2話 追放された(気まずかった)
「……クレイオ。お前をギルドから除名する」
突然告げられた除名勧告に理解が追い付かない
なんで?俺なんかした?
アギトが大切にしている大剣を勝手に振り回して
ギルドの壁傷つけたこと?
それともいたずらでリュウの読みかけの本から
栞を引き抜いた件?
あるいは―-
「……手当として
今回の報酬、モンスターの素材はお前にやる
足りないなら後は冒険者協会で手続きしてくれ」
「おい、突然何言い出すんだ
お前の剣を勝手に触ったことなら謝るからさ
下らない冗談はやめようぜ」
「……冗談ではない」
冗談じゃなければなんだというのだ
俺をやめさせる理由もわからなければ
なぜ今なんだ
本気で言ってるとしたら、いくら何でも唐突すぎるだろう
「理由が知りたいなら
私が説明してやる。」
リュウだ
「『冒険者規則』の一つ
『討伐依頼を個人の間で請け負わない』
というのは知ってるな?」
『冒険者規則』とは『冒険者協会』が定めた規則である
これは協会を維持する為制定されたもので
これに違反したものは協会の判断のもと
冒険者ライセンスを剥奪される
のだが――
「俺が勝手に討伐依頼を受けている、って言いたいのか?
なら言わせてもらうが、俺はそんなことはしていない
俺がモンスターを倒した結果、救われた人がいただけ
ただ、それだけだ。もちろん報酬なんてもらっていない」
「わかっている
ただ、それを判断するのはお前じゃない
現に冒険者協会から警告を受けているがその証拠だ」
その通りだ
しかし、依頼を出すだけにしても申請には金がかかる
なら金のない奴はどうしたらいいんだ
「わかった。じゃあそれをやめればいいんだな」
嘘だがな
「嘘だな」
バレた
「クレイオがそういうやつだってことは
ここの全員が知っている
お前が私の本から栞を引き抜く奴だってこともな
――ギルド内でライセンスが剥奪されたやつが出ると
評判にかかわるんだ
だからこれ以上お前をギルドに置いておくことはできない」
「……そ、そういうことだ」
「ぐ、しかし
そのリスクを差し引いても俺の実力は重宝するだろう!
俺がいないと今後受けられる依頼の幅も狭まるぞ!」
「調子に乗らないで」
アウローラだ
「クレイオの補助魔法なんてもう必要ないの
うちのギルドでも後継は育っているの
だから、もうあなたがいなくてももう大丈夫」
アウローラからそんな言葉が聞けるとは思わなかった
いつも着いてきて
ほっとくと拗ねる可愛い奴だと思っていたのに
「……じゃあ、なんで今なんだ」
「いつかなんて関係ないっしょ」
ホーマンである
「アギトさんが言いたいタイミングが今だっただけ
別にいつでもよかったってことよ
まあ、強いて言うなら最後に一緒に討伐したかったってとこかなー?
俺はどうでもよかったけど(笑)」
くそっ腹立つ口調しやがって!
「わかったよ! お前らがこんな薄情な奴らだなんて思わなかったよ!
良いよ、こんなギルドこっちから願い下げじゃ!
今まで世話になったな! 」
と言って、ここを離れようとしたのだが
「まだ、討伐達成の報告してないっしょ
それまでは、まあ一緒ってことで(笑)」
――そんなことで
途中気まずい時間を過ごして
冒険者協会に着いたのだが
ほんとになんてタイミングで切り出してくんだよ……
まあ、ということで
俺はギルドから追放されましたとさ