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深い森  作者: yukko
フランス
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首飾り事件の顛末

フランス王室を貶める事件でございましたが、ルイ16世陛下も王后陛下も「新聞」の取材をお受けになられてたのでございます。

「新聞」は、ルイ・ド・ロアン枢機卿の周辺への取材も同時に行っておりました。

その取材から、ロアン枢機卿が聖職としての義務を果たすことよりも華やかな暮らしを好み、贅沢三昧な暮らしをしていることを国民は知ったのでございます。

ジャンヌ・ド・ラ・モット伯爵夫人に対しても取材は行われ、夫であるマルク・アントワーヌ・ニコラ・ド・ラ・モット伯爵は、伯爵を名乗っていましたが、本当に貴族であったかどうかは疑わしいことが知れ渡ったのでございます。

また大変貧しい貴族の家に生まれたことも……。

パリ高等法院(最高司法機関)における裁判の結果、ロアン枢機卿はカリオストロ伯爵夫妻、ニコル・ドリヴァ、ラ・モット伯爵夫人全て有罪でございました。

監獄でラ・モット伯爵夫人は鞭打ちの刑を受けた後、両肩に「V」の焼き鏝を捺された後、サルペトリエール監獄での終身禁錮刑を受けたのでございました。


首飾りでございますか?

首飾りはラ・モット伯爵夫人が解体し詐欺師仲間に分配したそうでございます。

それを各々が売却したために消失してしまっております。

もう、何も無くなってしまっているのでございます。


「アントワネット様……。」

「アンネドール、無理しないで欲しいの。

 もう……無理に話さなくていいのよ。

 お願い……もう……。」

「……どうか……どうか……覚えておいてくださいませ。

 国民が居るからこそ……王家が存在できるのだと……

 どうか……忘れないで……くださいまし。

 …………お願い……………。」

「………アンネドール?」

「……………。」

「アンネドール! 逝かないで……。」

「御臨終でございます。」

「アンネドール!」

「マリー、アンネドールを休ませてあげよう。」

「陛下!」

「……さぁ、テレーズ、ジョゼフ……こっちへおいで。」

「はい。お父様。」

「はい。おとうさま。」

「ばあやにお別れをなさい。」

「おわかれ?」

「そうだよ。ばあやは天に召されたのだ。」

「天に?」

「そうだよ。天から私たちを見守ってくれるのだよ。

 さぁ、Adieuと……。」

「ばあや……Adieu……。」

「……Adieu……ばあや。」

「アンネドール、今まで私たちを見守り導いてくれて感謝している。

 民のための王になるよ。誓う……。

 アンネドール……Adieu……。」

「……アンネドール……オーストリアから…ずっと…ありがとう。

 もっと……傍に居て欲しかったわ……Adieu……。」


⦅国王ご一家を私は見守らせて頂きます。ずっと……。

 ……貴方は……貴方……アントン……迎えに来てくださったの?

 アントン……貴方は昔のままの御姿なのに……

 私は……こんなに老婆になってしまって……

 この姿を見られたくなかったわ。貴方に……。

 それでも、抱きしめてくださるの?

 ……嬉しいわ。……愛しています。誰よりも……貴方を……。

 綺麗だわ。

 ここは……私の育った屋敷の庭……ね。⦆

⦅そうです。お嬢様……

 貴女と俺が初めて会った……あのお屋敷の庭です。⦆

⦅アントン……もうお嬢様じゃないわ。

 アンネドールと呼んでください。

 ねぇ……アントン……。⦆

⦅……アンネドール……行こうか……時間だよ。⦆

⦅もう離さないでくださいね。⦆

⦅うん。離さないよ。⦆


「ばあや……涙を流しています。お父様……。」

「本当だね。でも、哀しい涙じゃないような気がするね。

 幸せだから涙が出ているような気がする。

 そんな最期の微笑みに見えるね。」

「陛下、私にも……そのように見えますわ。

 苦しまないで最期の時を迎えられたのでしょうか?」

「多分、そうだと思うよ。」

「だったら……私は……。」

「マリー、泣こう。ばあやを偲んで……泣くのは良いことだよ。」

「……はい。陛下。」

当時の刑法では泥棒、窃盗犯にはフランス語で「泥棒」を意味する「Voleuse」(女性形)の頭文字「V」の焼き鏝を両肩に捺される刑罰があったということです。

史実とは大きく変えています。

裁判所と政治的に不仲だったのが王室でしたが、このお話では政治的に敵対していないことにしています。

政治的に敵対状態だったのでマリー・アントワネットに不利な判決でした。

また今に近い「新聞」はありませんので、贅沢三昧をしていたルイ・ド・ロアン枢機卿のことを国民は知りませんでした。

事実に反して王妃の陰謀によるものとして噂になりロアン枢機卿はマリー・アントワネットへの勝利者として国民に人気が出たのです。

表舞台に出たことが無いマリー・アントワネットの存在がこの事件で表に出て、全ての元凶がマリー・アントワネットにされてしまいました。

そして、ラ・モット伯爵夫人は一度もあったことが無かったマリー・アントワネットと同性愛の関係だったと嘘を流布したのです。

マリー・アントワネットは「していないこと」を「したこと」にされてしまいました。

このことがギロチン台に近づいた事件でもありました。

Wikipediaより抜粋転載しています。

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