記者会見
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テレビカメラの並んだ記者会見会場は熱気に包まれていた。防衛大臣は、壇上で紙の束をめくっていたが、卓の上のマイクに向かって話し始めた。
「本日、防衛省は未確認飛行物体、いわゆるUFOについて安全保証上の観点から、これを我が国に対する重大な脅威と判断し、領土領海上で発見遭遇した場合、すみやかにこれを撃墜することを自衛隊全部隊に通達いたしました」
記者団の中から挙手をして大手新聞社の記者が質問した。
「昨日、東京湾で光る物体が海中に没した、という複数の目撃報告がありましたが、その事との関連としての発表と理解してよろしいでしょうか?」
「そう理解していただいてかまいません」
その知性体の搭乗する飛行物体は、最初列島の観察を注意深く行っていたが、 次の段階に移ると、数機づつ編隊を組み、列島の各都市の上空に停滞した。飛行パターンには自然現象では説明のできない人工的な形態が示され、スクランブル対応をした自衛隊機を瞬時に回避した。
別の記者が質問した。
「その未確認物体が未知の異星人の搭乗したものと判断されるわけですか?」
「昨日の東京湾での物体については、現在、厳格な調査を進めており、お尋ねの趣旨のような異星人の搭乗したものとの断定は現段階ではいたしかねます」
記者が問い返す。
「昨日の東京湾での物体はパトリオットミサイルが撃墜したとの情報があります。未知の惑星からのUFOが我が国の脅威になっているから、撃ち落とした、そうではないのですか?」
列島の上空で飛行物体と自衛隊機の追撃が展開されていた。飛行物体は航空力学を無視したあり得ない飛行形態を繰り返し、列島の防空体制を翻弄していた。
大臣が答える。
「一般論として、すべての飛行物体は確認されるまでは、未確認飛行物体と呼称されるわけです。飛行機でもミサイルでも、確認ができていなければ、未確認飛行物体、UFOとなります」
そのとき、記者会見場の出入口で物音が聞こえ、会場に詰めていた記者団が騒ぎに気づいて目をやると、銀色の体躯をした、頭から二本の触角をつきだした大きな目の異星人が大股で会場に入ってきた。
大臣の会見は続く。
「最初に飛行物体が自然現象であるか否かを確認したのちでなくては、これを生命体が搭乗していると認識することは困難でして………」
異星人は記者団に紛れて椅子に座ると、防衛大臣の発言を頷きながら傾聴していた。
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