5話 ケ・セラ・セラ
私の生み出した"バリア"は影の爪による攻撃を全て受け止めた。
『バリアか!やっぱり君でよかった!』
「や、やった…!」
しかし影達はその後何度もバリアに攻撃を繰り返していて、今にも破れそうになっている。
『詳しい能力は後で決めるとして今は逃げよう』
「言われなくても!!!」
私は先に行ったミナミを追いかけながらヘイムダルに問いかける。
「はぁ…はぁ…バリアって…あんなに…もろいんだね…」
『強度はもっと上げられるよ。条件次第でね。』
「条件次第?」
『あぁ。何かデメリットや条件を付けることによって能力の効果を強めることができるんだ。よほどの天才でない限りはこれをやらないと話にならない。』
「なるほどそうなんだね…。じゃあさ、こーゆーのは?」
私はヘイムダルにいくつかの条件を出してみた。
『うん。それでいいと思うよ。君自体かなりいいスペックしてるしね。あとはねぇ…』
走りながらではあるが私は能力の設定をした。
「ありがと。あなたが何なのかはまた後で聞くとして…」
影がまた追いつき始めた。
私は振り返り影達と対峙する。
「今はここを切り抜ける!」
『君…足遅くない…?』
「うっさい!!!」
さっきチラッと見えた。偶然にも化学研究サークルの部屋に隠れるミナミを。
ここでこいつらを食い止める。
ヘイムダルは言っていた。
"バリアの強度を上げるなら面積を絞るのが一番手っ取り早いんじゃないか"って。
「さっきとは段違いの私の力…見せてあげる!」
私のバリアは再び、影の攻撃を受け止める。
「"1㎡の防御壁"!」
私の力は"薄くて透明なバリアを張る"能力。
面積が大きければ大きいほど耐久力は弱くなり、ある程度好きな形で創り出せる。
そして大事なのは1㎡という数字。
1メートル×1メートル。これが今の私に出来うる絶対防御。
これ以下の面積であればこのバリアは絶対に破れない。
「これが私の…"カタマリ式結界術"!!!」
(恐ろしい子だ…こんなにも緩い条件で"絶対に破れない"壁を創り出している…。さらに驚くべきなのはこの能力がまだ成長過程であるということ…。)
そう、この能力の真に驚くべき点はこの能力が完成してはいないというところだ。
練度次第で絶対防御の面積を広げられるような能力にしている。
通常、慣れや練習によって成長するのは、通常のバリアの強度であったり、より自由な形でバリアを形成できるようになったりするだけ。
ヘイムダルは片野ヒマリという人間がもつスペックの底知れ無さに静かに驚いていた。
影達はバリアの隙間から這い出てこようとしている。
「させない!」
ひまりは"1㎡の防御壁"を解き、瞬時に次の技を繰り出す。
「"防御壁→阻塞"ッ!!」
鋭く尖らせた無数のバリアを壁や地面から伸ばし、影達を突き刺した。
完全に動けなくなっている。
「強度は少し落ちるけど…これでここは止められる!」
(機転もきく…こいつは逸材だ…)
影の猛攻を防ぎ、ミナミのいる教室へと駆け込む。
「遅かったな。」
「ヒマリ…ちゃん………っ!」
そこにはスカアハの影によって捕らえられているミナミがいた。




