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プロローグ

一般に「ギャル」とは、明るく社交的で、流行に敏感な若者のことを指すらしい。

そうだとすれば、この子ほど「ギャル」という言葉が似合う女性はいないだろう。


ゆるくカールのかかった茶髪のロングヘア、長いまつ毛、イヤリングにネイル──顔からつま先まで、あらゆるところにおしゃれが行き届いている。

内面も申し分ない。誰とでもすぐに打ち解けられるような明るい性格の持ち主だ。

彼女の名前は、花田夢華はなだ ゆいか。本人曰く、「ゆめっちって呼んでね!」とのこと。


そんな“ギャル・オブ・ギャル”、花田夢華は、ついにこの俺とも仲良くなってしまった。

……いや、正確には「なってしまった」のではなく、なるのも当然だったのかもしれない。


なぜなら高校に入学してからの一年間、彼女はずっと俺の隣の席に座ることになっていたからだ。


別に、席替えが一度もなかったわけじゃない。1学期ごとに席替えはあったし、毎回違う席になる可能性も十分にあった。

それでもなぜか、彼女は毎回俺の隣にいた。


でも、それも今日で終わり。

高校2年生に進級し、クラス替えがある。


べつに彼女が苦手なわけでも、離れたいと思っていたわけでもない。

ただ、彼女の性格ならもっとたくさんの人と関われるはずなのに、俺がずっとその隣を占領していたことに、少し申し訳なさを感じていた。

俺自身も、彼女のコミュ力に何度も助けられてばかりだった。

だからこそ、今度は俺も、彼女を見習って新しい隣人と仲良くなれるように頑張ろうと思っていた。


新しい教室では、ぽつぽつと会話が聞こえてくる。

前年度同じクラスだった人同士が話していたり、今日初めて会った人と自己紹介をしていたり──そんな風に、初対面の空気が少しずつ和らいでいく様子が見て取れた。


俺も、心機一転、新しい友人を作るために頑張ってみるか。


黒板に貼られた座席表を確認し、指示された席へと向かう。

よし。このまま隣の人に話しかけて、仲良くなろう。


「「あの、」」


俺と隣の人は、同時に声をかけた。

顔を見合わせると、見覚えのある派手な容姿にすべてを察する。


──俺の隣には、ギャルがいた。

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