3話 始まりの日③
手のひらから太い雷が出た。
それは地面の槍をも砕き、山に穴を開けていた。
「すっ…えっ…?」
『ほら。大丈夫だったでしょ?』
「う、うん…。」
『あいつを倒すよ。どんどんいこう。
雷落としまくっても強いよ。』
急に自信が湧いてきた。この破壊力。
槍が飛んできたときは漏らしそうだったけど
この力があれば勝てそうな気がしてきた。
「ミヤト!勝てるぞこれ!」
隣を見てもミヤトがいない。
「なるほどなるほど、こうやって飛べるのか…」
上を見るとミヤトが宙に浮いていた。
「どうやってんのそれ!?」
「ルドラに風を使えば空も飛べるって教えてもらった。」
ミヤトは感覚派の人間で運動神経が抜群だ。
身体を動かす類のものはなんでも出来てしまう。
『ボクと同じように彼の中でルドラが喋ってんだよ。彼に聞こえるように話すことだって出来るよ。』
『そーゆーことだ。』
インドラとは違う声がした。
『はい、前見て〜危ないよ〜』
(あっ…忘れて…)
男の立つ山はさらに高くなっていて
その後ろから平面であるはずの道を土石流が
迫ってくる。
「なん…だこれ…!」
今度こそマジで死ぬやつだった。
「俺に任せろ!」
ミヤトが両手のひらを男に向けた。
「ふんっ!!!」
力を込めた瞬間、僕も吹き飛ばされてしまいそうなくらいの突風が巻き起こる。
それは地面をえぐりながら男もろとも土石流を押し返してしまった。
一撃KOだ。
「なんか…ミヤトの方が強くない…?」
『ボクとルドラの力は同等だよ。センスが違うだけさ。』
神に煽られた僕はムッとした。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
結局、ガイアは見つからなかった。
ガイアとはあの男のことでインドラとルドラがそう呼んでいた。
ミヤトがガイアを吹き飛ばし、土石流を止めた後、インドラがガイアの気配が消えたと言い出した。
なので僕達は人々の救助をすることにした。
風で瓦礫を浮かしたり、空を飛んで人を探せるミヤトが大活躍だった。
雷の力はほとんど役に立たず、ミヤトのサポートに回るしかなかった。
警察や救急隊員には見つからないようにするのは大変だった。
強大な力を持つことになった僕達は、政府に目をつけられると色々めんどくさそうだからだ。
ガイアと戦った後すぐにかけつけた場所がある。
結果として僕達は大勢の人を助けたわけだが、1番助けたかった人は、助けられなかった。