1/2
プロローグ 始まり
暗雲が続く、まだ朝も来てないかのような、そんな風景。
ここは、そんな、閉ざされた世界。
光を失って、もう何年もたつ。
彼らにとって、闇が生死の場所であった。
だが…ある日、ある一人の男によって、それは解き放たれた。
「お前たち全員が、本当の世界を見る資格があるんだ!さあ、立て!今こそ、本当の世界を、その眼に焼き付けるのだ!」
その男の名は、智岸公太郎。
その男は、己が見た、ここにない光がここにいる人すべてに受け継がれるべきと、そう体で感じ取れたのだ。
だが、彼についていくものなど、誰一人としていなかった。
それは、皆がここ、闇の世界の住民が光の世界に行けば、それは、故郷を離れるということになるのだ。
「…」
彼は、悩んだ…、深く…、早く、この闇から出してやりたいと、そう思った…。
そして、彼は、数年を経て、やっとたちがると、何も言わず、木の一部となり、今もそれがここに残っているという…。