もし、異世界の住人の善悪が反転していたら?
どうも、ベニテングダケです。
やぁ、どうも。私の名前は金城遥斗……まぁ、日本人だね。
でも、私は普通の日本人とは違う運命っていうか……まぁ、普通の人じゃ起こりえないことをしてる。
それが何って言うと……あ、そろそろ来るね。まぁ、見ててよ。
「勇者……金城よ……あなたを、ここに転移させた理由は分かりますか……?」
「魔王討伐でしょ?」
「察しが良いですね……はい、そうです……今からあなたには、この世界の魔王を討伐してもらいたいのです……」
「ですが、いきなり魔王を倒せというのも酷でしょう……なので、私から「あー、そういうのいいから。さっさと倒しに行きますよ」……えぇ?」
「チッ……まぁ良いでしょう……あなたのこの世界での生活に幸多からんことを……」
シュイン……
「あの勇者、私の話を勝手に遮ったな……!」
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「ね、分かったでしょう?」
まぁ、こういうことで……私は魔王討伐をしなければ行けないのですが……そろそろ飽きてきました。
あれ……あー、言ってませんでしたか。
「実は私、何回も何回も永遠に魔王を討伐してるんですよね」
いわゆる、無限ループにハマっているわけです。
最初は全てのことにビックリしていたのですがね……もう慣れました。
「魔王を倒してはもう一度、魔王を倒してはもう一度を繰り返していますからね……」
流石にもう辛いです。
それに、毎回毎回新しい能力を手に入れますからね……今はもう、一撃で魔王を倒せるようになってしまいました。
これが、俗に言うチートってやつですかね。……まぁ、こんな力持っていても、何も満たされないのですが。
「……まぁ、こんな話を長々と続かせるのもアレなので、さっさと最初の街にでも行きますかね」
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「いつも通り、最初の街は賑わってますねぇ!」
やっぱり、違う世界の人とはいえ、人間を見ると少し安心しますね。
「今回は……すこし、この街でゆっくりしてみましょうかね」
今までの街とは違って、少しこの街の方が賑やかみたいですからね。
ベンチにでも座りますか。
「オラァ!どいたどいた!」
ん、あれは……奴隷商人ですか。馬車に奴隷を積んでいますね。
一応この世界は中世くらいの文明まで到達しているのですね。
「なァ、そこの兄さん……」
おや、誰か話しかけてきましたね。適当に返事しておきましょうか。
「なんでしょう?」
「アンタが持ってる金目の品……よこしなァ?……へへ、さもなくば……痛い目を見るぜ……?」
ほう……こんな街の目立つ所で、こんなことを仕掛けるとは……なかなか、肝が座ってますね。
「あのー、こんなことをしたら、憲兵とか、兵士が飛んでくるんじゃないのですか?」
「ハ!ハハハッ!アンタ、面白いことぉいうじゃねぇか?……ここに、アンタみてぇな弱者を守ってくれるお優しい偽善者さんはいねぇんだよ!」
ふむ、この街は……どうやら腐ってるみたいですね。
周りの人も、あわよくば私と退治してるこの者のおこぼれを貰おうと考えてるみたいですし……
「そうですか……じゃあ、失礼しますね」
ベンチから立った瞬間
「オイ?アンタまさか、逃げれると思ってるわけじゃねぇだろぉな?」
「はい、そうですけど?」
「ハハハッ!これは傑作だなっ!こんなバカみてぇなヤツがここにいるとはよぉ!」
なんだか、イラついてきましたね。でも、まぁ、私が攻撃して、下手すればこの街吹っ飛んじゃうので、やめておきましょう。
「とりあえず……浮遊」
「あ?……テメェ!飛ぶんじゃねぇ!降りてこい!この弱者が!」
ばいばーいと、軽く手を降ってみる。
「オイ!テメェぶっ殺すぞ!早く降りてこい!降りてきたら許してやらんこともねぇぞ!」
……なんで私より下の者の言うことに聞かなければならないのでしょうか?
まぁ、良いでしょう。このままどこかに行きますか。
「オイ!俺の話を聞け!逃げんじゃねぇよ!このカスが!」
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次の街に行ってる途中に、人を見つけた。
……こんな街から離れたところに居るって、ちょっと理由を聞いてみたいですね。聞いてみますか。
「あの、すみません」
「おっと、なんだい?」
体がとても大きく、服装がすげぇ悪人っぽく見えるが、意外と気さくに返してくれた。
「特に話したいことは無いのですが、なぜこんな所に?」
「あー……まぁ、保護活動かな」
保護……活動?
人はあんまり見た目で判断したらダメですね。
「何を保護してるのですか?」
「まぁ、捨てられた子供だったり、色々さ」
「ふむふむ……」
「君はこんな所で何を?」
「次の街に行こうとしてるんです」
「次の……街?あー、あそこね」
「あそこっていうか、基本的に街には行かない方がいいよ」
……?何ででしょうか?気になりますね。
「何故街には行かない方が良いのでしょうか?」
「それはね……街には、悪人共の巣窟になってんだよ」
「奴隷だったり、スリだったりヤクだったり……人としてダメなことをする連中しかいねぇ」
「そうですか……」
「だから、あんまり街には近づかない方がいいぞ?」
「わかりました」
「あっ!そろそろ時間じゃねぇのか……?すまねぇ、この後に用事が入ってるんだ。だから、あばよ!」
そう言って、彼はどこかへ走っていった。
……街に行くなと言われましたが……一応行ってみましょうか。
もちろん、浮遊で気付かれないように行きます。
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「あー!魔王様の城に絶対時間通りに行けねぇ!なんで謝ろう!!」
子供たちもいるのにぃぃぃぃぃ!!!
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彼と別れたあと、街に行ってみたのですが、彼の言うとうりでした。
何やら怪しい物を吸っていたり、悲鳴が聞こえたり……死体さえもありました。
その後、他の街に行ったりしてみたのですが、全て結果は今まで通り悪人だらけでした。
ちょくちょく、街に行ってる時にあの彼と同じような怪しげな人が何人もいましたが、全員心が綺麗でした。
……この世界について、仮説を立ててみたのですが、どうやらこの世界、善悪が反対になっているみたいなのですよね。
だって、街が悪人だらけだし、いかにも怪しそうな人は善人だし……初めてです、こんな世界。
ところで、もし仮説が正しければ、魔王は優しい心を持っているはずなのですが……これを確かめるために、魔王城にでも行ってみましょう。
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ここが……魔王城ですね。
「いかにも魔王城っぽく禍々しい感じになっていますが……中に入らないと分かりませんよね、入ってみましょう」
……そういえば、元の世界って……今、どうなっているのですかね。
「あぁ、出来るのなら元の世界に帰りたいなぁ」
こんなこと嘆いていても何も変わりませんし、さっさと魔王に会いに行きましょう。
「それにしても……質素ですね、この魔王城」
今までの魔王城は、煌びやかで、悪趣味な飾りを飾ってあったのですが……やっぱり、なにか違いますね。
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目の前に、大きな扉がある。
「いつもと同じく、やっぱり魔王の部屋は大きな扉なのですね」
ここは変わらない……と。
さぁて、開けます……か!
ギシ……ギシギシギシ
「ぬ……意外と開けにくいですね」
おりゃあ!
「おーい!そこの扉はなかなかあか……な、い?」
お、開きましたね。
「……む、そなた誰じゃ?」
中には……子供たちと……おや、始まりの街から次の街に行く時に出会った、いかにも怪しそうな感じの人じゃないですか。
「……まさか、あなたが魔王ですか?」
と、いかにも怪しそうな人に問いかけてみる。
「……って、俺?」
「魔王は、わらわじゃー!」
……?もしかして、10歳くらいのそこの女の子が……魔王ですか?
「ビックリしました、もしかしたら誘拐されてそこの怪しそうな人に色々されている途中なのかと思いました」
「まて、俺の事なんて思ってるんだよ?」
「保護活動という名の誘拐犯……ですかね」
「まぁ、俺が怪しそうなのは認めるけど……酷いなぁ」
……これ、魔王有害じゃないですよねぇ。
「私は一応……勇者ってことになっています」
「んな!君、勇者だったのか!……魔王を、殺すつもりかい?」
「んー、それはその子次第ですね」
「わらわは、人間には基本的に攻撃しないぞ!」
ふむ……
「君がもし魔王を殺すつもりなら……まず俺が相手になる」
「ま、まて!そなたが戦ってどうする!1番戦えるわらわが戦うぞ!」
「いえ、私に任せてください……魔王様は、私達の光です。だからここで死んじゃいけない」
「……!」
私は……何を見せられてるのでしょうか?
「そういうことで……俺が相手になる」
「いや、あの、ちょっと待ってください」
「……?」
「私、そもそも戦う気……いや、その子次第でしたけど、今は戦う気はありませんよ?」
「……なに?でも、君、勇者じゃないか」
「……一体、あなた達は勇者を何と思っているのですか?」
「現れては殺戮を繰り返し、金目の物は略奪し、男は殺し女を痛ぶる……あの、クソッタレな悪神の使い……じゃないのか?」
えぇ……?一体、勇者に何をされたのですか……
「違いますよ……それ、どんな勇者ですか?っていうか、私はそんな極悪非道な勇者じゃないですよ……まぁ、そんな勇者、勇者とは言えないでしょうし……」
「……信じていいんだな?」
「えぇ」
「そうか」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!
「んなっ、きゅ、急に揺れ始めて……!」
「地震……?いや、違いますね……」
何かが……来ますね。
『ゆうしゃぁぁぁぁぁ!貴様……なぜ魔王を倒さない!!』
「え?……だって、この魔王、明らかに有害じゃないですか」
『クソっ、クソクソクソ!貴様のせいでッ!私の完璧な計画が……!!!』
「いや、完璧な計画って言ってますけど、私の行動ひとつで変わる計画なんて、完璧じゃないですよね?何言ってるんですか?」
『コロス!』
わー、こわーい。
「あと……一つ言っておきますが、あなた私の戦闘能力、見余ってますよね」
『コロスコロスコロス!ワタシの完璧な計画を邪魔したやつはコロス!』
……何が女神なんでしょうか?
「はぁ……もう決めますね、封印」
私の目の前に、異空間が現れる。
『ナァァァニィィィィ!貴様!何を!』
いや、この程度の魔法すら分からないなんて……本当に女神ですかね?
『引っ張られる!貴様、今すぐにこの変な魔法を解け!じゃないとコロス!』
「……そうですか」
だんだん、異空間に女神のような何かが吸い込まれて……
『クソっ、クソ!離せ、離せぇぇぇぇぇぇぇ!!!!』
完全に吸い込まれた。
「よしっ、封印完了!」
「……な、なぁ……?今……何が?」
おや、展開が速すぎてついていけてないみたいですね。
「なんじゃ今の魔法は!わらわも使いたいぞ!」
「後で教えてあげますね?」
「やったー!」
……可愛らしい魔王ですね……
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称号 女神殺しを取得しました!
称号 悪の味方を取得しました!
………
称号コンプリート!
金城遥斗を元の世界へと返還します。
………
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おやおや?
「そういえば、称号の収集やらなんたらって……初めの世界で言われていた気がしますね」
これで……元いた世界に帰れるのですか。
あまり……実感がないですね。
『元いた世界に転移します』
「お、おい!君、体が光ってるぞ!」
『元いた世界に転移されるまで……3』
「なんじゃこれはー!ピカピカ光ってるぞ!」
魔王が体に触れてきた。
『2』
「魔王様!危ないですよ!」
いかにも怪しそうな人が魔王の体に触れる。
『1』
「ふぅ……やっと帰れる」
「これ……どうなってるのじゃー?」
「魔王様、少し離れて……」
『0』
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「ふわぁ……」
ここは……そうだ!元いた世界に戻れたのですね!
今は……2022年……?あれ、全然時間変わってないですね。
っていうか……これ、一夜しかたってないですね。
「ふむ……夢……みたいな何かですかね?」
もしそうなら……なかなかに濃い夢を見ましたね……これはなかなか面白い話に出来そうですね……!
「なぁ、君……ここが何処か分かるかい……?」
……!何故……ここにあの怪しそうな人が……?
「すごいぞ!高い棒が何本もたっているぞ!しかも中に人が住んでいるぞ!」
「魔王様……危ないですよ!」
ほうほう……これは……
「どうやら、夢じゃなかったみたいですね……!」
いかがでしたでしょうか。もしよろしければポイント、ブックマークよろしくお願いします!