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架空ヴィジュアル  作者: 安達粒紫
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トニカクカワイイ




新婚ものの作品を観ている。

妻とのことを思い出す。

これは「恋は雨上がりのように」のような一種の男の理想。

調べればほら、似たような想いを抱くものが大勢いるではないか。

と、まあこんな具合に頭が働くのである。

ところで新婚ものというのは「トニカクカワイイ」の事だ。

―――翁は包み隠さずとりあえず書いてみた―――

おや、小原好美さんの声だ。

私は「かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~」の藤原書記が好きである。それは声と絵がマッチしている。

つまりは小原さんの声がいいということになる。

「高木さん」も「あそびあそばせ」も…。

まあ、この二つはいずれ書き直そうと思うが…。

そうか「かぐや様」もいつか清書をする。


―――ここまで書いて翁の頭はトニカクカワイイに翻る。

戸張翁は50前後くらいの時に25下の25前後の妻をもらった。

普段は天然だが、あれから自分のテリトリーを守るときは癇癪を起すようになった。

翁は妻が最近、ユーチューバーに入れ込んでいるのを知って、その中の一つのグループの歌を聞かせてもらったが、「若い」…と言って苦い顔をしたら、即座に酷いヒステリィを起された。彼は内心相当怖かったが、まあまあと言って伴侶をなだめた。――――



――――嫌な思い出が蘇ってきたため、暗雲から逃れようと、翁は、雲の上を目指した…それはつまりは歌謡曲をかけることだった。

こういう時は、前も書いた「恋の奴隷」から始まるのが常だった。

まさか、ぶったりしたいとは思わないが、あなた好みの女になりたい、という内容が心を打つのだった。

次は「愛のメモリー」を一番旬だったころを思い出しながら傾聴する。

そして迂闊だったのは次に「青いリンゴ」を聴いてしまった事だった。

2人目を要求されて、身体の機能的に上手くこたえることができなかった時の心境が思い出され……。

翁はスマートフォンをのアプリから流れる音楽を停止した。

(これでは私もイカロスではないか)

(イカロスというのは大体ギリシア神話を良く知らなくても「勇気一つを友にして」という【子供向けの】楽曲を教わっていれば大抵は知っているのだ)

(私は従妹の娘が歌っているのを聴いて小児にはよかろう…等と思っていたが、いまその敬遠していたイカロスそのものじゃないか…私は)――――



――――今の一連の流れから、翁はその日、たまたま睡眠時間の不足していたために、妻への怒りが爆発…それこそ怒髪衝天であった。――――


(2人目を望むならば今すぐかなえてやろうじゃないか)

(現代では様々な手段がある…私だって)

(しかしまずは駆け引きからだ)



―――茶の間にて―――


「おい、君、いるか?」

「はい、おりますけど」

「これからだな、その、子供をちゅきゅ違う、嚙んでない!というのもまた違ってだな!生命の誕生の秘技!いや、あれだ男女の相撲!これまた全然違う!!つまり関係を持たないか?2人目が欲しいんだ」

――――駆け引きどころではなかった――――

「ぷっ、あはははは、あなた一体なにを仰っているの?」

「私は2人目はとうに諦めておりますの」

「ご存じでしょ?」

「それに新しい楽しみも発見してましてよ」

「あなたはちょくちょく活字を読まれるからそれは、太宰治くらいは当たり前に、ご存じでしょうけど、あの人は、自慰行為を按摩と言ったそうです」

「私はその…『女の按摩』に熱中しておりまして…」

「満足してますのよ。相手は日替わりで…なんてこともできます」

「もうよろしいでしょ、これ以上は恥ずかしいのです」

「……それでは、はい!そうと知ったらあなたは、もうお眠りになってくださいまし」

「熱心なのは買いますけど、ブログセラピィもたまにはお休みになってください」

「いますごい変な顔をしてらっしゃいますわ、心配になります」

――――翁は気づけば妻から背中を押され自室、つまり寝室へ戻ってきていた。――――


――――(もういい、これは削除だ。)戸張翁は上のほうに書いたブログ記事を消した。

(なんだ、なんなのだ、あの機嫌の良さは…)

(そういえば、笑っていたな…久しぶりに笑った顔を見た)

(何か…何か…家族に対しての起死回生の何かがこの流れにある気がするが…)

(……解らない。解らない。)―――――



―――(それにしても妻はオナニーという私の嫌う言葉は避けて自分の事を話していた……狙っているのか偶然なのか…)―――



――――色々と驚きながら、彼はベッドに転がった、言い直せば、掛け布団の上に倒れこんだ。さらにすぐに、いびきをたてはじめた。それは階下の居間に聞こえるものだった。妻は夫が今日も眠りにつけた、良かった、と安堵し一杯分の白湯をつくり湯呑みに注ぐのであった。――――






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