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おっぱいで人生を踏み外したバカな男の話を聞かないか?  作者: ……くくく、えっ?
三章:うろくづの森

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群れの長

 ワーグたちは静かに唸りもせず、喉も鳴らさず、ゆっくりと近づいて来る。その内の一際、大柄な1頭が群れの中から現れる。


「……出会った者には、必ず問う、オークのしきたりもあるが……。獣に問うても仕方は無いな……」


 ワーグの姿にも、まるで怯む様子を見せないツォンカパ。

 

 俺の方はといえば、既に逃げ出したかった。……が、膝が笑ってしまい、それもダメそう。


 ツォンカパが、ゆっくりと手を上げ、合図をしようとした、その時――

 

「……ニク……ドモ……ヨ……」


 群れから、出てきた――リーダーと思しきワーグの口から、オークの言葉が、絞り出すように漏れ出してきた。

 



 * * *




 合図を出そうと手を上げかけたツォンカパだったが――ワーグの口から漏れ出した声が、オークの言葉であることを理解すると、その手を静かに下ろしていた。


「……長く生きると、おかしなものに出会うものだ」


(い……いいから! さっさと合図をしろよぉ~!? ツォンカパぁ!)


 内心、必死でツォンカパに訴えかけるも――


 そばにやって来たワ―グの恐ろしさに、声ひとつ上げられない俺は――ことの次第を成り行きに任せる他無い。


「……ワーグの長よ。貴様が求めるのは闘諍(とうじゃう)か」


 ツォンカパは、俺と初めて出会った時と同じように、ワーグに問いかける。


 その問いと同時に、周囲を取り囲むワーグたちからは、まるでツォンカパを嘲笑(あざわら)うかのような鳴き声。


 ワーグの長が、再び口を開く。


「ト……トウ……ジャ……ウ? ……ヒ……ツヨ……ウ……ナイ。タダ、ニ……ク……ノミ……ヨコ……セ」

 

 飢えた獣の口から発せられた無慈悲、極まる宣告。


「……闘諍の末に破れたならば、それも本望であったが……。さもしい望みだったか……」(ツォンカパ! ツォンカパ! ツォンカパぁ! 早く合図! 早く合図!? 合図~っ!!)


 必死に目で訴えかける俺を、ツォンカパは一瞥すると。今度は、迷い無く手を掲げ――周囲に潜む、オークの戦士たちに合図を送った。

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