表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この親子にリモートワークは必要ない  作者: かいみん珈琲
3/3

3/やせ我慢

どうもこんにちは、かいみん珈琲です。


昔からSFロボットやファンタジーが大好きでした。


でも、たまには現代を軸にした社会風刺も書きたい今日この頃。


――という事で今回のテーマは『家族愛』です。



プロット段階では、短編にするつもりでしたが……


つい楽しく筆が進み、もしくは世界観を膨らませすぎで、


軽い連載モノになりました。


気軽に楽しく読んでいただけると幸いです。

●柿本ミユの自宅(夜)


「――ああ、もうっ!」

 柿本ミユ、携帯端末と10分間にらめっこした結果、通話ボタンを押す。

 数回のコール音。

 その後、父である柿本トシキがテレビ通話で映った。


『オ、オレだけど……なんだ? ど、どうしたんだ?』

 と、赤面した表情がさらに赤く染まる。

 照れくさそうにカメラから何度も目を反らすトシキ。


「ぷっ、くく」

 と、ミユは不意に笑ってしまう。


 それを皮切りに、柔和な表情に戻る。

「……さっき強引に切っちゃったから、さ。今、少し話せる?」

 と、自然と声が明るく弾んでいる。

 収録前の苛立ち、電話する前の力む様子はない。


「食事はどう? 私がいなくなってもちゃんと食べてる?」

『これでもしっかり食べてるよ。お前の方こそ、食べてるのか?』

「うん、ある程度ね」

 忙しい時は簡単にすましちゃうけど、と苦笑するミウ。


『あまり無理するなよ? 夕方にもいったけど……身体は辛くないのか?』

「大丈夫、大丈夫。お父さんこそもう50過ぎなんだから、仕事もほどほどにしてよねー」


『…………そうだな。うん、気を付ける』

「お父さん?」

『あ、いや。なんでもない』

 と、頭をかく。

 

『なんというか、その……お前が家を飛び出して、もう5年も立つんだなと思って、な……』

「そうだよ。今の私がいるのは、お前には無理だっていわれながらも飛び出して、めちゃくちゃ頑張った結果なんだから」

『たまには、母さんにも会いにこい。心配してるぞ、きっと』

「……うん、ごめん。今度、時間をつくるね……」


 ミユの母親は10年前に亡くなった。

 家出のように反感を買いながら実家を出てから、ずっと墓参りにいっていない。

 

 喧嘩別れした父親への気まずさか。

 それとも自分を周囲に認めてもらう事で必死だったのか。

 いまさら理由はどうでもいい事だろう。



××××× ××××× ×××××



 たわいもない会話が続き、日を跨ぐ時間になった。

 翌日を心配した父親に諭されてから、携帯端末の終了ボタンに指先をかける。

「おやすみ、お父さん。今日はその、心配してくれてありがとう」

『……ああ、おやすみ。ミユ』


 5年ぶりの父と娘の会話にしては、上出来だろうか。

 お互いに感情的にならずに済んだ事は、5年前と比べて信じられない進歩だろう。


「っもう、慣れない心配ばかりしちゃってさ。ホント不器用なんだから」

 と、頬が緩むのは仕方がない。


「さて、と」

 机の棚から大学ノートを取る。

 ペンも手元に置き、ページをめくった。


「途中の作詞をぱぱっと片付けちゃいますかッ!」

 左右の紙面には、すでに文字や記号があふれている。

 今夜はこれを修正していくようだ。


「――とその前に眠気覚ましのコーヒーを」

 ミユ、空のコーヒーカップを持って立ち上がる。


 ふと、机の棚にあるCDの列が視界に入った。

 透明なCDケースの中、焼けて赤黒く変色したカセットテープがある。

 そのラベルには『お父さん ありがとう』と書かれている。


「初めて作った曲を聞いてくれた、最初のファンに恥ずかしくないように書かないとね」

ここまで読了ありがとうございました。


個人的には、ちょっと中身がなさすぎな印象がありますが……


「不器用な父親」と「夢にまっしぐらな娘」とのぎこちない仲を楽しめましたのでヨシ。


今後、物足りなければ他の作品で世界観共有してみようと思います。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ