祝福《スキル》を授かる日(4)
城に到着し馬車から降りて城を見上げる。
天界の宮殿よりもデカい。人間がこんな大きい城を作るとはこれも祝福のおかげというとこかな。
「アーク様、行きますよ」
「はっはい、すみません」
シャニスさんの後を追い俺は城の中へ入っていく。
城内を歩いていくとシャニスさんが
「さて、これから陛下と謁見することとなりますが緊張なさらずで大丈夫ですから」
と言ってきた。
だけど、前が絶対神の俺からしたらたかが一国の王に緊張などはしないのだけどな。
緊張よりも何を言われるかどうかっていう心配の方が強いんですよこっちは。
とは言え10歳の子供に無茶な要求などしないだろう、、、たぶん。
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「よくぞ来た、アーク。顔を上げよ」
俺は王様の前に片膝をつき下げている頭を上げた。
玉座に座しているオルギス王国・国王マッシュ・ロード・オルギス12世。
確か歳は50半ばだったはずだが見た目は30代と見間違えるように若々しい。
「お主が与えられた祝福【絶対神の加護】はこの国を救う祝福である」
いやいや、救うって何から救うんだよ。
「よってアーク、お主には爵位を授けようと思う」
ブーーー、この人バカなの?ホントに王様なの?
よってって何によって?何も功績残してないんだよ。
何で爵位上げようとすんだよ。ヤバい、この王様予想の斜め上を行き過ぎてる
「陛下。さすがに何も功績を残していないものに爵位を授けることは無理ですよ」
王様の隣に立つ初老の男性。
あの人がこの国の頭脳、宰相サイラス・カントか。
セギル村の田舎までその名前が届いてる。
「んっ?そうか?それでは何を授ければよいかな?」
何故、授ける前提なんだ?もらえるようなことなにもやってないじゃん。
こんな斜め上の発言をする人だからこそこの宰相がしっかりしてんだろうな。
さて、大変なことになる前にこの場から去りたいな。
「陛下、よろしいでしょうか?」
「うむ、どうした。アーク」
「私は、まだ10歳になったばかりの若輩者。わが故郷セルギス村にて知恵と経験を積んでいこうと思っております。ですので、、、」
「それだ」
・・・はっ?
「アークよ。お主、王立学院に入学するがよい」
なっ、なにぃ。王立学院って確かオルギス王国の学校だろ。
貴族の子供とか才能を見出された奴がいく学校じゃないか。
「しかし、陛下。学院の入学は12歳からです。そして、入学は春。今から入学はできません」
宰相のその言葉に
「転入というものがあるだろうが」
「転入は、王立学院分校等で優秀な成績を収めたものができるものです。なのでアーク殿には権利はありません」
王様は険しい顔をしながら腕を組む。
そして、
「よし、分かった。アークよ。来春、王立学院への早期入学を認める」
マジか、、、
「よいな、アーク」
「はい、ありがとうございます」
ホントは、ありがたくはないんだけど断れないよな王様から言われたら、、、
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「はぁ」
「ため息ついてどうしましたか?」
謁見の間を出てシャニスさんと共に城内を歩く
「まぁ、なんとなくわかりますよ。急に陛下に国を救うとか言われるんですからね」
「シャニスさん、王様が言ってたこの国を救うってどういうことですか?」
「そうですねぇ、、、絶対神の加護を授かった者は記録されているだけで7人。それ以外にもいたかもしれませんが。7人は別々の時代に生きその時代時代で起きた出来事を解決しそれが国を救った功績となり勇者や英雄と言われました」
神父様が言っていた勇者や英雄が【絶対神の加護】を持っていたってことじゃなく【絶対神の加護】を持ったものが国を救ったから勇者や英雄って言われたってことでそういう歴史があるから王様はこの国を救うって言ったのか。
「その7人って何をしたんですか?」
「まず、一番古くに確認された人の時代はオルギス王国ができる前。このオルギス王国を建国をした最初の国王が持っていました」
「えっ、最初の王様!?」
「はい。歴史書によるとオルギス王国ができる前ここにはセルバンという国がありセルバンの王は国民を悪政で苦しめていました。それに反旗を翻したのが【絶対神の加護】を持った初代国王。当時は革命軍のリーダーでした」
革命軍のリーダーねぇ、、、一番最初に渡した子ってたしか貴族の子だったな。
貴族が国を相手に戦うってことは余程の覚悟がないと出来ない。
【絶対神の加護】がその覚悟を後押しできたのなら渡してよかったな。
「それで二人目は、、、」
シャニスさんによる7人の英雄の話は続く。
うーん、この話振らなきゃよかったな、、、。