第2話 あべこべ入れ替わり発生、意外な探偵の素顔
「芽衣。ちょっと試しに遊びに来ちゃったあ。うわあ。可愛い。こんな素敵な場所よく見つけたわね。お花畑も可愛い。楽しそう。こんな生活してたら、健康にもなるわあ。いいわね、芽衣も変わっちゃったけど、幸せそう。いいじゃない」
「ケイエイシャってやつ、芽衣もえらくなったもんだわね。あ、モデル仲間の近況聞く?アサミが民放のクイズ番組出てさあ、マイナスを棒って言っちゃったんだ。そうしたら、次のクイズ番組も出れるし、歌手デビューも決まったんだって、私も今後、目立つこと言おうかな」
私はハーブティーを入れるだけの試練の日々。
ある日、ためしにと連絡したら、モデル仲間が遊びに来た。
「う、うえあ、ごめーん、帰るわ。そう言えば、お母さんから、漬物買って来いって言われてたんだよね」」
「げ、ぐ。あ、私も買えるわ。友達と約束してたの、忘れてた」
この二人にも、ハーブティーを出したけど、出したとたん、ひえええ、まずーと慌ててユーターン。
(そんなにまずいわけ?)
私のハーブティーよ。精魂込めて作ったハーブなんですけど?なんでよ?
「多々園さん。あの事件ですが、考察をまたお願いできますか?」
「うむ、まとめた書類を持ってきたまえ」
あ、またやってる。
田んぼを耕しながら隣を見たら、警察車両が前につき、背広の警察官の木畠良男が来ている。
「ではよろしく」
「ううーん」
警察が帰ってから、探偵は推理している模様。
これは・・・難しい事件ね。絞殺死体が見つかって、現場は密室。で、犯人は家族の誰かの中にいる。
けど、殺害時刻には全員アリバイがある。そして、犯行に使われたとおぼしきロープは見つからない。
「この犯人が殺人を行った後、ロープを持ち去ったのは屋根にかかる電線に渡して、隣の家へ移動したとも考えられる」
探偵は何やら分かったと言った後、書類にすらすらと文字を書き入れた。
ええ?猿渡りみたいに、隣に電線使って移っていったわけ?
私はハーブティーを入れる。探偵の話を聞きながら、ハーブティーを飲むのだ。極上の時間だ。
「ふうっ」
私は気づいたのだ。探偵の話と共に飲むハーブティー。なんかはらはらドキドキして、ハーブティーに極上にエッセンスがふりかかる。って。
なんて、気づいたのよ。気づいたら、止められないの。止めたくても、止められないの。人間って、おかしなものね。こうなったら、止められない。旨味成分抽出でないけど、なんかあるのかしら、これ。。
いけない。こんなことしちゃ。ハーブティー。私のハーブティーよ。本来なら、正統派で味わってもらうつもり。
美味しいハーブティーもある。
今はスギナだ。和の雑草。これが意外と美味しい。雑草研究家じゃないのよ?私はハーブ研究家、スギナが美味しいって。なんだかもうめちゃくちゃだけど、とどのつまり、フィールドワークによる結果、フィールドは有形無形なの。
「そのため、とても身軽な人でなければならず、おそらく犯人は家族の中で一番小柄な、被害者の娘、と思われる」
うそ、そうなの?私もハーブ栽培で荷物をまとめたりするのにロープを使うけど、あの人、ロープも、見たことないのかしら?
(ここは私の出番だわ)
栽培地で苗を分けたりするのにロープとたわむれ、ロープに詳しく、今、ロープを持って行ける女なんて、隣では私だけでしょ。
「探偵さん、ロープをあげるわ」
「誰だ君は?」
「何を隠そう、謎めく私、いえ、隣の者です。あなたに推理の材料を持って来たの。ロープ、ロープとはこんなものです。本当に使えるかどうか、見てください。それから、納屋にあった、梯子。これも持って来ました。現物を、よく見てください。これが本当に密室に使われたどうか」
「ああ。君は途中までしか聞いてなかったんだね。今言おうと思ってたんだよ。ロープを使えば、殺害後、どうやって密室にしたのか分からないが、もう一つの道具を使えば、おそらく、梯子のようなもの。例えばだが、梯子を使って相手の部屋に入り、ロープで殺害した後、梯子で隣の部屋に渡り、ロープを使って、窓の鍵を下ろし、その後、ロープを引き抜いたなら、密室殺人の殺害が出来上がる。と。またその他にもいろいろ考えられる、今はトリックの検討中だ」
あちゃ。勇み足だった?
「し、失礼しました」
私は慌てて、隣の家へ戻った。ああ、失敗。つい、私も乗り気になって、推理に参加したいなんて、思っちゃって。
コンコン。ドアをノックする音がして、探偵が家に来た。
(あ、探偵さん)
私は慌てて、メイクをし、綺麗に着飾った。
「あ・・・君は?」
「え?私?ですが?」
「いったい、誰なんだ?」
ぴちぴちちゅるる・・・すずめの声。
私は慌てて勇み足をしたせいで、失敗した。だから、早々にメイクをし、ジャージから着替えて、強い私を見せたのだけれど、失敗だったようだ。
そんなに見えないか?私に。