4人目 魔界と魔力
ゼウス。ギリシャ神話に登場する主神。全知全能の最高神。白髪短髪白髭モリモリで、ローブみたいなものを身に纏っているおっちゃん。戦闘能力も他の神と比べてもズバ抜けて高く、戦争と死の神である戦闘能力が高いオーディンすらも上回る。だが、ゼウスには向上心というものがなかった。性格は表す言葉があるなら「ノリのいいおっちゃん」という感じで、基本はノリに乗ってくれる。だが、しつこい。
オーディン。北欧神話に登場する戦争と死の神。青くてスタイリッシュかつゴツい鎧を着ており、神謀り以外の時は鎧にとても合っている顔の見えない青い兜を被っている。ちなみに兜を外すと白髪オールバックに蒼眼、左目に眼帯をつけたようなイケオジの見た目である。戦闘に関することなら積極的に関わろうとする程戦闘が好きで、戦闘能力が高いリーレのことを気に入っている。性格は好戦的で荒々しいが、真面目なところは真面目。臨機応変に対応できるところもあって常識人側。
クロノス。ギリシャ神話に登場する時の流れを司る神。灰色のサラサラロングヘアーをした黄緑色の瞳を持った、黒のパーカーを着た変人。時に関与したものが現れた時、その者を異質な存在として判断し、即座に処分する存在である。つまりは、時の管理者である。性格はめんどくさがり屋で、何事にも関与しようとはしない。だが、自身の子供が関係することは傍観する。たまに口を出す。
ポセイドン。ギリシャ神話に出てくる海王神。青髪短髪髭なしのゼウスと同じ服を着たおっちゃん。海に関する全てを操れるため、能力込みで戦えば神の中ではゼウスを除いて最強。ゼウスの場合、同じことができるため勝つことはできない。性格は見た目上は無愛想な感じを出しているが、中はかなり情に厚い性格。頼れるサポート枠みたいな奴。
ヘファイストス。ギリシャ神話に登場する鍛治と火の神。黒目茶髪オールバックの顎髭が特徴的なおっちゃんで、黒色のTシャツを着て、つなぎ服を腰までしか着ていない変人。Tシャツから浮き出るほどの筋肉量を誇るのだが、その筋肉は全て鍛治のために使われる。性格は職人気質で、製作中に邪魔をされるとムカついて怒り出す。だが、製作中でなければ怒ることはない。ある一点を除いて聖人である。
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家に帰ると、訓練中の兄と姉がいた。私も一応程度で訓練に参加しているのだが、まだ2歳児という扱いのため軽めの訓練しか受けていない。そして、休憩時間がやたらと長い。だからその間に森に出かけ、魔獣を殲滅している。今回もその1回だった。
私の両親は兄と姉を「優秀」と評価しており、中々の優待遇を受けている。家なのだから優待遇を受けなければおかしいと私は思うが、あえてその表現にしておく。それが顕著に現れているのが、2人の訓練を2階の廊下の窓からじっと眺めている場面だ。私が休憩中の間、2人は訓練を続けている。9歳になる兄と7歳になる姉だ。そこそこ体力はあり、体の動かし方もそれなりに理解しているだろう。少なくともその頃の私はもう結構な人を殺していた。だが、私はあの2人にそこまで魅力を感じていない。
(とび出たような才能を感じないんだよなぁ……)
陰の中で2人を見てそう思う私。両親があそこまで2人に熱中する意味がわからないのだ。年相応の力、年相応の速度、年相応の理解速度。そして上手く魔力を制御できていなく、体から無駄に漏れ出しているだけ。まだ下級魔獣の方が魔力を上手く制御できている。
私は重い腰を上げ、訓練に戻る。そういや言い忘れていたが、私専属メイド曰く両親は私を劣等者扱いしているらしい。この家では代々複数の子供を産み、劣等者とみなされた者は6歳になると、一般家庭に飛ばされるらしい。そして今、私がそれになりかけている。それを聞いたのは半年程前の頃だ。その時から、両親の目ん玉と脳味噌は腐っているものとして考えるようになった。
「といっても、猶予はある……」
あえてボソッと口に出して言う。傍についているメイドには、私の口だけが謎に動いているような形となっていた。だが、メイドはそれを追求しなかった。メイドは私の何かを理解しようとしているように見えるが、私にとってこのメイド達も両親が雇っている者達なため、脳味噌が腐ってる連中とみなしている。だから決して素は見せない。いつ裏切られるかわからないからね。
適当に訓練をしている最中、魔力の消し方を探っていた。正確に言うのなら、体外に溢れ出している魔力を完全にゼロにして、魔力探知を受けなくする方法だ。神曰く、私の魔力量は通常の生命とはかけ離れたような量らしく、「体に留めておく理論値だから増やそうとか思うなよ」と念押しに言われた程だ。その膨大な魔力量を、私は既にほぼゼロにすることにはできている。だが、完全なゼロにはまだできていない。何か方法があると、考えていた。
ここで1度、この世界での魔力の在り方を説明しておこう。この世界には無数の魔力があり、それを行使するには多かれ少なかれ確実に魔力を消費する。魔力は、その魔法を使うための「ただのもの」としての扱いだった。簡単に説明すれば、電化製品を使うために電気を使う。その電気自体の性質を使ったことは何一つ開発されていない。ただのバッテリーといった感じだ。
そこで私は考えた。魔力には魔力そのものの性質があり、それを使うことで何かしら私の体に変化が起こるのではないかと。そのひとつとして、魔力の体外放出量をゼロにするということだ。気配を魔力の微細な放出と定義した私は、それを遮断することで気配を完全に消すことができるのではないかと。
(前世では気配を完全に消せていた……。ああ、その感覚か……!!)
私は忘れていた。前世という短い時間ながらも、私には前に生きた経験があると。前世では気配を完全に消せていたじゃないか。息を殺し、体の節々にある関節に集中して、完全に音を殺すイメージ。そうか……。魔力は体の節々から放出されている……。そういうことか!!
「理解した」
丁度休憩の時間が訪れた。1時間位だっただろうか、日は徐々に暮れ始めている。
「訓練はこれで終わりとする」
どうやら訓練はこれで終わりのようだ。兄と姉を見ていた指導者がそう言う。私は私についてくれている専属メイドが見てくれていたため、指導者が言った瞬間に私にそれを伝えられ、ほぼ同タイミングで私も終わりとなった。
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夜更け、私は家を飛び出していつもの森に来ていた。食事中やその他諸々の時間を使って色々考えていたのだが、魔力には他の使い方がたくさんあると考えた。ひとつ、「身体強化魔法みたいなのがあるらしいけど、魔力を攻撃部分に集中させて殴るだけで身体強化されるんじゃない?」と私は疑問に思った。
神曰く、魔法は「幾つもの魔力を術式として構築し、それを魔法陣に映すことで視覚化、詠唱によって体内にある魔力を魔法陣に通し、イメージによって魔法を生み出す」といった、幾つものプロセスを踏んだ上で発動する、めちゃくちゃめんどくさいものらしい。だから私は、その魔法無しで魔法そのものの性質を利用しようとしているわけだ。
「この木でいいか」
私は拳に魔力を込め、木の幹を殴る。すると、拳が木に当たった瞬間轟音が周囲に鳴り響き、殴ったところに綺麗な風穴が空いた。その轟音は森の中を轟かせ、森に住む多くの魔獣を起こした。木はミシミシと音を立て始め、前方に倒れた。2歳児の力はそれほど強くない。だから、これ程の身体強化を得ることができることを知れてとても有益な情報になった。
魔獣が私の周囲に集まってきた。これまでは体術だけで魔獣を倒していたが、今回は魔力を込めただけの脳筋戦闘で戦おうと思う。まあ、私の研究のために犠牲となってくれ。そんな魔獣達は私に向けて威嚇をする。狼型やスライム型、植物型に恐竜型などの様々な種類の魔獣が姿を現し、一斉に私を敵とみなしている。けどまあ、やれるでしょう。
「かかって来いよ」
私が挑発すると、魔獣達は一斉に襲いかかった。とりあえず正面から襲いかかってくる魔獣と、背後から襲ってくる魔獣をぶつからせるためにギリギリまで寄せ付け、足に少し魔力を集中させて上へ飛んだ。それでも魔獣の攻撃を躱し、魔獣の身長よりも高く跳ぶことができた。この魔力量でもこれだけ跳べるのか……。
ぶつかって少し麻痺しているところを、上から魔力を込めた拳を叩きつけて魔獣をまとめて粉砕する。なるほど、だいたい魔力の操作がわかった。
私は魔力を用いて戦っていく中で、2個程気づいたことがある。およそ2時間くらいだろうか。襲ってくる魔獣が全滅するまで戦い続けたため、魔力に関する情報は十分に取れただろう。確認しながら戦っていたから、多分合っているだろう。
まず、身体強化魔法を使わずとも身体はかなり強化されること。比較対象として身体強化魔法を使って攻撃してみたが、中レベルまでは魔力を込めただけのパンチで補える。強レベルになれば身体強化を使わないと、魔力を込めただけでは威力を補えない。
次に、気配と魔力は同じものだということ。転生前に使っていた気配察知技術と、全知全能を使って調べた展開魔法に分類される探知魔法を使った。すると、魔力を使用するだけで要領はほとんど変わらなかった。感じる気配も気配察知技術と同じようなものであり、何よりも同じだと言える証拠は、気配を消す技術と魔力を体内に留める技術が同じ方法で行われるということだ。
「さて、帰るか」
私はこの世界に対応した時計を全知全能で生成し、時間を確認する。すると短針は2を指し、長針は7を指していた。私は体を伸ばし、バレないように気配を隠して家に帰った。
この世界は魔界と言うらしい。




