悪魔の最新モードは……軍服
勿体付けて情けない事をと、嘆く声も、どこかからか聞こえてきそうな感じではあるが、現世での時計の針を進めるべく、日々バイトに明け暮れ、それ以外は屋敷か――先日、「あれば」事も楽に進んだろうと思われる、乗り物の操縦技術を身につけるためザイツェ・アルカンへ入り浸ることに決めた。
兎角、時間潰しには、なにかをしているに限る訳だ。そうでないと時間は遅々として進んでくれない。
それに「2足歩行の人型兵器の操縦ができる」という。ああ、うん……そうなんだ~。
……と、言った感じの――大海を割るモーゼの如き威力で、人の群れを蹴散らす力を秘めた、そんな言葉よりも「飛行機? 操縦できるけど?」
こちらの方が、よほどスマートで、自慢できそうな気がしてはこないだろうか。
* * *
「ぱぱぁ? 大丈夫? 飛行機もだけど……お船とバイクの練習と、スキューバと、スカイ・ダイビングの訓練も……ある予定なんだよ?」
「ま……任せろ。余裕だって……ゲ、ゲロ袋は、もう切れちゃいそうだけどな」
「大丈夫かなぁ……」
流石は魔界と言った所か。それとも担当した教官の悪魔に因るせいか。それら各種訓練は折り紙付きのブラックさで、スパルタ式。しかも何故か、大戦期を思わせるミリタリー色の色濃く伺える内容。
小休止の終わりを告げる教官の怒声が飛んでくる。
よろめきながらも、駆け足で向かう。
『人の皮』を被って人間に化けた女悪魔が、氷の様な眼差しに嗜虐心を湛えて、手にした乗馬用の鞭で空を切る。
「遅いぞ! 百千万憶 春夏秋冬! 罰として、今からラ・ムチェバク3本!」
「イエス・マぁム!!」
(俺は、とうとう悪魔を、かーちゃん呼ばわりする所まで落ちたかよ……)
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