表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
深い森  作者: yukko
フランス
34/39

夫婦

隠し通路をお使いになってアントワネット様はルイ16世陛下に御会いになられました。

扉が開くと、そこに陛下がお出ででございました。


「マリー、貴女が来てくれるのは初めてですね。

 どうかしましたか?」

「陛下、二人だけでお話したいのでございます。」

「分かりました。

 皆、下がりなさい。」

「承知いたしました。」


私は隠し通路を使ってアントワネット様の御部屋に戻りました。


「皆、下がりましたよ。

 どうしたのですか?」

「陛下……お教えくださいませ。」

「何でしょう?

 私に答えられることなら何なりと…。」

「……陛下、あの日……

 フェルセンを……隠し通路を使って私に会うようになさいました。

 どうしてでございますか?」

「…………。」

「どうしてでございますか? 陛下……。」

「……貴女の心が分かったからです。」

「私の心……。」

「貴女はフェルセンに初めて会ったその日から……心惹かれていた。」

「陛下!」

「……私は気付いてしまったのです。」

「…………。」

「マリー、貴女は政略のために……私に嫁いでくれました。

 私のような取り柄が無い男に……。」

「陛下! 取り柄が無いなどと仰らないでくださいまし。」

「事実だ。見た目も悪い。気の利いたことを貴女に話すことすら出来ない。

 狩猟と錠前づくりが趣味の……何も取り得が無い……。」

「陛下!」

「だが、フェルセンは違う。

 彼は見目も麗しく、全てにおいて私より数倍上の男性だ。」

「陛下……陛下は真面目で……。」

「それしかない。能が無いのだ。」

「陛下……。」

「貴女はこんな私のために、今まで私を支えてくれた。

 可愛いテレーズも産んでくれた。

 これ以上、私は貴女に何も求められない。」

「…………。」

「貴女をフェルセンに委ねることが出来れば……

 貴女は……女性としての幸せを得られると分かっている。

 分かっているのだ。

 ……それが出来ない私を恨んでくれていい。」

「陛下……陛下を恨むなど……私は……。」

「離婚は出来ない。

 同盟にヒビが入る。

 それは国王として許されない。

 ……すまない。貴女を苦しめている私を許さなくていい。

 恨んでくれ。」

「……陛下、許されない想いを抱いてしまった私を……

 どうして…責めてくださらないのですか?」

「貴女は悪くないからだ。

 ただ、恋をしただけ……それだけなんだ。」

「……陛下、私はあの日、フェルセンへの想いを断ち切りました。」

「マリー! それはいけないよ。

 心が壊れてしまう。貴女の心が……。」

「陛下、私はテレーズの母です。

 母として、あの子の傍に居たいのです。

 フェルセンへの想いは……テレーズを……可愛いテレーズを傷つけてしまう日

 が……やって来ると思います。いつか………。

 フェルセンへの想いは忘れます。」

「マリー!」

「陛下、私が寂しくないように……辛くなった時に……私の傍に居てくださいます

 か? ずっと……。」

「……それは……私では……。」

「陛下、お願いでございます。

 陛下が私のことをお嫌いでなければ……。

 陛下と二人でテレーズの成長を私は見とうございます。」

「マリー……。」

「……あの日、フェルセンに別れを告げたあの日……。

 私は気づきました。

 ……陛下のお優しさ……深いお心……を………。

 私は、もう迷いません。

 これからは母として生きて参ります。

 私の愛は……テレーズと……国民に注いで参ります。」

「マリー……。それで良いのか?

 フェルセンがアメリカから無事に戻ってきた時……。」

「いいのです。

 陛下、私の幸せは……陛下と共に……。」

「マリー……。」


その日から後のことでございます。

アントワネット様がご出産なさいました。

お生まれになったのは、王太子ルイ・ジョセフ・グザヴィエ・フランソワ殿下でございます。

王太子殿下のご誕生でございました。

フランス中が喜んだのでございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ