう時でも教科書を引用してくる。


「そういえば……さっき“魔力量9999”って言われたよな。

なら、魔法が使えるのか?」


胸が高鳴る。

死の危機の真っ最中だというのに、科学者としての好奇心が勝ってしまう。

だが、使い方がわからない


「声、創造、ジェスチャーどれなのか?」


ここは理系らしくエラーしまくって情報収取だ


「まずは声、アクア!」

でない


「ウォーター!」

でない


「声ではないのか?」


次にイメージで試してみる


「水の流れる音、温度、反射、物質...ダメだ深くイメージしすぎて頭がパンクするもっと楽なイメージの方法はないのか?例えば式のように...式?」


理系ならだれでも通る化学の式


「化学式をイメージすれば」


「水のイメージ生成……分子式で言えばH₂O

つまり水素二つと酸素一つを結合させればいい。

問題は、この魔力がそれに使えるかどうか、だな」


両手を前に出す。

掌に集中し、頭の中で反応式を思い浮かべる。


2H₂ + O₂ → 2H₂O


「いけっ!」


──ボフッ。


軽い破裂音。

手のひらに青白い光が走った次の瞬間、小さな水滴がぽとりと落ちた。


「……出た!」


だがその喜びも束の間。


「ん?……熱っ!?」


次の瞬間、手のひらから煙が上がった。

どうやら、反応熱の調整を完全に忘れていたらしい。


「おいおい、最初の魔法が発熱反応で手の甲焼くとか、理系転生者として恥ずかしすぎるだろ……!」


けど、俺は魔法が使えることを何より喜んだ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ