11話 俺はヒーロー
「はぁ…はぁ…」
『カ、カケル…大丈夫か…?』
「なんとか……」
"我王砲"の威力は凄まじく、コンクリートの壁や鉄の骨組みまでもを貫いていた。
『あんなデカイの初めて撃ったからな…』
「あれくらいじゃなきゃ倒せな…」
「先程の攻撃…威力も決意も充分感じ取ったぞ。」
『「えっ」』
予想外の声に鳥肌が立つ。
「ここまではよかった。残念ながら、ここからは相性だ。」
「そ、そんな………」
ポセイドンは立っていた。
「我の能力は"海の宝石"。
空気中の水分を集め操る、それだけの能力だ。」
ポセイドンが続ける。
「能力は単純明快。残りの容量は全て効果範囲に費やした。」
「効果…範囲…?」
「範囲は我を中心に半径200m。このビルなど簡単に飲み込める。」
『マジでか…』
「お前の本気を受け取ったからには、我も本気で行かせてもらうぞ」
(やばいやばいやばい…!どうする!?どうする!?)
こいつには勝てない。勝てない…?
「ちげぇだろ…佐川カケル!」
俺は自分に言い聞かせる。
「勝てる勝てないじゃねぇ…俺は…ヒーローだ…」
『カ、カケル…』
「プロメテウス…死んだらごめんな…」
『悔いはねぇ…ドンとやれ!』
「ありがとう…シンさん、ギンジさん、聞こえますか?」
2人に無線を飛ばす。
「はい。こちらセイノです。無事ですか?」
「無事じゃないです。俺はこいつに敵いません。」
「…………」
「こいつを全力で止めます。2人の救出をお願いしてもいいですか?」
「……いいんですね?」
「はい。ここから200m以上離れてください。お願いします。」
「了解しました。」
通信が切れる。
「いい目だ…まだ楽しませてくれそうだな…」
ポセイドンが構えると、腰あたりから水で出来た大きな触手が現れ始める。
"深海の怪物"
「この技で叩き潰してやろう」
俺はコンクリートの床を殴りつけ拳から血を流す。ビビる心を痛みで誤魔化すため。
「行くぞヒーローよ!」
8本の触手が襲いかかる。
咄嗟に足から炎を噴射し初撃を躱す。
しかし他の触手はそれよりも速く迫ってくる。
「"火炎斬撃"!」
「"鬼火大砲"!」
「"全力火焔"!」
触手の攻撃を防ぐため、思いつくままに技を創り出し、撃ち続けた。
(このままじゃだめだ…今までの概念を変えるんだ…!)
俺は足だけでなく背中からも炎を生成し、さらに加速する。ポセイドンのいる方向に向かって。
(今までよりも数段速い!?)
「"火炎の拳"!」
目一杯の力でボディーブローをかます。
「まだ甘いな…………!」
(!?)
俺の拳を受け止めていたのは水の膜。
ポセイドンの身体には届いていなかった。
「ふんっ!」
怯んだ俺に、触手で猛攻が浴びせられる。
「がはっ…」
「これで終わりだ!」
"大海に沈め"!!!
俺は叩きつけられる大波に抗うすべもなかった。




