そして、伝説へ(唐突に)
「……え〜っと、ネルのつがいってことは、俺もその……なにか? って、設定なんだよな? 他になにか……押さえておくべき設定とかって、あるなら教えてくれるか?」
少し調子に乗ってしまった俺が「なんだか風俗にあるって言う、プレイ内容を決める、設定のアンケートみたいだな♪」そう口にしてしまうと……。
「……そんなのと、一緒にしないでよ」
ネルは、ひとつ深い(不快の方が、この場合には……正しかったのかも知れないが)溜息をついて――
「アンタの方は、紛れもなく人間だったわよ。だからアタシを置いて、死んじゃったりしたんじゃない……」
* * *
それから、ネルから聞いた話は──こう言う突飛なもの。
彼女は「最も古き六の大龍の一頭にして、遍く全ての生命を司る白龍」であると……まずは、自分のことをこう説明した。
──正直、地に足の着かない、捉えどころに欠ける……メルヘン一杯の、お話だったので、半分も理解できたとは言えなかったが……。
と、ゆーか。正直なところ、電波を受信できる人との会話にしか思えなかった。
……少し不安。いや、だいぶ。
けれども、それを話半分で聞き流すにしてはネルの、ひとつひとつ言葉を選び、当時を思い返して話している様子の……なんとも言えない、
悲しんでいるのか、悼んでいるのか、懐かしんでいるのかさえ、判然としない表情が、茶々を入れる空気さえ、許さなかった。
規格外の美人って、お得だなぁ……。
「……アンタはね。もっの凄く……バカな人間だったわ」
「ここまで引っぱりまくった上での……残酷過ぎる仰りよう。……お前に優しさは無いのか? お前な? バファリンですら、50%も優しさで出来てんだぞ?」
「だって、他にアンタを表す言葉なんて無い……もの?」
ありがとうございます。
一瞬でも、オブラートに包んでくれようとして下さったんですね。その努力の痕跡の「……」に当方、本当に救われます。