2話 小八重ミナミ
彼女の名前は"小八重ミナミ。
多次元宇宙研究サークルに入っているらしい。
そんなサークル聞いたこともない。
そんな彼女とはすぐに打ち解けた。
ミナミちゃん、ヒマリちゃんと呼び合っている。
「あはは。サークルって言ってますけど所属私だけですからねぇ〜」
なんでサークルとして認められてんだよ…
「ヒマリさんは学園祭とかいいんですか?」
「う、うん…私は人混みとか苦手だから…」
「そうなんですねぇ。私は研究館から人がいなくなるチャンスだと思って普段できない事ばっかりやってますよ〜」
「たしかにみんながいる時に爆発なんてしたらねぇ」
「そうでしょ〜」
「っていうかこれってなんの装置なの?」
「これですか?これはですねぇ次元と次元を繋げる装置なんですよぉ」
「え?どゆこと…?」
「多次元宇宙、代替宇宙、並行世界…さまざまな呼び方がありますが、私たちがいるこの次元と とは別に無数の次元が存在するんです。」
(この子…本気で言ってる…?)
「私が作っている装置はこの次元と他の次元を繋げるものなんですよ。」
「そ、そんなこと可能なの…!?」
「いやまぁ…できるとは言ったもののまだ完成はしていないんですけどね…」
「なんだ…じゃあ別の次元があるってのもまだ…」
「いえ。それは本当ですよ〜」
「え?」
「実際時空に亀裂を与えるところまでは成功しているんです。私の試作品327号が暴発した際なんですが、亀裂からこんなものが飛び出してきたんです。」
そう言って差し出されたのはある空き缶の一部だった。そこには"コリンク・コーラ!"という字が印字されている。
「"コリンク・コーラ!"という商品は日本どころかこの世界のどこからも発売されていないんです。」
「で、でも…」
「ちなみに私の愛用していたパソコンも裂け目に飲み込まれて無くなりました。」
「…………」
小八重ミナミが言っていることが本当なのであれば、この子の持つ頭脳というのは、きっとこの世界の誰よりも優れたものであると言えるだろう。
「ミナミちゃんは次元をつなげてどうしようとしてるの…?」
正直この実験は危険なのではないかと私は思ってる。
次元と次元を繋ぐ?
それが成功して次元同士が混ざり合ってしまったら?問題は無限に出てくるだろう。
「私は…この世界にある謎という謎を全て知りたい…」
ミナミは続ける。
「並行世界がどうなっているのか、それも私の知りたいことなんです。」
拳に力が入っている。
「好奇心に勝てるものなどないのです」
ミナミは笑っていた。
好奇心や探究心のみでここまでの実験を行い、そして着々と結果に近づいている。
そんなミナミに、私は口を開けることしかできなかった。
そして私たちは気づいていなかった。
廊下から話を盗み聞きしていた男の存在に。




