祝福《スキル》を授かる日(2)
祈りを続けると俺の前に誰かが立った気配を感じた。
「顔をあげよ、アーク・・・・・いや、絶対神様」
何っ!?
俺は、顔を上げるとそこは真っ白い空間。
そして、目の前に立っていたのが・・・。
「久しぶり~、絶対神様~」
満面の笑みで手を振る悪戯の神だった。
「いっ、悪戯の神・・・、なぜ、お前が・・・」
「なぜって教示の儀式なんだから当たり前じゃん。それに僕、今絶対神だよ~」
とVサインをしてくる。
「なっ、なんだって!!なんでお前が絶対神なんだ」
「なんでってあみだくじで決めたんだよ~」
「あっ、あみだくじ!?あみだくじなんかで決めんじゃないよ」
俺の言葉を聞き悪戯の神の顔が怒りの表情に変わった。
「それをあなたが言う資格あるんですか?」
「・・・はぁ?」
「はぁ?じゃないんですよ。あなたが勝手に神をやめて人間になって天界は大変だったんですよ」
たしかに勝手にやめた訳だからな。
申し訳ないことを・・・。
「みんなやりたくないから押し付けあって」
やっぱあやまるのはやめよう。
「それに天使長がキレてあみだくじで決めますってなって」
天使長があみだにしたのか。
「いやぁ、天使長怒らせると怖いよねぇ。まっ、それで僕が当たり引いちゃったんだよね。はぁ」
「なんだ、ため息なんかついて」
「絶対神になって分かったんだよ。絶対神様がこんなに大変なことをやっていたなんてさ~」
「そうかわかってくれるか俺の苦労を、、、」
「だから、決めたんだこの恨みを絶対神様にぶつけてやるって」
「・・・はっ?」
「この10年ずっと探してたんだよ。やっと見つけた時はホント嬉しかったよ。どういう祝福を付けてやろうかとずっと考えてたし」
とニヤニヤしながら言う悪戯の神に不吉な予感がする。
「待て、何をつけようとしてる」
「何を付ければ絶対神様が嫌がるかホントに考えてたんだけど、、、その必要は無かったみたいなんだよね」
「それは、どういうことだ?」
「すぐわかるよ。なぜかわからないけど絶対神様は祝福をもう持っていたようだしその祝福が絶対神様にとって一番嫌な祝福だろうから」
「なんだと、おい悪戯の神・・・」
「それじゃ、これからの人生楽しんでよ。天界からみんなで見てるからー亅
そして、目の前が光り悪戯の神が消えていった・・・。
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「なんだったんだあれは・・・」
俺は「教示の間」に戻ってきていた。
「・・・祝福は?祝福は何がついたんだ?」
神の教示が終わった後神父様から祝福カードをもらうことになる。
そのカードに祝福名と祝福の内容が書いているわけだが見るのが怖い。
「教示の間」から出なくちゃいけないのに出たくない。
どうしよう・・・って考えても仕方がない。
俺は、恐る恐る「教示の間」を出た。
「終わったかアークよ。さあ、こちらへ」
「はっ、はい」
俺は、神父様の前へ行き片膝をつく。
神父様は、俺の頭にカードを当てる。
「アークが授かった祝福を今ここに」
ここで何が起こっているか俺はわからないがカードが離れていくことは分かった。
「さて、アークの祝福は・・・なっ、なんだとぉ」
と言った後祝福カードが俺の目の前に落ちた。
俺は、すかさず祝福カードを手に取る。
そこに書かれていたのは。
**************
名前:アーク
祝福名:絶対神の加護【全ての祝福の頂点に立ち全ての祝福を使える】
**************
なんじゃあ、こりゃあ。
全ての祝福を使えるってこんな祝福あるのかよ。
いや、こんな祝福バレたらっていうか神父様にはバレてるか。
悪戯の神が言っていたのはこういうことか確かに俺が一番嫌な祝福だ。
しかし、あいつはもう付いていたと言っていたな、、、そうか,生まれた時から付いていたということか、、、いやいや、そうじゃない今はこの場をどうするかを考えないと、、、全部の祝福を使えるということはたしか【詐欺師】の祝福に【改ざん】って技があったはずそれで祝福の表示だけでも書き換えればいけるんじゃないか?
使い方がよくわからないがなんとなく心の中で「改ざん」と変われと祈りながら言った。
「アーク、見せなさい」
「あっ」
近くに寄っていた父さんに確認する前に勢いよくカードを取られてしまった。
「何々」
「私にも見せて」
「俺も俺も」
くそ~、何書かれてんだよ。
父さんたちの顔を見ると驚くというよりは目が点になってる?
「神父様、何も書かれてないんですけど」
何も書かれてない?まさか、失敗したのか?いや消えてるから成功したでいいのか?
父さんは神父様にカードを渡しそのカードをじっくり見る神父様。
「なんだと?ふーん、、、よし、もう一枚持ってきましょう。もう一度試します」
あぁ、そうきたかぁ。そりゃそうだよな。祝福がもらえない人なんていないからな。
さて、どうする?・・・何も思い浮かばない。
そんな風に考えていると神父様はカードを持ってきて俺の頭につけていた。
「それでは今一度アークが授かった祝福を今ここに」
これはもう観念するしかないか、、、。
「おぉ、やっぱり【絶対神の加護】じゃあ」
神父様の声が教会に響き渡る。
「「【絶対神の加護】」」
神父様の次に俺の家族の声が教会に響き渡る。
ふぅ、俺のあこがれたのんびり生活は終わったのかな、、、。