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神様業務が嫌になったので神様やめて人間に転生してのんびり暮らしたい!  作者: 秋瀬雷
第一話 祝福《スキル》を授かる日
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祝福《スキル》を授かる日(1)

オルギス王国の北部ラート領にあるセギル村。

周りを山々に囲まれたセギル村に住む農民の次男・アークとしてわしは生まれ変わった。

生まれ変わってからわし、いや俺は10歳の誕生日を間近にしていた。


「アークもとうとう10歳になるんだな」

「本当にどんな祝福スキルを授かるのかしらね」


この世界では10歳になると教会で「神の教示」という儀式を行い神から祝福スキルという特殊な能力を授かることになっている。

この祝福スキルによって今後の人生が変わるといってもいい。

戦闘に特化した祝福スキルを授かった者は騎士団や冒険者に、生産系の祝福スキルを授かった者は職人などに人生を全うすることになる。

要するに祝福スキルに合った職業になるってことだ。

その祝福スキルで人生が決められるってのも嫌なものだが


父・ジン(35)と母・リース(33)は【農作】という祝福スキルを授かり農民とし生活をしていた。

夕食を取りながら明日のことについて話しているが何気ないこの瞬間が幸せと感じる。

絶対神の時では考えられないこの暖かい雰囲気がいい。


「まっ、【農作】だけはならないといいけどな」


兄・クルス(13)は【剣術】、【盾術】を授かっている。クルスが幼い時からあこがれていたラート領傘下の騎士団に入ること。騎士団の入団可能年齢が15歳なのでそれまで修行中といったところだ。

祝福スキルは一つとは限らず兄のように複数授かる者もいる。

兄は農民になるのが大層嫌らしく騎士団に入れる条件となる祝福スキルを授かったときは3日間寝ないほど興奮をしていたのを覚えている。


「【農作】でも僕はいいですよ。お父さんの跡継ぐんだから」


ホントに俺は【農作】でも構わない。

なぜなら農作業をしながらのんびり暮らせるのならそれに越したことはないからだ。

そうじゃなければ人間に転生した意味がない。


「アーク・・・どう育てればそんな親思いの子に育つんだ」

「はいはい、あなた泣かないの」


この夫婦はホント仲がいい。

生まれてこの方喧嘩しているところを見たことがない。

父は身長180ぐらいで筋肉質、金色の短髪で強面のだが見た目ほど怖くなく優しすぎるほどだ。

グラマラスな体つき黒く長いストレートな髪の母、俺がこの人の子どもでは無かったらアプローチをしていただろう。


「農民の何がいいのやら」


兄は祝福スキルを授かる前はガリガリの体だったが今は修行の成果が表れているのかガッチリした体になっている。

母譲りの黒い髪に、凛々しい目つき。

鍛え始めて村の女の子からキャーキャー言われ始めていて本人もまんざらでもないようだ。


そういう俺は父譲りの金髪で5歳から農作業を手伝っているからこの村の同年代と比べると筋肉がついていて身長も高いほうだ。


「まぁ、何にせよ。明日、アークの人生が決まるってことだ楽しみだな」


本当に楽しみだ。

期待に胸を膨らませながら9歳最後の夜が更けていった。

_________________________


翌日、家族全員で村の教会までやってきた。

兄はついてこないものだと思っていたが「神の教示」は家族が全員揃っていないといけないようだ。

これは成人の儀式のようなもので祝福スキルを授かり家族が祝いそれで儀式が終了ということになるらしい。


「それでは、神の教示を始める。ジンの息子アーク。そなたは今日この日生まれてから10年がたち神より祝福スキルを授かることになった。神より授かった祝福スキルはそなたの人生そのもの。神が決めた運命に従うように」

「はい」


神父様からの訓示を言い渡されて儀式が始まる。

俺は神父様の前で片膝をつき家族は俺の後ろで椅子に座り訓示を聞いている。


「それでは、アークよ。ここからは一人で「教示の間」へ向かい神の像に祈るのだ。さすれば神より祝福スキルを授かるであろう」

「はい」


祝福スキルは何でもいいけど職人系でとしてゆっくり暮らしたいな。

俺は神父様の後ろの「教示の間」の入口がへ向かった。


「教示の間」は神の像がただ立っているだけの部屋。

神の像は長いひげを蓄えた老人の像。

まさに前の俺の姿に似ている。

何故似ているのか?

それは、この「神の教示」が本当に神と会う場だからだ。

どの神と会うかは「神の教示」を行うまでわからない。

俺も絶対神の時、人間と会い祝福スキルを与えていた。

祝福スキルを与えた人間の中でこの像を作った者がいたのだろう。


さて、俺は誰と会うのだろうか?

俺が絶対神ってことは気づくはずないだろうが久々に会う神が楽しみだな。


俺は、神の像の前で片膝をつき祈りを捧げた。

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