5話 もう一人の刺客
目を開けると2人の姿が変わっていた。
猫男のカイトさんは赤と緑のラインが入った金色の首飾り。そして猫耳と尻尾が生えている。
眼鏡のヒカルさんの方は白衣を纏っただけだ。
「そこのあなた!僕の変身これで終わり?って思いましたね!」
(ギクッ)
「ふっふっふ…戦闘向きじゃないと言いましたけども!僕はこの子達と戦うんです!!」
ヒカルさんは目の前にアタッシュケースを倒して置くと、両手のひらを押し付ける。
ブゥゥン…
"認証完了。ユーザーを西前ヒカルに設定。
ガントレット、起動します。"
アタッシュケースから機械音声が流れると変形が始まり、ヒカルさんの腕に装着された。
銀色に輝き、肘下から腕の先までを覆う…これはまるで…
「アイ○ンマンだ…!」
「そうでしょ!?アイ○ンマン2とシ○ル・ウォーを参考に制作したんです…!」
「あーあーメカオタクめ…」
「なんとでも言ってください。かっこいいものはかっこいいんですからね」
「ごちゃごちゃ喋ってる場合じゃないぞーっ!」
鳥男が仕掛ける。
「"天空の爪"!」
「"猫の鉤爪"!」
ガギィィィィィィンッ!!!
「マジに喋ってる場合じゃねぇ!」
『ホントだにゃぁ!』
「そうだそうだ…僕たちも行きましょう!」
そう叫ぶとヒカルさんは腰に付けていた小さな機械を右の手の甲にセットした。
「"電池"セット完了。
インドラコマンドを実行。」
「行きますよ…!これが雷神の力です!」
"インドラ・コマンド・キャノン"!!!
一瞬のチャージ音。ガントレットを装着した手のひらからビームが放たれ、鳥男を再び吹き飛ばした。
「すげぇ…………」
「これが科学の力です!ね、ガネーシャ?」
『ええ!まぁ私の頭脳があってこそなんですけどもね!』
また新しい声が聞こえてきた。
「この方はガネーシャ。学問や知識の神なんです。彼の力を借りて僕の発明品は作られているのです。」
「かっけぇですね…」
「あぁ〜やばっくそっ…痛え…
なんどもなんども…吹き飛ばすなよ…」
鳥男がこちらを睨んでいる。
『意外とタフですねぇ』
「コマンド・キャノンでも倒れないとは…」
「ホルス!何をやってるんだ!」
屋根の上に人が立っている。女性……だ。
「ちょっと手こずってるだけ!問題ない!」
「遅すぎるんだお前は」
女性が屋根の上から叫ぶ。
「我が名はポセイドン!我らの仲間にならぬのであれば!ここで飲み込まれてもらおう!」
「ポセイドンって…」
『逃げるぞカケル!』
「え?」
プロメテウスの声が震えている。
『1番やばかったのは…あいつだ…!』
能力者を感知した時、プロメテウスがビビり散らかしていたのを思い出した。
「あいつが…」
プロメテウスの緊張が伝わってくる。
「に、逃げるわけない…。俺はヒーローだ!」
『やめろカケル!』
「カケルくんッ!」
「くらえぇっ!」
ポセイドンめがけて目一杯の炎を噴射する。
ザパァン…
「え……?」
俺の炎は簡単にかき消されてしまった。
「あ、相性か…!?」
「相性など関係ない。
この炎…全身全霊で放ったか?」
「は…?当たり前だろ…!」
「そうか…ならばその程度の決意であったということだ。」
"海水大砲"
「ごふっ…」
「カケルくん!」
水の砲弾は鳩尾に直撃し、俺は壁まで吹き飛ばされた。
『だから逃げろって!』
ポセイドンが頭上に手を構える。
「カケルくん、今から君を飛ばします。逃げてください。できるだけ遠くへ。」
「え?でも…!」
「僕たちがどうなろうと振り返らないでください。君だけは絶対に逃します。」
ヒカルさんは左腕のガントレットを僕に装着し始めた。
「逃がさないよ!」
鳥男…ホルスが背後に回っていた。
「全員ここでいなくなれぇー!」
ホルスの爪が目の前まで迫る。
ドシュッ
「っ…!させねぇよ…!」
カイトさんが身を挺して俺を庇ってくれた。
「な、なんで…」
何故出会ったばかりの俺をここまで守ろうとするのか。2人が逃げた方が確実に今後のためになる。それだけはわかる。
「なんでって…」
「「ヒーローだから」」
「緊急脱出プログラム、起動。」
ガントレットからエネルギーが放出され空高く、そして後方へ飛ばされる。
ゴォォォォォッ!!!
ポセイドンが両手を叩き、屋根に手をつく。
"大海に沈め"
「カイトさん!ヒカルさん!」
その場一帯に、突如現れた大波が叩きつけられた。




