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おっぱいで人生を踏み外したバカな男の話を聞かないか?  作者: ……くくく、えっ?
二十四章:ヒンデンブルグ・オーメン

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乳天

 のほほんとした様子で作品の感想を口にするネルに――


「それは良いから……ルチェッタ見ててやってくれよ……看護婦さん」


「やだ! 女医さんがイイ!」

  

 取り留めのない、いつものやり取りを繰り広げる俺たちに、オーサがぽつり


姉様(ねえさま)……気付かない?」


「気付くわよ……これは……アレよね? 稀代の……天才彫刻家……ごにょごにょごにょ……うんたらが、生涯をかけて……そのナニした……あれでしょ? 知ってる知ってる」


 姉の尊厳を必死に取り繕おうと、聞く者の知能指数を低下させる呪文の如き、なにかを口籠る可哀想な子。


 そんな姉の様子に構いもせずにオーサが呟く。


「これは……ナラクノホシテントウムシを、モチーフにしたものだわ……」




 * * *




 聞きたいことは色々あったが、ひとまずルチェッタを屋敷へと運び、寝かしつけ――手の空いていた夢魔の娘に付き添いを頼むと、オーサの住まいへと急いで戻る。


 その頃には、ネルは興味を無くしたのか、ホールの寝椅子に横たわり


 トレードマークのロケットおっぱいを上に向け、いささか重力に負けて、溶けて流れる2つの巨大なプリンを連想させるソレを、相も変わらずにそびえ立たせて――おやつ後に貪る惰眠に合わせて、上下させていた。


 まぁね。酔いどれメス狸のお前さんが、この賢い妹さんたちを取りまとめて何かしてくれるとか、これ……ぽっちも! 期待なんかしていなかったさ。でもね? おねーちゃんなんだから、そこはさあ?。


 考えるだけ虚しくなることを、溜息ひとつ頭から振り払うと、義妹たちに近づく。


 彼女たち3人……いやこの場合は、3頭と言わないといけないのか? 彼女たちは、件のオブジェの前に集まり、なにかを話し合っていた。


「ただいまぁ……それで? そのナラクノなんたらって、なんなんだ?」

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