3話 君イイね
ガララッ
突然ドアが開いた。
「その装置を作ったのはお前だな?」
細身で長身、髪は青色に染まっていて片目にかかっている男性だ。鼻が高い。
「は、はい…私ですけど……」
「そうか。一緒に来てくれないか。お前が必要なんだ。」
そう言う男は明らかに怪しく、そして何より本能が言っている。この人は危険であると。
「まぁYESでもNOでも…」
何かがビリビリと伝わってくる。
「お前は無理矢理にでも連れて行く…!」
男がニヤリと笑った。
「奏でろ…スカアハ!!!」
そういうとビリビリとしたプレッシャーが私たちを襲う。
さらに男の服装も変化して行く。
真っ黒なスーツ…これは…
「「指揮者……?」」
私とミナミは同時に呟いた。
そして同じことを考えた。
今すぐこの男から逃げなければ、と。
こいつの正体はわからない。しかし異質なものを感じる。
「恐れおののけ…!俺の"真夜中楽団"に!!」
すると突然、男の影がウネウネと動き始め、形を創り出す。
「再現…槍!」
あろうことか影は空中を伝い槍を生成して手に収まる。
「俺の名は"スカアハ"!影を操る破壊神だ…!!誰も逃げられねぇ…!」
ミナミが咄嗟に近くにあった小さな機械を投げつけた。
スカアハは槍で貫き防御すると、その機械は爆散する。時間稼ぎにはなりそうだ。
「ぐっ…」
「逃げましょう!」
「う、うん!」
その辺にある機械を手当たり次第に投げつけながら、もう一つの扉から脱出する。
「逃がさねぇ!」
スカアハから伸びる鋭く尖った影は、壁を突き破りそのままミナミの肩を貫いた。
「あ゛あ゛…!!」
「ミナミちゃん!!」
「逃げれねぇって言ってんだろ…」
スカアハも廊下に出てくる。
直線かつ狭い廊下、頭に浮かぶのは「絶体絶命」の文字だった。
「そいつを渡しゃあお前は見逃してやんよ」
渡す…?逃げる…?私1人で…!?
そうすれば助かる…!!!
ミナミとは出会った直後、言ってしまえばまだ他人。
「でも…」
「あん?」
「ここで1人で逃げるほど…私は腐ってなんかない!!!」
「そうか、死ね」
先ほどと同じ形の影が伸びてくる。
私は…逃げない!
『君、イイねッ』
「え?」
頭の中に声が響く。
『力をやるから守ってみせな』
ビリリッ…!
「おい………お前…まさか…!」
『私を信じて名を叫べ!私の名前は…』
多分私はどうかしていた。
こんなにも不思議な出来事を、迷うことなく受け入れるなんて。
『「ヘイムダルッ!!!」』
そして私は光に包まれた。




