絶賛、大掃除中
自分でも、何を薄っぺらい博愛主義者じみた行動を取っているのかと、思わないでも無かったし、ネルからも――
「事無かれ主義のアンタにしてみれば……珍しく、行動的なのは良い事だけど……どーすんのよ? 我が家のお金は?」
呆れた風な文句も口にされたものだったけれど……。人様の自由を奪って、金に換える奴隷ビジネスと言うものに……良く分からない嫌悪感も催したし、それになにより
「俺の平穏な暮らしの前には、金とかだな……」
人の尊厳や、自由よりも――自身の静かな暮らしが何より最優先な俺に、
「やっぱ……アタシのつがいだけあって、アンタも相当……分からない奴だわ」
ネルは呆れたと言うような、溜息を吐いていた。
* * *
――さて。そんな、こんなで。
近隣の犯罪者の皆さんが大量流入する、闇ビジネスのるつぼと化した、大人気の我が領内――。
ネルの「お腹一杯宣言」によって潤った近隣一帯に関しては、例年ほどでは無いらしいものの、寒くなるにつれ、この手の人身売買や、アングラな取引は横行する傾向にあるらしい。
胡乱なモノ(商品は)、こちらで吐き出して頂き、そして綺麗な身体(?)になった上で、仮初の成功体験を携えて、ホクホク顔で帰って頂くと言う図式は、驚くことに安定しつつあった。
それもこれも、こちらの世界唯一のキャバクラLA・LA・PALOOZAの夢魔の連中の働きは大きかった。
おまけに彼女たちは彼女たちで、商売で上手く行った気になって、気が大きくなった連中から、好き放題に精気を得ることができると言う、無駄の無さ。
暫くすると、商品も資金も尽きて、仕入れもままならない闇商人の噂も、風に乗って耳に届くようにはなったが――そう言った連中は、俺に対して気を利かせてくれた夢魔たちが「自責の念に駆られて」と言う体を成す様に『弄って』衛兵詰所に駆け込ませた。




