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狂気の使徒  作者: ひょうすい
1章 学園襲撃編
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23人目 Horse Peather



 展開魔法とは、この世に無数に存在する、基礎魔法でもなく、応用魔法にも分類されなかった魔法。所謂「はぐれ」の魔法である。無属性魔法と呼ばれることも多々あるが、魔法式に属性の要素を組み込んでいないだけである。だが、その分幅が効き、幅が効く分、応用魔法よりも魔法式が複雑になる場合も存在する。また、応用魔法と同様に7つの火力(レベル)が存在する(魔法呼称名は変化しない)。



――――――――――――――――――――――



 前回のあらすじ! 私達の通う学園が何者かによって襲撃を受けちゃった! 私は上から落ちてくる超巨大隕石を華麗(豪快)に破壊して、一緒にいたハイジュと手分けして、その何者かをどんどん倒していく! その正体は吸血鬼と名乗る謎の集団だった! 誰だよお前らぶっ殺すぞ。とりあえず全員倒した私達は、最後に残された学園の外で包囲している吸血鬼達の殲滅に動いたよ! これからどうなるの!? 教えてリーレ・スターベン大先生!!

 学園を包囲している敵を殲滅しようと動き始めてほんの数秒、探知魔法で捉えていた数千もの吸血鬼の気配が一気に消失した。誰がやったのか、全く検討がつかない。数千もの吸血鬼をこの一瞬の間に殲滅できる者なんて、学園では数える程しかいない。まず、横にいるハイジュではない。理由は明白だろう。次にゴーンだが、生徒の安全を保証できない限り、今の奴は動こうとしない。私が動いてることなんて、隕石を破壊した瞬間に奴は理解するでしょう。他に一掃できる者は、私の知る限りはいない。天使や悪魔でない限りは、よっぽど強くない限り無理だろう。つまり、部外者によるものだと考える。



 (そこそこ強い……。ハイジュと同じくらいかな……?)



 現場が見える。すると、ハイジュは思ったことをそのまま口に出す。



 「いない……、ね」


 「あー、あれか」



 憶測から確信に変わる。探知魔法が詳しく私に伝える。ここで起こった魔法の魔力反応は、学園の者が発生させる魔力反応ではない。なぜ分かるか? ある程度記憶しているからである。ということは、確実に介入者(インタビナー)がいる。そして、その介入者(インタビナー)が吸血鬼を全て殺した。



 (この魔力反応……)



 魔力の残穢が濃い。なるほど、まだこの魔力反応の主は「近くにいる」。



 (魔力隠蔽使ってる……?)



 常人の魔力隠蔽であれば、あまり魔力を込めなくても極火力(レベル4)くらいあれば、簡単に見つけることができる。が、今探している介入者(インタビナー)はその常人とは逸脱しているレベルの魔力隠蔽。暗殺者志望? それともSPとか?

 私が今使っている探知魔法の火力(レベル)が、ハイジュの使っている火力(レベル)と同じく、激極火力(レベル6)。普通の魔力隠蔽程度であれば普通の反応と大差ないレベルだが、この介入者(インタビナー)の魔力反応は少し薄れている。日頃から魔力隠蔽を使っている証拠だろう。



 (反応的に、ここから少し遠い……?)



 学園から少し離れたところにいた。恐らく、吸血鬼の司令塔を狩ったのだろう。そう考えれば合点がいく。



 「捕まって」


 「え、あ、うん……」



 私はハイジュに指示する。ハイジュはそっと私の手を握る。それでは少し心配だったため、握られた手で思いっきり私の体の方へ引き寄せる。



 「目、閉じといて」



 神術の秘匿? まあそんな感じのやつで神術を見せないようにして、捕捉した介入者(インタビナー)の元へ瞬間移動する。

 介入者(インタビナー)の目の前に移動した私は、バイジュに目を開けさせて姿を捉えさせる。



 「来たか……」



 介入者(インタビナー)は謎に緊張していた。私は何かをした自覚はない。そのため、緊張で包まれようとする雰囲気を何とかしてぶち壊したかった。



 「おいおいおいおい、なんで逃げるのよ」


 「お前を相手にするのはめんどくさいからな」



 徐々に後ろへ下がっていく介入者(インタビナー)は、ずっと私の方を警戒している。そこまで私、こいつに恨まれるようなことした? してないよね? ……してないよね? やばい、記憶が曖昧になってきちゃったかも……。まあ、それっぽいこと返せば……。



 「死にたくないだけでしょ」


 「それもある」



 あら、まさかの正解。けど、私がしたいのはそれじゃない。



 「けどさ、私はあんたを殺す理由なんてひとつもない。私()戦う訳でもないし」



 「私()戦う訳ではない」という言葉に、ハイジュと介入者(インタビナー)は何か引っかかるところがあった。まあ、「私が」の「が」なのだろうが。

 ハイジュは薄々気づいていた。リーレに着いていったということは、ほぼ確実に戦わされるのだと。その予想、まさに正解である。そして今、その司令が発令されるところだ。



 「じゃ、戦おっか」



 ハイジュの顔を見て、一言。それだけ言い残し、介入者(インタビナー)の目の前に瞬間移動する。



 「名前は後に聞く」



 そう発すると同時に圧をかける。目の前の男は動じることはなく、ただ突っ立って私を見る。



 「それより先に、1つ条件をつける」


 (条件……? 急に何を言い出して……)


 「君は今からあの子の師匠ね」



 唐突に出てきた「条件」という単語。まるで戦うのが当たり前かのように考えられていた介入者(インタビナー)は、何が何だか頭の中で整理がつかないまま、更に強烈な一言を浴びせられ、困惑の一言を思わず口に出す。



 「……は?」


 「じゃ、スタート」



 この男が今、何を考えているのかは全くわからない。と言うより、今は何も考えられていないの方が近いだろう。自分でもわかる支離滅裂な発言の数々は、全て思考回路をショートさせるための罠のひとつ。なぜこんなことをしたか? それは、無理矢理戦わせる空間を作るため。

 ハイジュの戦闘能力を10とすると、今目の前にしている介入者(インタビナー)の戦闘能力は50ほど。ポテンシャルやらなんやらで変動するかもしれないが、まあ平均するとそんなものだろう。……介入者(インタビナー)に関しては完全に推測ね。

 ハイジュを50にしろとは言わない。せめて45ほどにしてくれれば嬉しい。でないと、ハイジュの目的の「奴らを殺す」ことは絶対にできない。私が教えようにも、神からの依頼があるため、成長のための時間はそう取れない。そのため、この男に頼むわけだ。え? ゴーンは? 無理でしょ。関係性的に。



 (さて、無理矢理戦わせることにはなったけど、どう転ぶのやら……)



 無理矢理試合決定させたものの、全く予想がつかなかった。



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