積み上がる黒い山
この領内をフィルターに見立て、王国の汚れが浄化していくかの様な、そんなシステムがここに完成。
その傍らで、新しい問題も湧き出してはいたが――。
「どーすんのよ? このヤバい『ブツ』の山は……」
人目憚られる御禁制品に、闇ルートに流された美術品の山。
片付ける場所にも困り、仕方なく……。デシレアが先日、創り出した廟の片隅に間借りして、積ませて戴いてはいたが、そろそろ彼女も良い顔をしない空気を滲ませ始めていた。
(あの子の美意識を満たすためだけに創られた廟だしなぁ……そりゃ、こんな悪徳の滓の様な品々積み上げられたら、良い気もせんわなぁ……)
「棄てちゃえば?」
ごもっともなネルのお言葉。けれども俺の貧乏症が、それに待ったをかける。
「この違法なお薬の類は……そりゃ、そのまま使う気は起きないけど……麻酔とか、真っ当な使い道はないのかね? あと、この美術品……芸術って奴に疎い俺からしたら……価値は分からんけど、なんだか俺の判断で、処分しちゃいかん代物も混ざってる気も……するんだよな……」
これは……本当に勘のようなモノでしか無かった。
積み上がる品々の多くは、現代であれば なんら問題も無く、再現……というか、ただ貴金属や、カットも微妙な宝石が、あしらわれているだけの、ギラギラと下品な、成金趣味を振り撒くのが精々といった品も多かったが……その中に埋もれる様に、なぜか意識の片隅に残って、なにかを訴えかけて来るような――品物も紛れているような気もする。
「じゃ、あの子の出番だわ」
「……あの子?」
俺が聞き返すとネルは、短くその名を上げた――。
「オーサよ」




