第一話
「まさか、また隣の席になるなんて! これって本当に運命じゃない? マジで運命的なんだけど!」
まだ新学期が始まったばかりのせいか、教室内の雰囲気はどこか落ち着きがなく、会話も控えめだ。
だが、その中で一組だけ、違う空気感を持つペアがいる。俺、津田唯斗と、ギャルの花田夢華だ。
ギャルというのは本来声が大きいものだが、静まり返った教室の中ではその声がいっそう目立つ。
「偶然すぎてテンション上がるのは分かるけど、ちょっと声のボリューム落とせ。授業中うるさいと、先生に前の席に飛ばされるぞ。」
「まだ授業始まってないんだから、いーじゃん! あたし、授業中はマジで真面目なんだからね? ……知ってるでしょ?」
そう言いつつも、彼女は少しだけ声を潜めてくれた。
新しい友達は――まあ、今日のところは無理そうだが、こうしていつものやり取りをしているだけで、新学年への緊張が少しほぐれていくのを感じる。
彼女の隣に、四度連続で座れるなんて、俺は神に愛されているのかもしれない。
……まあ、出席番号的に隣になりやすいってのも、大きな理由の一つなんだけどな。
「ねぇ見て、前の席。うちの学校で“超美人”って有名な白鳥さん、同じクラスだったんだよ!」
「うお、ガチじゃん。後ろ姿だけでもオーラが違うな。高嶺の花って感じめっちゃするわ。あんな美人には、俺絶対話しかけられないな……」
「え〜、私も美人じゃん? もっと緊張して、ドギマギしてくれてもいいのに〜」
「今更だろ」
そんなくだらない会話をしているうちに、チャイムが鳴り、新学期最初の授業が始まった。
「えー、新しくこのクラスを担当することになった山越です。よろしく頼む。……って、今日からなのにもう欠席者がいるな。この席って……」
「ねぇ、休んでる子って、フックーちゃんじゃない?」
「授業中は話さないんじゃなかったのかよ。……まぁ、たしかに前も同じクラスだったけど。後半から、学校来てなかったよな」
「なんか、心配だよね」
福森沙耶。
彼女のことを夢華は、ギャルらしく“フックーちゃん”と呼んでいた。
真面目で控えめな印象の子で、いつも前髪で目が隠れているような、そんな子だったと記憶している。
「困ったなぁ……。新学期は配布物が多いんだよ。誰か、彼女の家に持って行ってくれる人はいないか?」
「はいっ! 私、持って行きます!」
先生の言葉が終わる前に、勢いよく手を挙げるギャルが一人。
「おお、助かるよ。じゃあ、家の場所は教えるから、よろしく頼むな」
「おい、本当にいいのか? その子の家、どこにあるか知らないだろ。もしかしたら結構遠いかもしれないぞ」
「だって、学校に来てないって心配だもん。様子見がてら、一回家に行ってみようかなって」
彼女が先生から受け取った地図を覗き込むと、福森さんの家は思った以上に山奥にあるようだった。
……しかも、その山には見覚えがある。
「その山なら、俺、けっこう頻繁に行ってるんだよな。一人だと迷うかもしれないし、俺もついて行こうか?」
「えっ、いいの? 結構ガチな山奥だよ?」
「庭みたいなもんだ」
「マジ〜? 助かる〜! ぶっちゃけ、思ったより山奥でさ……立候補したのちょっと後悔してたんだよね。アハハ」
「……生徒にこんな山奥まで届けさせようとするなんて、あの先生、けっこう適当だよな」
「いやいや、立候補したの私だから。じゃあ、放課後の道案内、よろしく頼むよ〜!」
――――――――――
今日の授業は午前中だけだったので、放課後は思っていたより早くやってきた。
「いや〜、午前中授業って楽でいいなぁ。明日から午後もあるって思うと、ちょっと気が滅入るよ」
「何、帰ろうとしてんだ。先生のお使い、まだ終わってないだろ」
「あっ、そっか。忘れてた〜。……そういえば、この山ってどうやって行くの?」
「峰山な。歩いて行くにはちょっと遠いから、一回俺んち寄って自転車取ってきてもいいか?」
「うん、わかった。アタシも自転車通学だから平気だし〜。……てか、その前にお昼食べないと! お腹と背中くっついちゃいそうなんだけど!」
「はいはい。うどんでいいな」
「やっぱ、うどんでしょ〜!」
香川県のうどん店は、外食にしては手頃な価格で済ませられる上に、味も折り紙付きだ。
香川に引っ越したら、まず最寄りのうどん店を探すところから始めるといいだろう。
自転車を回収してから、俺たちは行きつけのうどん店に入り、俺はかけうどん(大)、夢華は肉うどん(中)を注文。
今日も、ここのうどんは最高だった。
「「ごちそうさまでした!」」
「やっぱ、ここのうどんマジでうますぎなんですけど! 引っ越そっかな、ここに!」
「俺はこの近所だから、いつでも食べに来れて最高だぞ。もはや俺の誇りだな」
「なんで唯斗が誇ってんのよ。……って、早く届けに行かないと日が暮れちゃうってば!」
「そうだな。山はさすがに自転車じゃ登れないから、麓まで自転車で行って、そこからは徒歩で登ろう」
「登山とか……小学生以来なんですけど!? まさか新学期早々、唯斗と登山することになるとは思わなかったわ〜」
「そこまで大きな山じゃないけど、時間はそれなりにかかるぞ。本当に大丈夫か?」
「どーせ午後ヒマだし、無問題よ! 山がアタシを呼んでる!」
やる気満々な夢華だったが、そのテンションは長くは続かなかった。
峰山の墓地群に差し掛かる頃には、すっかりバテバテで、まるで「ギブアップ」と言っているかのような顔。
最終的には、俺が彼女を引っ張るような形で、なんとか福森さんの家にたどり着いた。
結構しっかりした一軒家で、傾斜地に作られているからか少し変わった形をしている。
「や、やっと着いた……」
「お疲れさん。じゃあ、書類だけ渡したら今度は下山だな」
「鬼! 悪魔!……もうこうなったら、強引にでもフックーん家に上がり込んで休憩してやる!」
「おいおい、それは迷惑だろ。……まあ、お前ならなんとか押し切れそうではあるけどな」
俺の言葉に、夢華はサムズアップで応え、そのままインターホンを押した。
『はい、どちら様ですか?』
「福森さんの友人です! 学校の書類を届けに来ました!」
『あら、少々お待ちくださいね』
会話が終わると、夢華はドヤ顔でピースしてきた。
いや、インターホンで会話できたくらいで、そんなドヤ顔はやめてほしい。
「はーい、ごめんねぇ。わざわざ持ってきてくれて」
「いえいえ!あの、福森さん、最近学校に来てないみたいですけど……大丈夫なんですか?」
「あの子ねぇ、ずっと体調が悪いって言って、部屋にこもりっきりなのよ。最初は本当に熱が出てたんだけど、さすがにもう治ってるとは思うんだけどねぇ」
「それは大変ですね……。あのっ、一度お会いして直接お話を聞いてみたいんですけど、ちょっとだけ上がらせてもらったりとか……」
「あらまあ、ありがたい申し出なんだけどねぇ。あの子、最近ほとんど部屋から出てこないのよ。もしかしたら、お話できないかもしれないけど……」
「全っ然大丈夫です! とにかく、一度チャレンジだけさせてください!」
「……まあ、そこまで言うなら。どうぞ、上がってちょうだい」
「お邪魔しまーす!」
初対面でもグイグイと踏み込んでいく夢華。
彼女の持つ空気感に当てられると、誰もが自然と心を開いてしまう。
いわゆる“人たらし”というやつだ。
……で、結局、俺まで福森さんの家に上がることになってしまった。
前のクラスで一緒だったとはいえ、顔見知り程度の関係で、いきなり家に押しかけるような間柄ではない。
ここは大人しく、夢華に任せることにしよう。
「一応言っておくが、俺はほぼ面識ないから、あとは夢華に任せるぞ」
「え? 私もそんなに仲良いわけじゃないけど?」
「え?」
「たぶん、去年話したの、3回くらいなんじゃないかな〜」
……コイツ、さっき「福森さんの友人です!」って言ってなかったか?
頭の中が春爛漫なのか、人類皆友達だと思ってるのか……。
陽キャを極めると、3回話しただけで他人の家にも躊躇なく凸れるらしい。
想像していた以上に、夢華と福森さんの関係は浅いようだ。
とはいえ、夢華のことだから、それなりに気を遣って話してくれるとは思うが……。
もしかすると、俺も会話に介入しなきゃならないかもしれない。
ああ、なんだか急に憂鬱になってきた。
「おっけー。ひとまず理解したわ。そんなに仲良くないのね?」
「うん。でも、これから仲良くなればオールオッケーでしょ!」
「はぁ〜……」
夢華の強靭なメンタルが羨ましい。
そのままの流れで、彼女は福森さんの部屋の前へ向かい、ノックをする。
不安しかない状況で、ここまで堂々と行動できる神経が理解できない。
「ごめんくださ〜い! 私、花田夢華ですけど! 配布物持ってきたよ〜!」
「え!? ち、ちょっと待って……なんで花田さんが……? す、少し待ってください!」
部屋の中からドタバタと慌てるような音が聞こえる。
突然の来訪に驚いている様子だ。まあ、無理もない。異常なのはコイツだからな。
5分ほど経って、ようやくドアがゆっくり開いた。質素な部屋で一見片付いているようにも見えるが、ところどころプリントが散らかっている。
「あ、あの……」
「これ! 配布物持ってきたよ! 私、夢華だけど、覚えてる?」
「わざわざ持ってきてくれて、ありがとう。……夢華ちゃんのこと、ちゃんと覚えてるよ」
「最近、学校に来てくれないからさ、心配になって……来ちゃった!」
「“来ちゃった!”じゃないっての……ごめんな。急に押しかけて」
「いや……ありがたいよ。わざわざ持ってきてくれて」
すると、タイミングよく、福森さんのお母さんが湯呑みを乗せたお盆を手に部屋に入ってきた。
「ごめんなさいねぇ。急におもてなしもできなくて……簡単なお茶だけど、よかったらどうぞ」
「「ありがとうございます!」」
湯気の立つ湯呑みを手に取りながら、どこかほっとした空気が流れる。
こうして俺たちは、福森さんの部屋で、お茶を飲みながら少しずつ会話を始めることになった。
「ねぇ、なんで最近、学校に来なくなっちゃったの? 何か嫌なことでもあった?」
夢華は、迷いなく核心を突いてくる。
まずは本人の口から事情を聞かないことには始まらない。
「じ、実は……まだ体調が完全に戻らなくて。熱は下がったんだけど、体がずっとだるくて、なんだか部屋から出たくなくなっちゃって……」
「でもさ、それなら逆に外に出たほうが、気分もスッキリするかもしれないよ? 私たち、また同じクラスだし、仲良くしてくれたら嬉しいなって」
「……ううん、それは……ごめん。たぶん、まだ学校には行きたくないかも」
これは……思っていたよりも重症だ。
一度、学校に行かない生活に慣れてしまうと、再び足を運ぶのが億劫になる。
いわゆる“五月病”と似た心理状態だろう。
前に見た印象では、押しに弱そうな子だったが……夢華の誘いにここまではっきり断るということは、それだけ行きたくない理由があるのだろう。
もしかすると、五月病だけじゃなく、別の原因もあるのかもしれない。
「で、でもさ、ずっと学校に行かないってわけにはいかないでしょ?」
「……今ね、私なりに一生懸命考えてるところだから。できれば……そっとしておいてほしい」
「夢華」
俺は立ち上がり、視線で「もう行こう」と告げた。
「でもっ……!」
「本人がそう言ってるんだ。無理に踏み込むのは違うだろ。福森さんの気持ちは、俺たちには簡単にわかるもんじゃない」
「っ……」
「邪魔してごめんな、福森さん。何かまた配布物とかあったら、届けに来るよ」
「うん……来てくれて、ありがとう」
そう言って、俺たちは部屋を後にした。
夢華は、どこか悔しそうな表情をしている。
「これで、良かったのかな……。このままずっと、学校に来られなかったら……」
「……正直、ちょっと心配だよな」
「…………」
「なぁ、福森さんが学校に来なくなったのって、いつ頃からだったか覚えてる?」
「えっと……たしか、去年の11月くらいだったと思う」
11月――文化祭の時期だ。
俺の記憶が正しければ、福森さんは文化祭の実行委員をしていたはず。
もしや、あの頃になにかあったのか?
「……あ、ちょっとごめん。福森さんの部屋に忘れ物したっぽい」
「えっ?」
「すぐ戻るから、先に玄関で待ってて」
「あ、うん……」
夢華が小さくうなずいて、ゆっくりと玄関の方へ歩いていくのを見届けたあと、俺は反対方向に足を向けた。
廊下を引き返し、もう一度福森さんの部屋の前に立つ。
少し迷ったあと、できるだけやわらかい声でノックする。
「ごめん。ちょっと忘れ物しちゃって……。少しだけ、開けてもらえるか?」
数秒の沈黙の後、ドアの向こうからか細い声が返ってきた。
「……うん、ちょっと待ってて」
先ほどのような慌ただしい音はしなかったが、前よりも時間がかかって、ようやく扉が開いた。
目元は髪に隠れてよく見えなかったが、少し赤く腫れているようにも見えた。
「ごめんね。待たせちゃって。……これ、君のスマホでしょ?」
「ああ、ありがとう」
「じゃあ……」
彼女がドアを閉めようとした瞬間、俺は言葉を投げかけた。
「待って。もしかして――文化祭の実行委員のとき、熱を出して休んじゃって、そのせいで仕事ができなかったことを気にしてたりしないか?」
「……」
「もしそうなら、気にすることなんてない。体調崩したのはどうしようもないことだし、もうクラスも変わった。君が来なくなったことを知ってる人も、ほとんどいないよ」
「だから、一緒に学校に来よう?」
「……たしかに、君の言うことは正しいのかもしれない」
「でもね、それだけじゃないんだ。頭ではわかってるけど……いざ学校に行こうとすると、怖くなっちゃって。玄関を出ることすらできないの」
「……」
「だから、もう配布物とか……わざわざ届けなくても大丈夫だよ。私は、あなたたちの期待通りには動いてあげられないから」
だんだんと、声が震えていく。
彼女だって、変わりたいと思ってるのはきっと本当だ。
だけど、他人の目が怖い。
気にするなと言われても、気にしてしまう性格なのだろう。
「じゃあさ。まずは、外に出るところから始めてみない?」
「……え?」
「俺、毎週日曜日にこの山でゴミ拾いしてるんだ。川とか道端にけっこう落ちててさ。ついでに軽い登山にもなるし、運動にもなる」
「まだ、学校に行く覚悟はできてないかもしれない。最悪、学校に行かなくても生きていける。
だけど、このまま家から一歩も出られなくなったら、本当に困るだろ?」
「だからさ。一緒に、ゴミ拾い、しないか?」
「で、でも……私……」
「君自身も、このままじゃダメだって思ってるんじゃないのか?」
「…………」
「……わかった。私も、ゴミ拾い、参加する」
「! よかった! いやぁ、実はずっと一人でやってて寂しかったんだよな。やっと“ゴミ仲間”ができた!」
「ゴミ仲間って……」
「じゃあ、今週の日曜、チャイム鳴らすから。あ、LINE交換しとこっか」
「あ、うん。えっと、これ……」
どうやら、なんとか説得できたようだ。
これで、新学期最初の“友達”もできたし、夢華の気がかりも少しは和らいだだろう。
わざわざ戻ってきた甲斐があった。
「じゃあ、また日曜。道具は俺が持ってくから、手ぶらでいいよ!」
「うん。じゃあね……あ、そういえば君って、津田唯斗って名前だったんだ」
……あ、自己紹介、してなかったわ。
――――――――――
福森さんの家を出ると、玄関前の段差に夢華がぺたりと座り込んでいた。どこか落ち込んだ様子で、ぼんやりと空を見上げている。
「すまん。待たせたな」
俺が声をかけると、夢華はゆっくりとこちらを見上げた。
「ううん。……なんか話してたの?」
「まあな。学校のことは一旦置いておいて、まずは外に出る練習から始めようって話になった」
「え? 私抜きでそんな話してたの?」
「あー……そうだな。しょうがないから夢華にも話しておくよ。下山しながらな」
夢華だけに話さないのも気が引けたので、少しずつ経緯を説明していく。
福森さんが少し前向きになったことを伝えると、夢華の沈んだ表情も次第に和らいでいった。
「えーっ! 唯斗って毎週ゴミ拾いとかしてたの? 言ってよ〜! 私も参加したのに〜」
「夢華の家からここまで来るの、毎週は大変だろ。どうせそう言うと思って、親切心で黙ってたんだよ」
「それに、なんかちょっと恥ずかしくてさ。ゴミ拾いしてるって、あんまり堂々と言える感じじゃないっていうか……」
「なに言ってんの。めちゃくちゃ良いことしてるじゃん。むしろ自慢すべき。私、クラスのみんなに広めとくから!」
「やめてくれ。俺が嫌がるの、分かってて言ってるだろ」
「アハハ、バレた? でも、少しでも前に進めたなら良かったよ。さすが私の唯斗! 褒めて遣わす!」
「俺は夢華のじゃねぇよ」
「うぅ〜、でも私、何もしてあげられなかったなぁ。なんか、唯斗に負けたみたいでちょっと悔しいんだけど」
「でも、夢華がいなかったら、そもそもあの家に上がり込むなんてことにはならなかった。だから、今回は引き分けってことでどうだ?」
「引き分け! うん、いいね、それ。……ってことは私の手柄でもあるわけだ! やった〜! あ、でもそのゴミ拾い、絶対参加させてもらうからね!」
「はいはい。そう言うと思って、もう準備してあるよ。……ほら、グループLINEに追加しといた」
「え、仕事早っ……あ、ほんとだ、入ってる……って、グループ名『ゴミ仲間』!?」
「ん? 不満があるなら、別に参加しなくてもいいけど?」
「あ、いや、ぜんぜん文句ありません! ゴミ仲間でオッケーです!」
「よろしい。じゃあ、今週の日曜、午後二時集合な。まあ、距離的に無理そうなら無理しなくてもいい。……でも、どうせ来るんだろ?」
「当然! 私だけ仲間外れなんて、絶対許さないから!」
……やれやれ。
どうやら、今週の日曜は思った以上に騒がしくなりそうだ。
福森さんと二人だけでゴミ拾いをするのも気まずいと思っていたところだったから、夢華が来てくれるのは正直ありがたい。
そんなことを考えているうちに、道は本格的な山道に差し掛かった。
足場も悪くなってきて、福森さんの話どころではなくなる。夢華はというと、足を取られながら「うわっ」「ぎゃっ」と騒ぎ通しで、まるで絶叫マシンにでも乗っているかのようだった。
――やっぱり、隣のギャルはいつだってやかましい。
俺は、この新学期が、きっとただでは終わらない。そんな予感がしていた。