8話 大川リオ
身体が熱い。
全身が熱を発している。
下を見ると自分の身体を剣のようなものが貫いていた。
リオが背後から話しかけてくる。
「お前はいつだって強すぎる。その光が他のものを消していることに気づいた方がいい。」
「何言って……」
「今までとこれからの話だよ。いつもお前は中心だ。どんなことがあっても周りはミヤト。他を見てすらいないんだ。お前だけで成り立ってるんだよ。」
「そんなこと……!俺はみんながいてくれたから…!」
「俺がどんなに活躍しても、周りはお前のことしか見ていない。後輩も、先生も、メディアもだ。ミヤトがいたから勝てた。そう言うんだ。県大会決勝、残り1分で逆転のゴールを決めた。ヒーローになれたと思った。ずっと我慢してきた。みんながお前を見続けるから。俺は影に徹した。最後の最後で光になれたと思った。俺が行きたいと言っていた大学、知ってるよな。周りには秘密にしてるだろ。推薦の話が来ていることを俺は知ってる。」
数秒後リオは叫んだ。
「何故なんだ!!!!何故お前なんだ!!!!!
何故いつもいつも!!!お前なんだ!!!!」
「はぁ…はぁ…」
黙ることしかできなかった。
「もう疲れたんだよ…。誰かのために自分を殺すのは…」
「だから………俺は壊すのさ…今度は自分のために、全てを……」
ミヤトは今も願っている。
リオがその言葉を言わないことを。
「俺に付き合ってくれよ…ヒーロー!」
それだけはやめてくれ。お願いだから。
「頼むよ神様…!」
意識が遠のく中、強く願った。
「来い……ガイア…!!」
その日、再び地震が起こった。