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おっぱいで人生を踏み外したバカな男の話を聞かないか?  作者: ……くくく、えっ?
三章:うろくづの森

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ムヒっ?!

 ツォンカパが名を呼んで、こちらを向いて、俺の首筋から飛び立つ緑色の光を、蚊を叩くように潰す。


 何が自分の身に起きたのかだけは――想像がついていた。ナアス蠅に刺された。それで間違い無い。


 とは言え今、自分の身に起こっていたことは到底「虫刺され」などと、呼べるような生易しいものでは無かった。


 首筋の刺された箇所は、握りこぶしほども腫れあがって、さらには激痛に加えて、眩暈(めまい)に吐き気、脱力感に高熱が全身を襲い始め


 ほとんどの外傷を短時間で治してしまう、このふざけた身体にも――信じられない痛手を与え続けていた。


 ナアス蠅の攻撃が執拗さを増す。


 集まって来た翅虫は、何度も何度も全身を刺して、俺の身体が修復される暇など、与えてはくれない。


 そばに立っていたツォンカパも、同様に翅虫に集られて


 この信じられないほど頑強なオークは、槍を支えになんとか踏ん張り、立ち続けていたが――じきに力尽き、その巨体を俺と並べて倒れ伏した。


 周囲を満たしていた喧噪も――気が付けば、虫の羽音と物が燃える音。そして、ワーグの遠吠えだけに。




 * * *




 ナアス蠅に刺され、顔は腫れ上がり――目は、ほとんど開くこともできない。


 毒と発熱で意識は朦朧(もうろう)としていたが、俺たちに悠々と近づいて来るワーグの長を ぼやける視界で捉えていた。(……?)


 歪む視界の中でワーグたちが首に、小さな匂い袋のような物を提げているのが見える。(最初に襲って来た時には、提げてはいなかったハズなのに……それ以前に、どうやってそんな物を?)

 

 倒れて荒い息をするツォンカパの頭をワーグの長は、忌々し気に前脚で踏みつけ、喉を鳴らして唸る。


「……ヨクモ……ムレヲ……ココマデ…………ニク、……ドモ……」


 なんのことは無い。


 予想以上に手痛い反撃を受けたから――恨み言を聞かせに、いらした訳だ。

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