9話 必殺の一撃
この古井ビルは元々商業施設になる予定だった為、
一つのフロアが割と広い。
鉄骨とか剥き出しだけど。
(まずは2人から距離を取る…!)
両手を叩き大きく広げると、いくつもの炎の玉が現れる。
「行くぜ!"鬼火連弾"!」
ドドドドドドドドッ
炎の玉がポセイドンに向かって乱射される。
『相手は水の能力者…
これくらい平気で耐えてくるぞ…!』
「わかってる!」
この"鬼火連弾"は煙幕として放った。
すぐさま足から炎を噴射し、ポセイドンがいた位置に飛び蹴りをかます。
「いい動きだ!だがまだ甘いぞ!」
ポセイドンはそう叫ぶと水を生成し、受け身をとり、間髪入れずに攻撃してくる。
「"海水大砲"!」
「火焔障壁!」
負けじと炎の壁で防ぎ、再び鬼火を放った。
技の撃ち合いで建物自体も少しずつ崩れてきている。
(まだだ…まだまだ…)
ここで能力について説明しておこう。
力を授かった創造者は力を授けた創造神のように何でも出来るわけではない。
神と人間ではそもそものスペックが違うからだ。
だから創造者は決められた範囲内で固有の能力を作る。
そして俺の場合。
能力名は「燦々天道」。
自分の身体から炎を生み出し、操作する能力。
身体から遠く離れた場所に炎を生み出すことは出来ない。
そーゆー能力にしたから。(まあ俺にはそこまで出来るスペックが無かったからとも言える。)
普通「離れた場所から発火することが出来ない」というルールを決める必要はない。
そうしなければ練度次第で遠距離発火が出来る様になるかもしれないからだ。
わざわざこのようなルールを設けたのは燦々天道の必殺技に関わってくるんだ。
「我王砲」
これが俺の中で1番の火力を誇る技。
他の技を使うほど身体に熱を纏っていき、蓄積された熱量が多いほど威力が増す。
名前はあるロボットアニメから付けた。
他にもいくつかのルールを設定することでさらに威力を底上げしている。
最大限溜めた我王砲を近距離で打ち込むことができれば、相性の悪い水の能力者にも勝てるはずだ。
(まだ…足りない…!)
何度も鬼火を放ち距離を取る。
鬼火連弾は威力が低い代わりに任意のタイミングで爆発させることができる技だ。
(もう少しで撃て…)
「甘い!」
俺が気を抜いたほんの一瞬をポセイドンは見逃さない。
「ふんっ!!!」
「ぐはっ……」
脇腹にポセイドンの拳が突き刺さる。
俺はそのまま吹っ飛ばされる。
『カケル!』
「そのまま逃げ切れるとでも思っていたのか?
お前の戦い方にはがっかりだ…」
「ゔっせぇ…これも作戦のうちなんだよ…」
「そんな軟弱な作戦なら貴様はもういい…
終わりにしよう。」
「今だ…起爆…!」
「何!?」
俺は攻撃に紛れて下のフロアの柱付近に鬼火を何個か仕掛けていた。
俺たちがいたフロアの床が崩れ、抜ける。
落下していくポセイドン。
技の使用によって一気に溢れ出た熱は身体の周りで炎へと変換される。
「くらいやがれ…"我王砲"ッ!」
手作りコスチュームの胸にある星から、ブレイズマン渾身の一撃が放たれた。




