001.アースの独り言
わたしの名前はアース。
いつまで経っても若い星扱いなのです。
他の星に比べると若いってだけで、わたしはもう立派な星になってると思うのです。
特にサンには怒られてばっかりだから、いつか見返してやるのです。
サンは、わたしの家族……というか親のようなものなのです。
わたしの主星で、とても偉大で数多の星たちからも尊敬されるような星なのですが、いつもわたしを怒るのです。
ちょっとの失敗は見逃してほしいのです。
この前は、星の力を使いすぎて体調を壊して、少し寝ようかなぁと目を閉じただけで大激怒なのです。
眠りにつく時は、他の星に支えてもらう契約が必要だなんて初めて聞いたのです。
まぁ、超長期間の休眠をしようなんてしたことなかったから、知らなかったのです。
教わってもいないのに、怒られるのは心外なのです。
……あの説教を思い出したら、腹が立ってきたのです。
うぅ、無意識に腹を立てると、大地が熱を帯び燃えてしまうのです。
「落ち着きなさい、わたし」
言葉にすると、うまく干渉しやすいのです。
大地を見渡すと、いくつかの場所で燃えていた森の炎が消えようとしている。
わたしたち星は、思うように星自体を操ることができるのです。
といっても、星の規律の制限のなかでだけなのです。規律の制約は厳しいので、他の星にまで影響を与えるようなことはあまりできないのです。
わたしたち星は、ある程度の星の力を持っていないと消滅してしまうのです。
しかし、星の力は何もしなくても勝手に溜まるのですから、あまり気にすることではないのです。むしろ、自動的に溜まる以外の方法で、星の力を手に入れるのは難しいのです。
星の力は、わたしたちのエネルギー源のようなものなのです。
わたしは、星の力を集めようと頑張っているのです。
「……ふぅ」
うぅ、無意識にため息をつくと大地が風で荒れてしまうのです。
「落ち着きなさい、わたし」
よし、これで大丈夫なのです。
大地を見渡すと、強く吹いていた風が穏やかになってきている。
大地の一部の山たちの木々は折れ吹き飛んで、少し禿げてしまっていた。
よ、よし、大丈夫なのです。
最近のライフワークは、生きもの観察なのです。
生きものを進化させるには、きめ細やかな作業が必要なのです。
わたしの星では、今は人族や魔人族、亜人族に妖精、魔物や動物など、たくさんの生きものが住んでいるのです。
ここまで育てるのには、ちょっと苦労したのです。
何度やり直したかは、はっきり数えてないのです。
生きものたちは、少し目を離すと別人のような行動をとることがよくあるのです。
同じ種でも、助け合って暮らしていたのに、いつの間にか殺し合いをしてることもよくあるのです。
何を考えているのか分からないのです。
力がないのが問題なのです?
ある時、生きものに知恵を与えてみたのです。
これが面白いのです。
わずかな時の流れの中で、様々な変化を見せてくれるのです。
しかも、ごく稀に生きものたちから、星の力を強く持つ者が現れたのです。
これで箱庭遊びのような感覚で、暇つぶしに始めた生きもの観察。わたしはこの面白い生きものたちに、強い興味を持ってしまったのです。
もしかしたら、たくさんの星の力を集めて、みんなに自慢できるかもしれないのです。
わたしを存分に見直してもらうのです。
お隣りのマーズさんには『生きものに過分な力を与えると、後で大変だよ』と真剣な顔で言われたことがあるのです。
なんなのです?みんなは試したことがあるのです?
生きものたちから、強い星の力を集めている星は見たことがないのです。
先程出た星の規律について、少しだけ説明をしておくのです。
これは星の成り立ちや、星同士のトラブル回避についての項目がほとんどで、生きものに関する決まりごとは……
1.星は生きものによって消滅してはいけない
2.生きものが星になることはいけない
3.生きものが他の星に行くことはいけない
というものがあるのです。
生きものに関する規律は3つだけなのです。
他の規律は覚えるのが大変なほどあるのに。
サンに聞いたら『生きものなど、どうでもいいことだ』と言ってたのです。
この3つは、ある星に悲しいできごとがあってできた規律であるということを教えてくれたのです。
そのできごとのことは教えてくれなかったのです。
これは破ったらどうなるのです?
サンが言うには『大いなる意志によって、大変なことが起こる』とだけ。
どうなるのかちよっと気になるのです。
規則は破るためにあるものなのです。
そんなことをサンに聞いたら、また説教が始まったのです。
うぅ、思い出したらまた腹が立って……いけないっ!
「落ち着きなさい、わたし」
大地を見渡すと、いつもは穏やかな山の一つが噴火していた。
よし、大地に影響はない……のです!
きっと、たまたま偶然噴火しただけなのです。
今のはきちんと意識できたので、問題なしなのです。
もうすぐ星の力を持つものが生まれるのです。
さぁ、頑張るのですっ!
生きものたちを観察しにいくのです!
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