閑話 四章あとがき集
びぼーろく
五十九話
【うっかりウリリカさん】
STOにおけるNPCの一人。自他公式コラボ先ともに認めるうっかりさん。
季節ごとのイベントでは、バレンタインにうっかり薬を混ぜてしまいチョコの怪物を作ったり、節分に鬼とオーガを間違えて都に魔物を呼び込んでしまったり、うっかりサンタさんとサタンを間違えたりと結構なトラブルメーカー。サンタとサタンは流石に間違えすぎだろ。
そんなトラブルメーカーだが、人気はそこそこある。見た目が良いというのはもちろんだが、それ以上に、サブクエストの報酬がいいのである。相当なうっかりさんではあるものの、ウリリカ自身は割と売れっ子の絵師であり、さらに実家もけっこうなお金持ちのため、報酬は破格なのである。
六十話
【顔を溶かした絵の具】
十年前の最新色の絵の具。とても美しい青色で、直接触ると危険というデメリットがあっても、その発色の良さからいまだに人気が衰えていない。
だがしかし、発売から十年たった今でもその絵の具、『ジルコニア』による事故は絶えていない。アーテリアでは、美しい青色の絵の具には触ってはいけないという。触れれば手が爛れてしまうのだ。
__なお、最新色ジルコニアの発表会の時、幼い子供の負傷者が出たという都市伝説があるが、真相は定かではない。絵の具の製造会社やジルコニアを使いたい芸術家たちが隠した事実があるのかもしれない。
六十一話
【P4】
キャンバスの大きさの企画。英語が四つFPMSで、数字は号数。数字が大きくなればなるほどキャンバスも大きくなっていく。コピー用紙とは逆だね。
ちなみに、四つの英語の意味は、Figure:人物、Paysage:風景、Marine:海景、Square:正方形。ウリリカは、小さめのキャンバスに風景画を描いていた。
六十二話
【サンド】
アーテリアの名物。忙しい芸術家たちが片手で食事をしていくうちに自然とできた。
サンドウィッチを変わらないものの、たくさんの野菜が挟まれているサンドが多い。特に、レタスはどんなサンドにも挟まっている。野菜の挟まっていないサンドはジャンクサンドと呼ばれ、サンドとは別物として扱われる。
__ちなみに、名称が異なる理由はジャンクサンドに当たるサンドばかり食べていた芸術家の不摂生に腹を立てた医者が、最低限野菜を食べさせるために野菜が入っていないサンドをサンドとして扱わなくなったことからであるらしい。
医者「いいから野菜食え野菜!!」
六十三話
【バルプ】
凶悪版スライム。なんでも溶かして何でも食べる魔法生物で、卵を除いた場合、プレシス1大きい単細胞生物。細胞を構成する素材は全て強酸で、食べたものを魔石の入った細胞核に溶かし込むことで栄養を吸収する。環境をガンガン壊すタイプ。
ちなみに、3人は割と簡単に倒しているが、魔法の才能のない人間が出会ってしまえば、死を覚悟するしかないタイプのクソ強生命体。武器が通じないうえ、手で触ると手が溶けるから仕方ないね。
体の色によっては魔法耐性があり、青は火耐性、赤は風耐性、緑は土耐性、黄色は水耐性をもつ。白と黒のバルプは発見されていないが、存在している可能性は否定できないため、気を付けなければならない。
六十五話
【芸術的な服屋】
芸術の都であるアーテリアでは、芸術祭に服飾部門がある。何分、芸術祭自体歴史ある祭りであるため、何年もやっていれば、だんだん方向性を見失っていくこともあるわけで。
結果として、アーテリアには単純に綺麗で使いやすい服のほかに、使用用途着方不明の美術性特化の服を専門に売る呉服屋が増えたというわけである。迷走って怖いね。
六十七話
【マジックアローについて】
マジックアローは実情、ランス系統の下位互換であり、魔法階位には含まれていない魔法である。そのため、詠唱によってアロー系統の魔法を行使することはできない。完全に熟練度依存の技術である。分かりやすく言うと、プレイヤーの習得できないNPC専用の技である。プレイヤーであるサクラはどれだけ練習しても、習得できない。
前提技能としてボウスキルと使いたい属性魔法の習得が必要となる。
ちなみに、NPCであるアリアは、全属性を混ぜた矢『カオスアロー』を必殺技として持っている。純粋な火力だけなら魔法最高峰の一撃になり得る。……STOのゲームバランス上、そうはならないようになっているが。
七十五話
【黒煙の芸術家】
もちろん、黒煙の芸術家は魔王の呪いにかかったアーティのことを指す。街を破壊しないように呪いに抵抗したがために、花火の術式は不十分に発動し、多量の黒煙が巻き上がったために【黒煙】の芸術家なのである。
STO本編では、アーティがその身の潔白を証明する手段は存在していなかった。彼を庇える立場であるオルガ審査委員長も副審査委員長らによって障害され、意識不明の重体に陥っていたため彼を庇う人間は誰一人としていなかった。
彼がどれだけ都市を愛し、どれだけの抵抗をしていたのかも知られぬまま、勇者によって討伐されたかの芸術家は、さながら【ドラゴンと勇者の物語】の悪役にされてしまったのだ。彼が、多くの人を__地下に囚われていた芸術家や、呪いに抵抗して都市を破壊しつくさなかったことによって生き残れた人々を__救ったのか、誰も知られることはないままに。
__黒煙は吹き消され、芸術家は正しく評価され始めた。美しき都市アーテリアの淀みが浄化されるのも時間の問題だろう。